いつか共に歩けたその時は、笑顔で幸せだと唄おう
誕生日は、兄の普段見れない一面が見れる日だ。
共にいるときは、時計を見ながらずっと手を繋いでいてくれて。
いないときは手紙で、その珍しい一面が見れる。
そして今年も、その日がやってきました。
「お嬢様」
「はいな」
深夜零時過ぎ。そろそろだろうと部屋から玄関へと向かう。その途中、執事に声をかけられた。
「どちらへ?」
「ポストです」
そう言えば、いくつか年上の執事は少し不満げになる。
「俺が行きますよ」
「私が行きたいんです」
「なら共に」
それはいいでしょうと、未だ不服気に言われて。一応深夜ですもんねと納得できたので頷き。
ほんの少し肌寒い外へと共に出る。
ポストへの少し長めの道のりを歩きながら。
先に口を開いたのは執事でした。
「……今年は」
なんて言って、そこで止まる。その問いの先はわかっているので。
「一人ですわね、今年も」
そう言えば、執事は少し不機嫌だった。けれど私の愛する兄なので、悪くは言わない。
そこに感謝をしながら、ふふっと笑って。
「私ね」
「はい」
「今日が大好きなんですよ」
そう、言えば。
「……お一人で過ごされるのに?」
「あなた方がいるから一人じゃないわ」
そうじゃなくて。
「今日という日が、大好きなの」
どうして、と雰囲気で聞かれて、また笑う。
「素直な兄が見れるんです」
一人が好きで、けれど孤独が嫌いな兄の。
共にいるときは手を繋ぎ、離れているときは、手紙で愛を綴ってくれる。
一年にたった一度の、最高の日。
「いないのは寂しいですよ」
でもね。
「寂しいけれど、一年に一度、兄からのとびきりの愛をもらえる最高の日なんです」
つくづくそっくりねと。
愛を言えない親友も想いながら。
ポストへと近づき、そっと開ける。
そこにはやはり、宛名のない手紙が。
内容は知っている。
毎年同じだから。
だから私も、毎年同じく。
「お誕生日おめでとうございます、レグナ」
まだ近くにいるであろうあなたへ。
音の返信を。
「今年も愛していますわ。共にいれる日を心待ちにしております」
そう、告げて。
執事の方へ振り返る。
彼は、毎年恒例複雑な顔。
「行きましょうか」
「……はい」
そうして、数歩歩いたところで。
「難儀な兄妹ですね」
一言余計な言葉とため息のあとに、祝いの言葉をくれたので。
素直にありがとうと返した。
『いつか共に歩けたその時は、笑顔で幸せだと唄おう』/カリナ




