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9話

「美ィ……かミィ……翠の……美シぃ……髪ィィッ!!」


「眼ェ……めェ゙……翠玉のぉ゙ォ゙……寄セェ゙ぇ゙ッ!!」


「欲ジぃ……ネ゛たま゛シィ……その……まばゆィ……ばかりノ肢体ガ……瑞々しク、透明感ノある゛ぁ゙肌ぁ゙……」


 ズルリと貼られた皮膚が剥がれ落ちる。

 肉体が潰れる音。骨が削られ擦り減る音。

 手が別の腕を引き千切る。脚をもぎ取る。

 乳房を握り潰す。腹を裂き、詰め込んだ内臓を引き摺り出す。

 その度に魔精の生命が零れ落ちる。

 

「要ラなぃ……こノ身体ハ……アれガ有レば……ッ!!」


 金切り声を上げる魔精。


 私たちは耳を塞ぐも、魔精の金切り声は衝撃となって地面を抉り、空気を殴り付け、私を襲い吹き飛ばす。


 ――って、吹き飛ばされたのは私だけぇぇっ!!


 リーゼは契約精霊の結界に護られていた。


 リーゼが契約精霊に抗議をしている。


 ――私は眼中にありませんって?

 

 いつ以来だろう。存在を無いもの同然に扱われるのは……。


 ――良し悪し問わず見られた私が劣るほどに圧倒的美女と美少女だしね……。


 リーゼは魔精の捕らえようとしてくる汚濁の様な邪気の触手や多腕多手を精霊術や、刀身の身幅がある刀を振るい迎撃し、斬り込んで撃ち落としていく。


それ(・・)しか存在じぶんを許容出来なかったんだね。生きてきた証しなんだね……」


 ただ、そこ(・・)に答えなんてないんだ。

 でも自分が欲しかった言葉や、対応がたまにある。

 空っぽだから憧れた。自ら一歩を踏み出せなかったからぼっちだった。立ち止まって声をかけてくれることを待っているだけだったから、楽しそうなのを眺めて羨やむだけだった。

 現実は立ち尽くす(そのままで在る)ことは許されないんだ。


 ああ……嫌だなぁ……。同族嫌悪だ。


「だからと言って他者から奪って良い理由なんてないんだ」


 空中で身体を回転させて三点着地。


 リーゼが無数に襲いかかる瘴気の触手や多腕を嫌がり、爆風で撥ね飛ばす。


 空中を錐揉みしながら飛ばされて行くのは都合が良い。


 朝な夕な問わず時間があった引き篭もりで得た業を喰らえ。


 天地の龍。全は一。一は全。我は此処に在り。右手は天。左手は地。円を描きようにして氣を練りながら右足を後ろへ引き、腕――手は正面へ構え氣を集束させて、腰を捻りながら腕を引き寄せ、標的に向けて両手を前へ突き出して、練り溜めた氣を解き放つ。


 発勁、震脚、連動する円運動――螺旋の様な動きから直線運動になった時、集束された氣は凄まじい破壊力となって標的を破壊する。


 蒼い氣の奔流が『エンプティネーモ』を呑み込み、圧し流し、そのシルエットが崩れ消し飛んでいく。


 いや、うん。ゲームだからなんか都合良く浸透勁にビームとか出ないかなって思っただけなのに『天元』さん凄い……。


 大気が焼けたのか、吹く風が熱つい。


 痛みや痺れ、汗や血の表現もそうだけどこのゲーム環境体感温度も凄いよね。


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