Party★ invitations
「そろそろ、案内しなきゃね」
「案内?」
「うん。君を歓迎するパーティがあるんだ。ワンダーランドでは、新しく迷い込んだ“鍵”を迎えるのが決まりだから」
「鍵……?」
ホワイトは立ち上がり、懐中時計を開いた。
チッチッチッという音が、静かな夜に響く。
その音と同時に――地面がふわりと持ち上がった。
「うわ、またなんか始まった……!」
「落ち着いて。ティーパーティの会場までは、すぐだよ」
草原がめくれ、空と地面が逆転する。
アレンの足元には今度、巨大な時計塔と長いテーブルが現れた。
テーブルの上には色とりどりのカップとケーキ、紅茶のポット。
そして――奇妙な服を着た人たちがすでに集まっていた。
「……なにあれ」
「彼らが、この世界の住人。君の“物語”の登場人物でもある」
ホワイトがアレンの肩に手を置く。
まるで護るようなその仕草に、アレンの鼓動がまた跳ねた。
「やっと来たのか、白兎!」「遅いぞ〜!」
声の主は、赤いベストを着た青年。
猫のような目をした、いたずらっぽい笑みの少年――チェシャ。
「……猫?」
「うん、あれはチェシャ。ちょっと口が悪いけど、悪い子じゃないよ」
「おい、紹介の仕方!!」
チェシャがホワイトに突っ込みながら、アレンの目の前に躍り出た。
彼の瞳は、夜空と同じ紫。
近距離で笑われると、なぜか心臓が妙に騒がしくなる。
「お前が“鍵”か。ふーん……悪くない顔してんじゃん」
「な、なんだよいきなり!」
「ま、歓迎しといてやるよ」
チェシャは軽やかにテーブルの上に飛び乗ると、
紅茶を注ぎ、まるでアレンの緊張を楽しむように笑った。
「君、人気者になりそうだね」
ホワイトの声が、耳元に落ちる。
気づけば、また距離が近い。
肩に触れる指先がやけに熱い。
(……なんなんだよ、この世界)
ワンダーランドの夜が、少しずつアレンを呑み込んでいく。
甘くて、どこか危うい香りとともに――。




