表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/9

5: 邂逅

35分達成。この時点で由良の記録は超えている。しかも余裕を残しているというのは偉業である。


さすがのリアルチートな身体能力と感性だなぁと由良が第一の街で中継されている動画を見ていると、数人のプレイヤーも騒ぎ始める。


WBOは配信者に優しいゲームだ。時鳥の元々の知名度もあり一気に急上昇ランキングに載った配信は、第一の町の冒険者ギルドで流されていた。



「なんだこれ...チート?」

「流石にないだろ。すっげえ身体能力してんな...」

「いや待てなんでそれ反応できるんだよ」

「後4分で第二ボスか...あ、やっと第一ボス撃破した。剥ぎ取りも手際良いな...」

「ボス撃破中の時間って加算されないんじゃないの?」

「撃破すれば加算される。最悪ボス連戦になることもあるぞ」

「ほへー」


ギルドにいた暇人たちが動画を視聴していると、あることに気づく者がいた。


「暗殺者系じゃんこいつ。あーあ、すげえと思ったのに」

「あーそれでか、下方修正入ってんのかな?」

「私暗殺者系統からの特殊分岐踏んだけど、そんなことないよ?」

「死神さん!? なんでこんなとこに!?」

「すごいルーキーが出てるって海鳥ちゃんに聞いてね〜」

「いやけど分からんやろ。下方修正入っとるかも...って死神さん!?」



あ、あいついるのバラしやがった。



「海鳥ちゃんいるの!? どこだああああああああああ?!?!?」

「もうギルド出たって聞いたよ。あっちじゃん?」

「「「ありがとうございまあああああああああす!!!!!!!!」」」


「さて、海鳥ちゃん。この子誰?」

「流石っす死神さん。私のリアルの友達っすよ」

「凄い身体能力だねえ... 取り敢えず見ていますかぁ...」



トッププレイヤー二人に注目されているとは露知らず、時鳥は第二ボスへの対策のための罠を追加していた。


「計算通りにはいかないか... こりゃもうちょっと頑張らなきゃな...」


毒の補充のために少々魔石を使いすぎてしまい、斧と盾の分の魔石が足りなかった。しかも罠も予想以上に使ってしまった。途中からAIが学習したのか、広範囲の罠を稼働させながら死ぬ配下が出てきたのだ。


さて、第二ボスだが、俺には欠片も情報がない。

だからこそ驚いた。



「君が私の相手?骨がありそうじゃない。」

「...海鳥!?」



《コメント欄》

『え?』

『海鳥さんじゃないすか…』

『第二ボスはプレイヤーなんですか⁉︎』

『だとしたらこんな反応しないやろ』



暗殺者ルートの第二ボスは、そのプレイヤーの記憶の中で一番強いプレイヤーが参照される。


勿論、動画などを見ずに来た場合は超強化されたヒューマノイドが相手だった。一応機械型である。しかし運営が「こいつ対策しすぎだろ!? ムカつく! 難易度MAXにしとこ!」となったことで…


成功率2%以下の、『トッププレイヤーの複製体との戦闘』という超絶難しいルートに誘導されてしまったのだ。



「さて...まずは...<魔導開花>」

「くっ!?」



ギリギリでナイフで軌道をずらし、回避する。これが由良という、海鳥というプレイヤーの戦い方である。特殊魔法<開花>系統。この魔法は自分自身の才能を開花させることに重きをおいた魔法である。万能でありながらその全てにおいて超一流の海鳥というプレイヤーは、一桁代常連にまで上り詰めた。



『っぱ化け物だなー』

『対応できるのが流石すぎる』



しかし、それの軌道に干渉する時鳥も大概である。

本来、このゲームにおいてLv.1 とは最弱の存在である。

対して海鳥のレベルは99Limited。現段階で最高レベル。

これ程のレベル差があれば、膂力など赤子と巨人程の差があるだろう。


最適なタイミングで、最適な方向から、最適な速度で、最高の威力の刺突。


一瞬の思考時間でそこまでを計算しきった彼も、また天才である。

事実、運営も「キモすぎワロタwwwwwwww」と爆笑していた。


最も。


その笑顔は、一瞬にして消える。


「...紛い物が。」


底冷えするような怒りの声が、時鳥から発される。


「ん?何を言っているの?「ふざけるな!」」


「海鳥は、俺の幼馴染みのアバターだ!!!!!」


一呼吸置いて、彼は叫んだ。


「紛い物の分際で、軽々しくあいつの努力を盗んでんじゃねぇよ...」



<秘匿通知 運営宛>

<暗殺者ルート・永遠の歩みを開放します。>

<達成条件 NPCへの正面からの威圧 格上への勝利>



その日、絶対に生まれるはずがなかった最強の職業につくプレイヤーが現れた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ