flying☆Sky
空が逆さに流れている――
そのことに気づいたのは、ホワイトの手を取った直後だった。
「……え、空……動いてる……?」
「うん。ここでは上も下も、時間の流れも、人の心で変わるんだよ」
「心で……?」
ホワイトはふわりと微笑んだ。
月光を受けて、彼の白い髪がきらきらと光る。
見惚れたのは、たぶんほんの一瞬だったのに――
その一瞬が、永遠みたいに長く感じられた。
「さあ、こっちへ」
ホワイトが軽く引くと、アレンの身体も自然と前へ進む。
草原のように見える地面の先には、不思議な階段があった。
上へも下へも、螺旋を描いて浮いている階段。
なのに、風の音もない。
まるで――夢の中だ。
「これ、登るのか……?」
「ううん、落ちるの」
「は?」
次の瞬間、ホワイトは笑ってアレンの手を強く引いた。
身体がふわりと浮く。
風も重力もない世界。
息が喉の奥で止まった。
「うわっっっっ!!」
「怖がらなくていい。君が信じてくれれば、僕がちゃんと受け止める」
その言葉と同時に、アレンの心臓が跳ねた。
視界がくるくる回る中、ホワイトの金の瞳だけがぶれずに、まっすぐ見つめてくる。
――ドクン。
地面に落ちたはずなのに、痛くなかった。
代わりに、柔らかい腕がアレンをしっかりと受け止めていた。
「……お、お前……」
「ね、言ったでしょ。僕が受け止めるって」
ホワイトの顔が近い。
吐息が触れそうな距離で、瞳の奥が優しく笑っていた。
胸が、どうしようもなく熱くなる。
「離せよ……っ」
「じゃあ、もう少しだけこのまま」
「っ……!」
その言葉に、アレンは言い返せなくなった。
抱きかかえられたまま、夜空を背景に――
ホワイトの腕の中にいた。




