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プロローグ

 亡くなった者たちは生き返らない。亡くなって生き返る――生き返らせられるのは勇者と勇者の仲間のみの特権だ、とアルシェさんは言う。


 それに納得していないのがギルマスとフレイヤさん、ギルドの職員たちに冒険者たち。


 国からの使命を帯びた者たちか在野――民間の、ただの冒険者――高貴な敬虔で貴い聖職者たちから見れば無頼漢との違いだ。


 勇者たちを蘇生するのは、要するに彼らには廃人になるまで戦って貰わなくては困るからだ。

 勇者の加護だ聖女の力とかを顕現させる者、授かる者、それに適応する身体や魂を持つ者が簡単に現れたり、召喚出来るはずがないからだ。


 ギルマスやシルヴァラのメンバーの武器を見たけれど、辺境最優の冒険者の一級品の武器が刃毀れしていた。

 素材を集めるにしろ、買うにしろ、立て直す資金が必要であり、スタメンというかレギュラーというか、そんなパーティーが崩壊したクランは若手を早急に育成しなければならず、此方も立て直す必要がある為に資金は必要で、他にも遺族への見舞金だったり、補償・保障だったりで、辺境伯とギルマスとしても喫緊の課題でもある為、私の総取り辞退は願ったり叶ったりだっただろう。


 ――それで亡くなった仲間は還ってこない。お金で解決なんて出来ないんだけど……。


 私は私の依頼料と首謀者――オコノミ討伐賞金だけを貰って、アルシェさんとともに冒険者ギルドが保有する馬車で、アルシェさんが住む家が在る【孤月の森】の入り口まで送って貰う。


 何故、自宅前ではなく森の入り口――森の外までなのかアルシェさんに問うと、孤月の森は一般人や冒険者ギルドに所属する御者、最優の冒険者だろうと超危険地帯だからだ、と言う。


 【孤月の森】に住まう魔物、魔獣の一体一体が単独で国を壊滅させるほどの力を有していて、それらは常に縄張り争いをしていて、弱肉強食故に進化を遂げる個体も現れる。

 その個体からは希少な素材が採れる。進化せずとも強力な魔物、魔獣ばかり故に通常では市場に出回らない素材が採れる。それに森にはどんな資源が眠っているのか、アルシェさんですら調査の手が回らないという。


 未知の資源は喉から手が出るほど欲しいが、危険故に何人も近付かない。

 国が調査の為に研究者と騎士を派遣したが這々の体で帰還していった。

 アルシェさんには国から何度も要請があるらしいが、調査と警戒、戦闘を一人で担わないといけないので拒否しているという。


 ――当然だよね。


 一度お偉い人が来て、まくし立てて命令して強制して来たが、そのお偉い人と護衛は未だに行方不明だと言う。

 捜索隊が来たが早々に帰還したというから、大して重要な人物では無かったのだろう、もしくは体の良い厄介払い――処分方法だったのだろう、とアルシェさんは語る。


 アルシェさん説得より、冒険者を掌で転がし、踊らせたほうが楽だ。

 一発当てよう、一攫千金、名を上げようとする冒険者――王都の冒険者たちが挑んでは返り討ちにあい、運良く生き延びた者はセンヴァーリアの冒険者ギルドで燻ぶっている。

 私に絡んできた冒険者がそれだと言う。


 冒険者や騎士なら、連携とか陣形でどうにかならない? と問う私に、国を滅ぼせる相手に人間の連携や陣形など役に立つものか、誰かの手助けなどする余裕などない、と返された。

 

 そんな森にアルシェさんは住み、リーゼは弟子として住み込みで助手もしている。


 自分の力だけで斃せる。それほどの強さを有しているという証だ。

 

 ――それでも、製作運営の創った魔物には敵わない。アールヴイーターや夢幻一角馬人も運営が創ったものだと言うなら、“アールヴは勝てない”という制約に縛られてる。ということは、抗おうとしていたリーゼは、ゲームでは死を定められたキャラクターだった、ということになる……けど、ゲームにしろ現実にしろ私が夢幻一角馬人もアールヴイーターも斃したからリーゼは生きている……けど……。


 修正力とかで殺されないか心配だ。


 私はアルシェさんの下でこの世界について学ぶと同時にアルシェさんの調査をリーゼとともに手伝う。

 私としても帰還方法の手掛かりが見付かれば良いなと思っている。



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