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プロローグ1

 私を迎えに来たリーゼはアルシェさんとギルマスのもとに向かった。

 リーゼはリーゼで向う場所があるという。


 私が選手登録をするという話が受付嬢のシュリカに伝達されていた為に、あっさりと選手登録が受理された。


 今回は私みたいな小娘が、と前回の様に絡んで来るような冒険者は存在しないようだ。

 それともあれかな? フェイスオフでの罵り合いや乱闘はするな、とか、文句があるならばリングの上で実力で語れ、とでもギルマスに厳命されたかな?


 ルールは場外や降参、殺したり、無闇矢鱈に卑猥に辱めると負け、それ以外は何でも有り。


 卑猥に辱め無ければってルールを設定しないと女性冒険者の参加者が居なくなるからね。

 性別を分けないのか? ナイナイ。男性冒険者より強い女性冒険者も居るからね。弱い男性冒険者が無双したくて女装して女性限定の試合に出場してしまうかも知れないからね。


 閑話休題。


『鬱陶しいぞガキ! 話は聞いてんだぞ、テメェの親父は敵前逃亡して騎士を除隊させられてこの町に逃げて来た臆病者立ってな!!』


『違うっ! 父さんは――』


『違わねぇだろが! 冒険者と騎士働きの違いも解んねぇのにダンジョン潜って、大怪我してまともに戦えなくなって腐ってた所をテメェの母ちゃんの親父に拾われて、料理人になったんだってな』


『そんな情けねぇ奴が働いてる宿に泊まって飯なんか食えるかよ』


『負け運が逃げぐせが付いちゃあ堪んねぇぜ!』


 なぁっ!! と周囲に同意を求めて、回りの冒険者たちも同意する。


「ミリアちゃんって言うんですけど――」


 シュリカが話してくれたのは、どうやら法剣武闘大会が開催される事が内部からリークされたという。


 リークした者はすでに懲戒解雇されていて、下水道で発見されたという。


 それはさておき、祭りとなれば商戦だ。クランの拠点持ちも、宿に泊まるにしても、食というものは付き纏う。

 そこで食堂や宿屋が情報戦で客を獲得しようとした。

 リークした職員と【ラグジュアリアス】の経営者――商家と懇意で、ミリアの両親が経営する【シヴァンリル】という宿屋兼食堂の真ん前に【シャアムミーズ】というレストランを開いて潰しにかかっているという。


「へぇ……此処からも近い良い立地に在るね。だから、ライバルは潰す、か」


「そうなんです。そのですね、ギルドも食堂が併設されてますが――」


「依頼に来た人や職員が利用しようとは思えない、か」


 そうなんです、とシュリカは頷く。


「宿屋兼食堂は衛生にも気を使って居るので、冒険者は裏手のお湯場で汚れを落としてから食事をしなければなりません」


 それを面倒がる冒険者は先ず来ないし、最初から相手にしていない。

 けれど職員や住民は利用する。なんとテイクアウトも可能なのだとか。


 けれどランクの高い食材が使われた料理がお手頃価格で購入出来たら?


 ライバルの悪評が流れたら?


「新しい方に行っちゃうかぁ」


「流行に乗る、話すのも交流ですから……」


 チラリとシュリカが食堂を見る。


「あれって……」


「はい、ソウジュさんが作られたのを見様見真似で作ってしまいました」


「でも、私の口に合いそうにないや」


 チキンカツは油が切れていないし、タルタルソースが作れなかったから、卵の黄身をソースにしたものを使用してる。レタスをチキンカツの受け皿のようにしてパンで挟んでいる。

 ん?


「あれって……」


「アンチドーテですね。たまに当たるんですよ」


 火が入ってない生揚げ状態だし、余熱で中まで火を通すって事をしていないからだね。

 見ていると肉が分厚い。これは冒険者からの要望かな?


 普通なら営業停止処分。


「ヨウ・マネトル料理長なんですけど、ご自身がとある冒険者に提案したと言って……」


「まあ、意味も解らず出しているようじゃあ二流かなぁ」


「え?」


 気になっていそうなシュリカに私はアルカイックスマイルを返す。

 

 それで何かを察したシュリカが程々に、と言う。


 私は手を振り、了解と合図を送り、ミリアのもとに向う。


「じゃあ、私を貴女のお家が経営する宿に泊めてくれないかな? 私もセンヴァーリアを拠点にした冒険者で、大会にも参戦するんだけど宿が無くて、ね」


「ぁ、で、でも……」


「ああ、うん、話は嫌でも聞こえたよ。声大きかったからね。でも、私は気にしないなぁ。私、ただの噂を信じるほど弱虫チキンじゃないからね。あと、勝つ自信があるから。お風呂、清潔な寝床、美味しい料理があれば私負けないので」


「ありますっ!! 全部ありますっ!!」


 泣きそうだったミリアの顔が明るくなる。


 女の子を泣かせた奴は絶っっっっ対にボコす!!


 殺意をこめて男を射殺すように睨めば、男が辟易たじろぐ。

 

 絶ッッッ対にブッ潰すッと言う威圧を加えると、何人かの男冒険者が内股になって股間を押さえる。

 周囲を煽っていた男冒険者が尻もちを着いて失禁した。


「チキンざぁ〜こ」


 侮蔑の一言を残してミリアを連れてシュリカのもとに戻った。


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