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ワンダーランド・ボーイ  作者: 櫻木サヱ
白兎に出逢う日

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7/31

The Garden of Lost★

ティーパーティが進むにつれ、アレンの心は落ち着かない。

チェシャは相変わらず目の端でアレンを追い、いたずらっぽく笑う。

ホワイトは隣で静かに見守り、時折手を握ってくる。


「……ねぇ、ホワイト」

「うん?」

「なんで俺を、選んだんだ?」


ホワイトの金色の瞳が、夜空のように深く揺れる。

「君は、迷子だったから」

「迷子……?」

「迷子のままだと、君は本当の自分に出会えない。だから導きたかったんだ」


アレンはその言葉に胸を打たれた。

この世界に迷い込んだ瞬間から、ずっと守られていたことに気づく。


そのとき、チェシャが飛び出してきて、アレンの前に立ちはだかる。

「ホワイトばっかり優しいのはズルいだろ!」


「チェシャ……」

アレンは思わず顔を上げる。

彼の紫の瞳は、まるで遊び心と本気の混ざった嵐のようだ。


「でも、僕は……」

言葉が途切れる。

胸の奥で、どちらを選ぶべきか迷う自分がいた。

ホワイトの温もり、チェシャの鋭い視線。

どちらも手放したくない。


「ふふ、迷うのは当然さ」

チェシャが低く笑い、肩越しにウインクする。

「でも迷ってる顔も、悪くないぜ」


アレンは思わず顔を赤らめた。

「っ……なんだよ、もぉ!」

言葉は焦っても、心はどこか高鳴っていた。


ホワイトがそっとアレンの肩に手を置く。

「焦らなくていい。君のペースで、僕の側にいてくれればいいんだ」


アレンの鼓動が跳ねた。

優しさと、少しのドキドキ。

この二つの感覚が混ざり合って、胸がぎゅっと締め付けられる。


「……わ、わかった……」

アレンは小さく頷いた。

手を握る力はまだ弱いけれど、確かに握っている。


その瞬間、庭の奥から光が差し込む。

小さな花々がふわりと舞い、光の粒がアレンの周囲を包む。

ワンダーランドの夜は、甘く、優しく、そして少し切ない魔法に満ちていた。


「さあ、次は君に、この世界の秘密を見せてあげる」

ホワイトの声が、耳元で囁く。

その声に、アレンの胸はさらに高鳴る。


でもチェシャの瞳が、まだ彼を見つめている――。

この夜は、まだ終わらない。


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