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ワンダーランド・ボーイ  作者: 櫻木サヱ
迷宮と二つの想い

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22/31

Entrance to the labyrinth

 ワンダーランドの森の奥深く、昼と夜の境目が曖昧な場所に、古びた迷宮の入り口が現れた。

 石でできた門には、不思議な文様が刻まれ、月の光に淡く浮かび上がる。


「……ここが迷宮か」

 アレンは息をのむ。胸の奥がざわつく。

 チェシャが軽やかに跳ねるように現れた。


「ふふ、緊張してる?」

「……してるよ。だって、ここで何が待ってるか分からないんだろ?」


 チェシャはにやりと笑った。

 その笑みには、いつものいたずらっぽさだけでなく、どこか真剣さが混ざっている。


「ホワイトも来てる」

 振り返ると、青白い瞳をしたホワイトが静かに立っていた。

 その視線は、アレンを守るという強い意思を宿している。


「……二人とも、俺の心配してくれてるのか?」

「もちろんさ。君は大事だからね」

 チェシャが肩をすり寄せ、ホワイトがそっと手を差し出す。


 アレンは胸の奥が熱くなる。二人とも、自分を守ろうとしてくれている――それが嬉しくて、でも、どこか胸を締め付ける。


「さぁ、行こうか」

 チェシャが先に門の中へ踏み出す。

 アレンはホワイトの手を握り、二人と一緒に迷宮の奥へ進む。


 中は薄暗く、壁に刻まれた文字や奇妙な模様が揺らめく。

 歩を進めるたびに、足元の石がかすかに光る。

 それはまるで迷宮自体が呼吸しているようだった。


「……この迷宮、俺たちのこと、試すつもりなのかな」

 アレンが小さくつぶやくと、チェシャが耳元で笑った。


「ふふ、試すっていうか……楽しむんだよ。冒険は、危険があったほうが面白いんだから」

 その言葉に、アレンの胸がざわつく。

 でも、少しだけ、勇気も湧いてきた。


 奥へ進むと、淡い光が差し込む広間に出た。

 そこには、いくつもの扉があり、どれを選ぶかで道が変わるように見える。


「……どの扉を選ぶ?」

 チェシャが振り返る。

 アレンは深呼吸し、二人を見た。


「……二人と一緒なら、どこでも行ける気がする」


 その言葉に、ホワイトは穏やかに微笑み、チェシャは嬉しそうに目を輝かせた。


 迷宮の入り口で、三人の心が少しずつ固く結ばれる。

 冒険も、恋も、これから始まる――

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