Invitation to the Red Fort ☆彡
ワンダーランドに来てから、少しずつこの世界の空気に慣れ始めたアレン。
ホワイトと過ごす時間にも、チェシャの不意打ちにも、少しだけ心が慣れてきた――
……はずだった。
そんなある日の朝。
ホワイトと並んで歩いていると、森の奥から真っ赤な封筒が、ひらりと舞い落ちてきた。
アレンが拾い上げると、封筒の表にはこう書かれている。
「ハートの王国より。鍵の少年、アレンへ。」
「ハートの王国……?」
アレンが封を切ると、甘い香りがふわりと漂った。
そこには、豪奢な城への“招待状”が入っていた。
「君を歓迎する。夜明けの舞踏会で待つ」
――ハートの女王
「ハートの王国……厄介だな」
チェシャが木の枝に腰をかけながら呟いた。
「行くの?」
「うん。俺、行かなきゃいけない気がする」
ホワイトの瞳が少し曇った。
「……危険な場所だ。女王は甘い顔で人を試す」
「試す……?」
「彼女は“心”を揺さぶるのが得意なんだ。君の迷いを、利用するかもしれない」
その言葉に、アレンの胸が少しざわついた。
迷い――まさに今、ホワイトとチェシャの間で感じている感情のような。
「でも、行く。俺、自分の気持ちを……ちゃんと知りたい」
チェシャがにやりと笑う。
「いいじゃん、鍵くん。そういう顔、悪くないね」
ホワイトは小さくため息をつき、アレンの頭を撫でた。
「……無茶はするなよ。僕たちがついてるから」
そして夜。
アレンはホワイトとチェシャと共に、真紅の薔薇で囲まれた「ハートの城」へ向かった。
夜空には三日月が輝き、風はまるで何かを囁くように揺れている。
胸の奥がドクンと高鳴った。
この夜――アレンの心がまたひとつ、揺れ動こうとしていた。




