Maze of the mirror
迷宮の奥、壁一面に鏡が張り巡らされた部屋に三人は足を踏み入れた。
鏡は不思議な光を反射し、現実の景色をゆがめて映し出す。
「……うわ、どこが本物の道だ?」
アレンは呟き、迷子になりそうな視線で鏡を見渡す。
鏡の中の自分の影が、まるで自分を追いかけてくるかのように動く。
「ふふ、面白くなってきたね」
チェシャは軽やかに鏡の間を跳ね回る。
その自由さに、アレンは少し羨ましさと安心感を覚える。
一方、ホワイトは冷静に壁の反射を分析し、指差す。
「この鏡には仕掛けがある。光の反射を辿れば道は見えてくる」
「頼りになるな……」
アレンは胸の奥で温かい気持ちが広がるのを感じた。
だが、鏡の迷路にはさらに厄介な仕掛けが潜んでいた。
鏡の中に潜む“偽りの自分”が、アレンの心に問いかける。
『君は、どちらを選ぶ?』
心がざわつく。
チェシャの笑顔と、ホワイトの優しい眼差し――どちらも大切で、どちらも手放せない。
「っ……どうすれば……」
迷うアレンに、チェシャが肩を叩き、耳元で囁く。
「迷ったっていいんだよ、鍵くん。ボクたちは君と一緒にいる」
ホワイトも、静かに手を伸ばし、アレンの手を握る。
その瞬間、鏡の偽りの影は揺らぎ、次第に消えていった。
「……二人とも……ありがとう」
アレンの声に、チェシャはくすくす笑い、ホワイトは微笑む。
迷宮の試練はまだ続くけれど、三人の絆は少しずつ固くなっていた。
鏡の迷路の中で、互いの存在が心の支えとなる――
じれじれで甘く、でも強い信頼が生まれる瞬間だった。




