表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

92/92

敗北

 喰牙の雄叫びが止む。


「な――っ!?」


「良い。渾身の、魂の入った良い一撃であったが我を斃すには足りぬ」


 ――なんて奴、練環勁氣功破を浸透勁掌底と合わせてゼロ距離で放った技が効いてないなんて……。


 たぶん私の表情は絶望の色に染まっているのだろう。


「気力、体力ともに今の一撃で随分と減ったか? ならば小娘貴様はこれまでよ。我を相手に良く戦った褒美だ。喰らうが良い。我が究極奥義――」


 下から突き上げるように放たれた腹部への拳撃で身体が宙に浮く。


砕狼闘狼さいろうとうろう撃っ!! 爆ぜ散れいっ!!」


 拳撃の後、どんな攻撃を連撃をされたのか理解できなかった。解るのは私が壊されて地に伏していると言う事だ。乱打戦を繰り広げた時はお遊びだった。一切遊びのない攻撃だった。


 身体から生命が流れ出ていく。伏した地に濡れた赤が広がっていく。


 空間を裂いた喰牙が消えた。


 【夢幻聖獣の戦闘衣】

 常時治癒の回復では間に合わないからか、完全治癒の効果が発動して壊れた身体が治り始めた。


「負けた……。アイツは何だったんだろう。10層のボスを殺害して……まるで存在を否定するような言い方だった。魔石は? 宝箱も放置されたまま……」


 動くようになった腕を動かしてウエストポーチから増血薬液を取り出して飲む。


 なんとも言えない味に顔を顰め、水を取り出して口直しをする。


 感だけど次のワイルド・グリード・ドッグは現れない気がする。その代わりのボスが顕れる。

 初心者ダンジョンが初心者ダンジョンでは無くなる。


 「アイツ……もしかしてこのダンジョンのボスを殺害して回ってる? でも何のために?」


 そんなの決まっている。


「入れ替えるつもりだ……階層ボスを通常魔物に格下げして量産型にする気だ……そうするとボス部屋には変異体を据える気なのかも知れない……」


 そうなるとダンジョンの魔力濃度が上昇してスタンピードが起こり易くなる。


「……最悪。タワーディフェンスゲームを始めるつもりだ」


 何故そう感じたのか。


「『攻略する気がないならば此方から攻めてやろう』ってところかな……。ご自慢の魔物で迎え撃って返り討ちにするはずが、誰も攻めて来ないのは……。でもあっさりと何度も斃されるワイルド・グリード・ドッグはボスとしては失格の烙印を捺された、と……」


 ヨロヨロと立ち上がり、ボス部屋を出る。

 

 ボス部屋を出ると転移結晶があり、起動させてゲートを潜り探索者ギルドの転移結晶ゲートに出る。


 出た私の姿を見た探索者たちが驚きの顔になり、待ち構えていた医療スタッフによってストレッチャーに乗せられ緊急治療室へ運ばれた。


 検査と初心者ダンジョンセットの増血薬液で回復する血液量はたかが知れているという理由だ。

 精密検査もされて完全治癒している事に驚かれ、それでも入院をさせられた。


 理由は初心者ダンジョンの一時閉鎖だ。私の配信を監視していた部署から上層部に報告がされ、上層部が緊急事態だと判断し、閉鎖を決めて、上級探索者へ探索が命じられた。

 それでも攻略では無く、探索だということには呆れる。


 私は、私たちは勘違いをしているのかもしれない。


 レベルFや攻撃力Fなどといったようにレベルにもランクがあって、ステータスにもランクがあるのかも。

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
前回の引きで可能性はあると思ってましたが双樹の攻撃は効きませんでしたね。 しかもボディブローで浮かされたあとはなにをされたかわからないくらいに実力差があると。 魔王にレベル差が圧倒的な状態で攻撃掠らせ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ