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ワンダーランド・ボーイ  作者: 櫻木サヱ
白兎に出逢う日

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10/50

A small promise on a moonlit night ☪︎

眠らない森を抜けた先に、静かな小川が流れていた。

水面には月明かりが反射して、揺れる光がまるで星屑の川のように見える。


「……きれいだな」

アレンは思わず息を呑む。

ホワイトが隣に立ち、柔らかく微笑んでいた。

手を握ると、胸の奥がじんわりと熱くなる。


「君、ここで何を願う?」

「願い……?」

「うん。森の住人たちは、願いを形にする力があるんだ」


アレンは少し考えた。

この世界で、自分は何を望むのか――。

現実の世界では叶わなかった夢、守りたいもの、守られたい気持ち。

いろんな思いが混ざり合い、胸が押し潰されそうになる。


「……ただ、ホワイトと、こうしていられたらいいな」

小さな声で呟くと、ホワイトの瞳が優しく揺れた。

「それなら、僕も同じだよ」


その瞬間、チェシャが小川の向こう岸に姿を現した。

「ふふ、また二人だけで甘えてるのか?」

紫の瞳が揺れ、からかうような笑みが浮かぶ。


「ち、違うっ……!」

アレンは慌てて否定するが、心臓は止まらない。

チェシャの視線も、胸の高鳴りも、どちらも拒めない。


ホワイトがアレンの肩に手を置き、さりげなく体を守るように寄り添った。

「焦らなくていい。君の心のままで」

耳元に届くその声に、アレンは自然と頷くしかなかった。


「……約束する。僕が君を守るって」

「……うん、俺も」


小さな声で交わした約束。

月明かりの下、ふたりの距離は少しだけ近づいた。

でも、チェシャの存在が、その甘さにちょっとした刺激を与えていた。


「ふふ、まだまだこれからだね、鍵くん」

チェシャの笑い声が、月夜の小川に反射する。

ワンダーランドの夜は、甘くてじれじれ、そして少し危うい――

でも、その全てが、アレンを魅了してやまなかった。


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