表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワンダーランド・ボーイ  作者: 櫻木サヱ
白兎に出逢う日

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/31

mysterious ☆contract

夜のティーパーティは、まだざわめいていた。

ランタンの光が揺れ、カップやケーキの表面に反射する。

アレンはホワイトの隣に立ったまま、周囲の視線を感じて少し緊張していた。


「君、紅茶は飲む?」

「う、うん……少しだけ」


ホワイトが注いだカップは、見た目以上に温かく、ほんのり甘い香りが漂う。

ひと口飲むと、喉の奥まで優しい温もりが広がった。


「……すごい、温かい」


「ここでは、心が欲するものを形にできるんだ」


ホワイトの声が低く響く。

耳元に届くたびに、胸の奥がざわつく。

この世界は甘くて、でも少し危うい香りが混じっている。


そのとき、チェシャがにやりと笑った。

「おい、白兎。契約って知ってるか?」


「契約……?」

アレンは首をかしげる。


「この世界の“鍵”になる者は、ここで契約を交わさなきゃならない。

選択と覚悟の印さ」


チェシャの瞳がキラリと光る。

その視線は、からかい半分、真剣半分で、アレンをじっと見つめていた。


「契約って、何を……?」

「うん、例えば――君が誰を信じるか、だね」


ホワイトがアレンの手を握り、優しく微笑む。

「僕を選ぶか、それとも……」


「そ、そんなの、まだ決められないっ……!」

アレンの心は混乱した。

この世界は、現実じゃないはずなのに――

ホワイトの温もりが、チェシャの視線が、胸を締め付ける。


「焦らなくていい」

ホワイトの声が耳元で囁く。

「ただ、ここにいること――それだけでも意味がある」


その瞬間、テーブルの上に置かれた大きな紅茶ポットが、光を放った。

紅茶の香りが周囲を包み、ふわりと甘い霧が立ち上る。

「契約の証」とでもいうように、アレンの指先に光が触れた。


「……これ、契約……?」

「うん。君が手を重ねれば、僕たちの世界はつながる」


アレンは迷った。

胸の奥はドキドキして、逃げ出したい気持ちもある。

でも、手を握ると――

ホワイトの温かさが、全身を包む。


「……わかった……」


アレンがそっと手を重ねると、チェシャがにやりと笑った。

「やっとだな、白兎」


ホワイトは小さく笑い、指先をそっとアレンの手から離した。

「ありがとう、アレン。君と僕の世界は、ここから始まる」


空には星屑が散りばめられ、ティーパーティは静かに夜の魔法に包まれた。

アレンは思った――この世界に迷い込んでよかった、と。

ホワイトの側にいる限り、怖くても、どこか安心できる。


でも、チェシャの瞳の奥にある遊び心が、

この夜の甘さを、少しだけ危険に揺らしていることに、まだ気づいていなかった――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ