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2: はばたき

俺、神楽坂尊は、この春WBOに出会った。

主にこいつのせいで。


「たける、準備できた?」

「ちょっと待て!心の準備を…」

「あ、もう始めちゃった」


後で殺す。


「はあ...もうちょっと調べたかったんだけどな...」


手足の感覚を確かめながら、俺はそう一人ごちる。俺はスターターズサーバーに来ていたのであいつとは違う場所にいる。


幼馴染みで、やると決めたらそれ以外のことが頭から抜け落ちるアホ、それが橋谷由良だ。


WBOの世界ランキング一桁常連のトップ勢。職業は<魔導剣帝>。一桁常連の面子の中では唯一の無所属。控えめに言って化け物である。


「こんにちは。私は設定AI ギンガ と申します。WBOへようこそ!」


機械音と共に出てきたウィンドウを操作し、設定を開始する。


「設定を開始します。プレイヤーネームを入力して下さい。」


プレイヤーネームねぇ... よく使ってるあれで良いか。


「時鳥でお願い。」

「承知いたしました。職業試験を開始します。転送します...」



職業試験とは、WBOの世界ではゲームをする上で一番大切な要素だ。


試験の内容は、<モンスターの攻撃から生き残り続けよ>。Lv.1の体で、最初に貰える武器を一つだけを与えられるプレイヤーは、モンスターとの連続戦闘を行う。


現在の最長記録は現武力ランキング日本1位、世界でも5本の指に入るファル=アルカディアの45分21秒。『帝王系統』と呼ばれる優秀な職業を手に入れるには30分以上生き残らなければならず、この狭き門を潜り抜けるのは決まってプロゲーマーやある高校の生徒らしい。


生き残るための方法は避けるでも、受けるでも、倒すでもなんでも構わない。但し中ボスを倒さないと途中で強制ワイプらしい。


5分間で次のモンスターがポップし、それ同士で殺し合うこともあれば、協力してプレイヤーを攻撃してくることもある。倒した場合は次のポップまでにステージに隠されているアイテム等々を探すことができる。


「ギャウ!」


黒狼の群れ...俺は直様木を登り、奴等が隙を見せるのを待つ。


「やっぱり最初の選択は毒とナイフが最強じゃねえかな...」


あいつらが標的の俺を見つけられず、まんまと俺が隠れている森の真下まで来た瞬間、毒を投下する。


因みにこれは巷で『ネタ構成』と言われている構成である。その理由は簡単、サブウェポンが消耗品なため長期戦に向かず、かといって潤沢にそれを準備するにはナイフでは火力不足に陥りがちだからだ。


「ギャ!」「ざまあ見やがれ」


悲鳴に誘われて来た奴らを同時に相手取らないように一体ずつナイフで斬り裂いていく。30秒後、全個体の撃破に成功。ここまでで57秒、直様素材を剥ぎ取りもう一度木に登る。


職業試験において、魔物の素材は基本的に次のような使い道がある。



1つ目に、武器の強化。


全ての魔物が有している魔石を使用することで、武器の性能の底上げができる。

最大の強化幅は10。その時点で不壊という武器スキルが獲得できる。さらに、ここまで強化するとさらに50個の魔石を消費してこの武器をプレイ開始時に所持した状態で開始できる。

時鳥が選んだ毒なんかに関しては、性能が上昇したものを12個獲得することができる。


時鳥は24個を魔石を消費して獲得し、残りの4つをナイフの強化に今回は回した。



2つ目に、新しい武器の獲得。


文字通り、一つを消費することで新しい武器を獲得できる。



3つ目に、魔法の使用解禁。

10個を消費することで、魔法の仕様が解禁される。

最初は基本属性の炎、水、雷。特殊属性の光と闇はさらに5つ消費することで解禁される。


さて、時鳥が息を潜めながら、罠を設置して雑魚を虐殺している内に5分が経過した。次のモンスターは…


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