The Garden of Lost★
ティーパーティが進むにつれ、アレンの心は落ち着かない。
チェシャは相変わらず目の端でアレンを追い、いたずらっぽく笑う。
ホワイトは隣で静かに見守り、時折手を握ってくる。
「……ねぇ、ホワイト」
「うん?」
「なんで俺を、選んだんだ?」
ホワイトの金色の瞳が、夜空のように深く揺れる。
「君は、迷子だったから」
「迷子……?」
「迷子のままだと、君は本当の自分に出会えない。だから導きたかったんだ」
アレンはその言葉に胸を打たれた。
この世界に迷い込んだ瞬間から、ずっと守られていたことに気づく。
そのとき、チェシャが飛び出してきて、アレンの前に立ちはだかる。
「ホワイトばっかり優しいのはズルいだろ!」
「チェシャ……」
アレンは思わず顔を上げる。
彼の紫の瞳は、まるで遊び心と本気の混ざった嵐のようだ。
「でも、僕は……」
言葉が途切れる。
胸の奥で、どちらを選ぶべきか迷う自分がいた。
ホワイトの温もり、チェシャの鋭い視線。
どちらも手放したくない。
「ふふ、迷うのは当然さ」
チェシャが低く笑い、肩越しにウインクする。
「でも迷ってる顔も、悪くないぜ」
アレンは思わず顔を赤らめた。
「っ……なんだよ、もぉ!」
言葉は焦っても、心はどこか高鳴っていた。
ホワイトがそっとアレンの肩に手を置く。
「焦らなくていい。君のペースで、僕の側にいてくれればいいんだ」
アレンの鼓動が跳ねた。
優しさと、少しのドキドキ。
この二つの感覚が混ざり合って、胸がぎゅっと締め付けられる。
「……わ、わかった……」
アレンは小さく頷いた。
手を握る力はまだ弱いけれど、確かに握っている。
その瞬間、庭の奥から光が差し込む。
小さな花々がふわりと舞い、光の粒がアレンの周囲を包む。
ワンダーランドの夜は、甘く、優しく、そして少し切ない魔法に満ちていた。
「さあ、次は君に、この世界の秘密を見せてあげる」
ホワイトの声が、耳元で囁く。
その声に、アレンの胸はさらに高鳴る。
でもチェシャの瞳が、まだ彼を見つめている――。
この夜は、まだ終わらない。




