幕間1
Dコネクター――ダンジョン配信者。
ダンジョン探索者は誰もがDコネクターだ。
ダンジョン探索中は何が起こるか分からない為にパーティーに1機、ソロでは個人に1機必ず配信用のドローンカメラが義務付けられている。
命賭けのエンターテイメント。
リアルタイムのハラハラドキドキと魔物を討つ爽快感が人気となった。
誰でも成れるDコネクター。しかし上級まで生き残れるのはほんの一握り。
それは引退だけの意味では無い。実際に死ぬ様が配信されるというのはよくある事。
それでもDコネクターが居なくならないのは、一攫千金が狙えるのと、人気が出ればスーパーパフォーマンス――スパフォと呼ばれる投げ銭がリスナーから贈られるからだ。
スポンサーがつけば装備面で楽になる。
容姿? まぁ良い方が人気があると言えばあるけれどDコネクターに求められるのは実力。顔が良くても実力が無ければ見向きもされない。
そんな顔だけ、実力はそこそこのDコネクターが生きる道がDアクションアイドルだ。
それに対して実力を付けてダンジョンアタックの配信をしようとするDコネクター事務所も誕生した。
Dコネクター事務所ロコニオ所属 時雨 優奈もそんなDコネクター配信者だった。
そう、だったのだ。
「ヒュー……ヒュー……」
優奈の視界は霞み、涙もかれ、鼻水も乾き、虫の息だった。それでも優奈を生かしてしまっているのは探索者の生命値。それも減って来ている。
『誰か、誰でも良いから疾く駆け付けて優奈ちゃんを救けてくれよ!!』
『まだ優奈は生きてんじゃん!!』
『イヤイヤ、こんなん二次被害が出るだけっしょ!』
『御香典です。¥10000』
『何縁起でも無い事やってんだ! 悪巫山戯が過ぎるだろ!!』
『現実見ろよ。誰も間に合わねぇし、優奈が息引き取るほうが早いだろ。どう見ても¥5000』
切実に優奈の救助を願う者、冷静な者、Dコネクターを看取るリスナー特有の悪巫山戯を行う者でコメントが入り乱れ喧嘩になる。
優奈の腹を割いて中を弄り回していたオーガの頭上に影が差し――
「天雷」
その脳天に尋常では無い衝撃と重さが加わり、オーガは地面へと顔面を踏み付けられ土下座の姿へと強制的にさせられる。
「消毒、復元、回復。此れで一命は取り留めたはず。後は彼女の回復力次第」
オーガが頭を上げようどするも何者かの足はびくともしない。
オーガの足掻きが鬱陶しかったのか、何者かは足を退け、オーガの顎を蹴り上げると、回転し、蹴撃一閃オーガを蹴り飛ばした。
「意識はある?」
優奈は弱々しく頷く。
『は?』
『オーガが地面とキスしてんだが?!』
『いや、美少女がオーガの頭踏み付けて、強制的にさせてるんだがっ!?』
『オーガメッチャ足掻いてんのにびくともしねぇw』
『優奈ちゃん救出されたのか』
『何処の誰だか知らないけどありがとうありがとうありがとう』
『ウッソだろ! オーガを蹴り上げて顎砕いて、腹蹴って斃しちまったぞ』
『つっよ!!』
コメント欄が優奈を救った謎の少女の正体についてのコメントで溢れ流れていく。
少女は優奈を背負うと出口に向かって駆け足で向う。
第五層に在る結晶柱。背負った優奈が少女に転移結晶――通称転移門だと教える。
転移門は探索者ギルド内の入場転移門に繋がっているという。
少女が転移門に触れた次の瞬間、喧騒が少女の耳に届く。
入場転移門の前には医療スタッフがスタンバイしており、少女は優奈をストレッチャーに寝かせると、少女は医療スタッフに施した応急処置を告げると、少女は立ち去ろうとして、ギルドの職員に呼び止められた。




