Reflections in the Maze
迷宮の扉をくぐった先、アレンは広い回廊に立っていた。
壁に映る自分の影は、月光に照らされて細く長く伸び、まるで迷宮そのものが生きているかのように揺れる。
「……ここも、静かすぎる」
アレンは小さくつぶやき、足元の石畳を見つめる。
一歩踏み出すたびに、微かな風が頬をなで、心の奥で小さなざわめきが広がる。
未知への好奇心と、少しの緊張感が入り混じり、胸の奥をじんわり温める。
回廊の奥には、泉の水面のように光を反射する壁があった。
アレンは近づき、自分の姿を映すその光景をじっと見つめる。
映る自分は、ほんの少し疲れているように見えたけれど、目は迷いなく前を向いていた。
「……俺、少しずつだけど強くなってるのかも」
自分自身にそっと囁きながら、アレンは手を握るわけでもなく、ただ心の中で名前を呼ぶ力を確かめる。
それは、孤独な迷宮の中でも、確かな支えとなる光のようだった。
ふと、背後から微かな揺れが感じられる。
影が動くわけではない。
でもアレンの胸の奥で、誰かの存在を呼ぶような小さな感覚が走る。
名前を呼ぶ力――それは、まだ誰とも直接触れ合わなくても、心を結ぶ糸として存在していた。
アレンは歩みを進める。
回廊の先には再び扉が揺らめき、次の試練の入り口を告げる。
迷宮は複雑で、影も深いけれど、胸の奥の光は消えない。
名前を呼ぶ力と、静かな決意を胸に、アレンは前へ進む――
孤独だけれど、迷いだけれど、
そのすべてを抱きしめるように、アレンは歩み続ける。
心の中で交わした約束を胸に、迷宮の奥へ、静かに、確かに。




