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ワンダーランド・ボーイ  作者: 櫻木サヱ
ハートの王国と危険な微笑み

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13/31

The Queen of Hearts and the Rose Smile ☪︎*。꙳

赤い城は、まるで血のような深紅に染まっていた。

夜空の下、薔薇の香りが風に乗って広がり、アレンの鼓動をさらに速くさせる。


「……なんか、息苦しいくらいだな」

「当たり前さ。ここは“心”を縛る場所だから」

チェシャが木の枝から軽やかに飛び降り、アレンの肩に腕を回す。

その無邪気な仕草に、ホワイトの眉がピクリと動いた。


「……チェシャ、あまりベタベタするな」

「やーだね♪ 僕はこういうのが好きなんだよ、ね、アレン?」

「ちょ、ちょっと近いってば!」

アレンの頬が熱くなる。

ホワイトは横目でじっと二人を見つめ、いつになく静かにアレンの手を握った。


「……僕のそばにいて」

その一言が、妙に甘く、胸の奥をぎゅっと締めつけた。


大きな扉が、ギィィと音を立てて開く。

その向こうに立っていたのは、赤いドレスに身を包んだ女王だった。

黒髪の間から覗く深紅の瞳が、アレンを射抜くように見つめてくる。


「――ようこそ、鍵の少年」

女王は妖艶な微笑みを浮かべ、アレンに一歩近づいた。

その瞳は、まるで心の奥を覗き込むようで、アレンは無意識に後ずさる。


「ふふ……そんなに怯えなくてもいいのよ?」

女王の声は甘く、耳元に直接囁かれるような響き方をした。

「あなたの“心”が、とても美味しそうなの。――だから、試してみたいの」


「試す……って……?」

「あなたの心が、誰を選ぶのか。愛するのか。誰に触れられたいのか」


一瞬で、ホワイトとチェシャの手がアレンの左右に伸びた。

ホワイトはしっかりと手を握り、

チェシャは肩を軽く抱くように、悪戯な笑みを浮かべる。


女王はその様子を見て、愉しげに目を細めた。

「……あら、三角関係って、甘くて苦くて、最高じゃない?」


「ちょ、ちょっと待って! 俺、そんな……!」

顔が一気に熱くなる。

心臓がバクバクして、頭がうまく働かない。


ホワイトは小さく囁くように言った。

「大丈夫。僕が君を守る」


チェシャは、真逆に甘く笑いながら耳元で囁く。

「僕の方が、楽しい世界に連れてってあげられるよ?」


女王は高らかに笑った。

「いいわ。舞踏会で、あなたの心を暴いてあげる。――逃げられないわよ」


赤い薔薇の花びらが、ふわりとアレンを包み込んだ。

その香りは甘く、少しだけ危険な匂いがした。


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