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ワンダーランド・ボーイ  作者: 櫻木サヱ
迷宮と二つの想い

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Beyond the labyrinth

月夜の丘の上、三人は静かに腰を下ろした。

 遠くにはワンダーランドの城が、銀色の光を受けて穏やかに輝いている。

 迷宮の試練を越え、心も体も疲れきっているはずなのに、胸の奥には達成感と温かい幸福感がじんわりと広がっていた。


「……やっと抜けたんだな」

 アレンは空を見上げ、深く息をつく。

 チェシャは軽やかに跳ね回り、まだ遊び心を隠しきれない。

「ふふ、迷宮も影も、全部面白かったんだよね」

 でもその笑顔の裏には、アレンへの想いがひそやかに滲んでいた。


 ホワイトは静かにアレンの肩に手を置く。

「君はよく頑張った。迷宮で見せた勇気は、僕たちの誇りだ」


 アレンの胸はじんわり熱くなる。

 チェシャのいたずらっぽい笑顔、ホワイトの穏やかで真剣な視線――

 どちらも手放せない、でも逃げずに向き合える自分がいることに気づく。


 丘の上で三人は、互いの手を握りながら、しばし沈黙のまま夜空を見上げた。

 月明かりに照らされ、風に揺れる草の音が心地よく耳に届く。

 迷宮での恐怖も、影との戦いも、今は全て過去の出来事に変わっている。


「……俺、これからも二人と一緒に進むんだ」

 アレンはそっと呟き、二人を順に見つめる。

 チェシャはくすくすと笑いながら、アレンの手をしっかり握る。

 ホワイトも静かに微笑み、同じように手を重ねる。


 三人の手が重なる瞬間、アレンの胸の中でじれじれとした想いが一気に溶け出すような感覚が広がった。

 二人への恋心はまだ整理できていない――でも、迷宮を越えて、信頼と絆が深まったことを確かに感じる。


「ねぇ、アレン。次はどこに行く?」

 チェシャが軽やかに訊ねる。

「うん……でも、どこへ行くとしても、二人と一緒なら怖くない」

 アレンは笑顔を返す。胸の奥に、少しの自信と勇気が湧いてきた。


 ホワイトは静かに頷く。

「君がそう思えるなら、僕たちはいつでも君の側にいる」

 チェシャのいたずらっぽい笑顔と、ホワイトの真剣な眼差し――

 どちらもアレンにとって欠かせない存在になっていることを、改めて感じる。


 三人の影が月光に揺れ、丘の斜面をゆっくりと下りていく。

 迷宮の試練を越えた今、心の距離もまた少しずつ近づいていた。

 じれじれで甘く、でも確かな絆を胸に、三人は次の冒険へと歩き出す――


 夜風がそっと背中を押し、月は静かに見守っていた。

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