Confession under the moon ♡
影が消えた夜、ワンダーランドの空には満月が輝いていた。
庭園の泉には、月の光が銀色に映り込み、静かな波紋を作っている。
アレンは一人、泉のほとりに腰を下ろした。胸の奥で、まだチェシャの手の温もりが残っている。
ホワイトも近くで静かに見守ってくれていたが、今は二人きりの時間――
「……アレン」
チェシャの声が、夜の静寂に溶けるように響いた。
いつもなら軽く笑ってからかうのに、今は違う。目が真剣で、揺れているように見えた。
「さっきは……ありがとう。君がいてくれて……助かった」
アレンは胸の奥がぎゅっと締め付けられるのを感じた。
チェシャの声は、いつもより少し低く、耳に甘く響く。
「……チェシャ」
思わず呼んだ名前に、チェシャは少しだけ驚いた表情をした。
でも、すぐに柔らかく笑って――肩をすり寄せてくる。
「ねぇ、アレン……君って、僕のことどう思ってるの?」
それは、いつもなら冗談めかして言うような質問。
けれど、月明かりの下、真剣な瞳で聞かれると胸が締め付けられる。
「……俺……正直、わからない」
心臓が高鳴る。
でも、このまま誤魔化すこともできない。
「チェシャが好き……でも、ホワイトも――」
言葉が途切れそうになったとき、チェシャは指先でアレンの顎に触れ、顔を自分の方へ向けた。
「ふふ、そっか……じゃあ、僕は……」
顔が近づく。鼻先が触れそうなくらいに近い。
チェシャの呼吸が、アレンの唇のすぐそばで震えている。
「僕はね……君を、ずっと見ていたい」
その言葉に、アレンの胸がぐっと熱くなる。
手が自然とチェシャの背中に回り、引き寄せる。
「……チェシャ……俺も……」
でも、その瞬間、遠くからホワイトの声が響いた。
「アレン!」
ハッと現実に引き戻される。
チェシャはにやりと笑い、少しだけ身を引いた。
「ふふ、逃げるなよ、鍵くん。これはまだ序章さ」
月明かりが二人を包む。
甘く、切なく、少しだけじれったい――
夜の庭園は、まるで二人の心の距離を映す鏡のようだった。




