A small promise on a moonlit night ☪︎
眠らない森を抜けた先に、静かな小川が流れていた。
水面には月明かりが反射して、揺れる光がまるで星屑の川のように見える。
「……きれいだな」
アレンは思わず息を呑む。
ホワイトが隣に立ち、柔らかく微笑んでいた。
手を握ると、胸の奥がじんわりと熱くなる。
「君、ここで何を願う?」
「願い……?」
「うん。森の住人たちは、願いを形にする力があるんだ」
アレンは少し考えた。
この世界で、自分は何を望むのか――。
現実の世界では叶わなかった夢、守りたいもの、守られたい気持ち。
いろんな思いが混ざり合い、胸が押し潰されそうになる。
「……ただ、ホワイトと、こうしていられたらいいな」
小さな声で呟くと、ホワイトの瞳が優しく揺れた。
「それなら、僕も同じだよ」
その瞬間、チェシャが小川の向こう岸に姿を現した。
「ふふ、また二人だけで甘えてるのか?」
紫の瞳が揺れ、からかうような笑みが浮かぶ。
「ち、違うっ……!」
アレンは慌てて否定するが、心臓は止まらない。
チェシャの視線も、胸の高鳴りも、どちらも拒めない。
ホワイトがアレンの肩に手を置き、さりげなく体を守るように寄り添った。
「焦らなくていい。君の心のままで」
耳元に届くその声に、アレンは自然と頷くしかなかった。
「……約束する。僕が君を守るって」
「……うん、俺も」
小さな声で交わした約束。
月明かりの下、ふたりの距離は少しだけ近づいた。
でも、チェシャの存在が、その甘さにちょっとした刺激を与えていた。
「ふふ、まだまだこれからだね、鍵くん」
チェシャの笑い声が、月夜の小川に反射する。
ワンダーランドの夜は、甘くてじれじれ、そして少し危うい――
でも、その全てが、アレンを魅了してやまなかった。




