The road with shadows
迷宮を抜けた夜、三人はワンダーランドの森の中を歩いていた。
月明かりが木々の隙間から差し込み、地面に銀色の影を落とす。
「……でも、まだ安心はできないんだろうな」
アレンは小さくつぶやく。
チェシャは軽く笑いながらも、目は真剣だった。
「ふふ、迷宮は終わったけど……影はまだ残ってるからね」
影――それは迷宮の中で消えたはずの、不安や恐怖の象徴だった。
ホワイトは前方を見据え、慎重に足を進める。
「気を抜くな。まだ、何か試す者が現れるかもしれない」
そのとき、木々の間に不意に黒い影が蠢いた。
アレンは息を呑む。チェシャは耳をピンと立て、ホワイトは静かに構える。
「……来るぞ」
ホワイトの声に、アレンは心臓が跳ねる。
でも、チェシャの手がそっと肩に触れ、勇気をくれる。
「僕たちがいるから、大丈夫」
その言葉に、アレンの胸の奥がじんわり温かくなる。
影は近づきながらも、攻撃的ではない――
まるでアレンの心を試すかのように、彼の恐怖や迷いを映し出している。
「……俺、もう逃げない」
アレンは深く息を吸い、二人の手を握る。
チェシャとホワイトも同時に手を差し伸べ、三人で影に向き合った。
その瞬間、影は光に変わり、静かに消えた。
森に再び静寂が訪れる。
「ふぅ……やっぱり、二人と一緒なら、怖くない」
アレンの言葉に、チェシャは嬉しそうに笑い、ホワイトは穏やかに微笑む。
三人の絆は、迷宮だけでなく影の試練も越えてさらに深まった。
じれじれで甘く、でも確かな信頼が育まれた夜。




