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エピローグ

 私とリーゼはエルフェンリートの森の出口まで歩く。

 勿論、調査に来た彼女の姉や兵士達を避けて。


 普段、リーゼはセンヴァーリアという町と孤月の森に住まう師匠であるアルシェという考古学者のハーフアールヴの女性の家を拠点にしているという。


 センヴァーリアは昔々魔神と戦った勇者が興した町だと教えてくれた。

 リーゼの戦技は師匠から学んだものらしい。

 なんでも勇者が使っていた戦技なのだとか。

 なんでも師匠が古い本から型を読み解いたとか。

 そして、勇者の流派を騙る道場は各地に在るという。冒険者の中にも、その流派を修めた者が居るという。


「ソウジュのあの技は?」


「私の武術は母さんから教わった戦技だよ」


「名の知れた武闘家だったのね」


「どうかなぁ。誰かと戦ってる姿を見たこと無いからなぁ」


 害人によって治安やモラルが悪くなって来ていたけど、ストリートファイトが起こるような場所では無かったからなぁ。ただ実力は有るとは聞いたことはある。


「弟子とか取っていなかったの?」


「弟子は取ってないよ。身体が鈍らないように、て感じかな。戦技が使えるただの主婦だよ」


「戦技が使える主婦は普通の主婦ではないわよ」


 私たちは趣味趣向など他愛の無い話をして森を出る。


「ソウジュ。此処でお別れね」


「そうだね」


「貴女のお蔭で因習から解き放たれた。姉様も妹も救われたわ。ありがとう」


「私は声かけてきた変質者と魔獣を退治しただけ。でも、うん良かった。退治したことでリーゼの姉妹を救えて」


 リーゼからの感謝の言葉を受け取る。


「それで、ソウジュ。これを受け取って欲しいの」


 リーゼはその耳から精緻な透かし模様の耳飾り(イヤーカフ)を外し、差し出して来た。


 私は受け取ると、コレは? と聞いた。


「ソレは遠く離れた者に声を伝える耳飾りよ」


 リーゼは片耳のイヤーカフに触れる。

 小さな鳥――鶺鴒に似ている。


「風の精霊鳥が片割れを持つ者に声を運んでくれるのよ」

 

 あぁ、鶺鴒は瑞鳥だ。恋教え鳥だとか恋伝え鳥とも云われている。

 それと似たような云われがこの世界にもあるのだ。


「こんな事を誰にでも軽々しく行わないんだからね!」


 耳を朱に染めて言うリーゼが可愛らしい。


 私は耳に着ける。


「ありがとう。リーゼ」


「このコがセンヴァーリアの町まで案内してくれるわ。冒険者ギルドに行って、忘れずに身分証明の登録しなさいよ」


 町でまた会いましょう、と私たちは再会を約束して別れた。

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