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終幕2

 プレイヤー『』によって【森に棲みつく魔に堕ちし精霊】が討滅されました。

【エルフェンリートの森】が解放されました。

【精霊が生まれし泉と世界樹】が解放されました。


 全プレイヤーにアナウンスがされた。


 各プレイヤーはまたもやレイドボスがソロプレイヤーによって単騎撃破、攻略されたことにざわついた。

 

 プレイヤーたちは情報を集めた。だが、最前線攻略組、商業系、生産系プレイヤーたち誰一人、該当するプレイヤーの情報を得られなかった。

 

 そもそも、アールヴ――特にエルフェンリートのハイアールヴの地が何処にあるのか分からないのだ。

 最前線攻略組さえも。

 だが、地図ではエルフェンリートが表示されている。

 最前線からも海を越え、遠く離れた地に在った。

 その間が白く濃い霧がかった様な状態なのだ。最前線のマッパーがお金になる情報を売らないでいられるはずがない。

 

 故に『』のプレイヤーは【ファントムシーフ】と名付けた。

 レイドボスのドロップアイテムを未だ見ぬプレイヤーが独り占めにしたから、畏怖と嫉妬を込めて。



「どないなっとんねん! 未だ見つけられてへんのかい!!」


 怒りと焦りを見せる小此見。


「どこのどいつや。生存しとるプレイヤーデータが在らへんってどういうことやねん。こいつホンマに亡霊やないやろな……」


「ペイトン、また荒れてるのか」


「うっさいわボケ。俺らの遊戯盤で好き勝手にしよる奴が居るんやぞ。キレて当たり前やろが」


「生存プレイヤーの位置は掌握済み。生存プレイヤーがチートを使っていれば抗ウイルスプログラムが奔ってゲームからもリアルからも即BANされる。だが、それが無い。俺も調査には出ているが、形跡する無いのが実状だ」


「なんや島やん? えらい余裕やな。俺らのゲームが好き勝手されとる言うのに」


「腸は煮えくり返る思いだ。だが、この手で断罪し晒し首にしてやるのも一興。だが、ソレはついでだ。忘れるな」


「……始めは文句ばっかタレとった奴らも、助けが来んっちゅうのを理解したんやろな……。自分に投票した奴、ぶっ殺したるっ言うて攻略をしよる。まぁ攻略してもらわな困るんやけど、誰が攻略出来るか、人の命を食い物にする連中が金を賭けよる」


「維持せねばならないからな。ゲームを維持出来ず、被害者の救出も出来ず死なせたとあっては、今の政府の信用度では支持率が木っ端微塵に消し飛ぶからな。そうなっては党の存続すらも出来ん。黙認するしかなかろうよ」


「せやかて島やん。おもろないやん。『ファントムシーフ』のせいで恐怖と絶望が涙流して隅で膝抱えて泣いとるんやで。そんなんなぁ、炙り出したなるやん」


「何を考えている?」


「安全圏を無くすんや。こんな風になぁ!!」



 【『ファントムシーフ』に懸賞金がかけられました。尚、達成されない場合、街、村、ダンジョン、フィールドの安全圏が消失します】


 討滅すべき運営陣からアナウンスがなされた。

 

 高難易度クエストがクリアされる度にクリアしたプレイヤーを指名手配して排除していくつもりか――自分たちの首に鎌をかけるプレイヤーを排除するのか――と当然の事ながら内外問わず炎上したが、ゲームに意識を転移させたままの小比見たちには届かない。


 現実では『ファントムシーフ』くん、または『ファントムシーフ』ちゃんが運営陣を討つファンアートが描かれ、『ファントムシーフ』を応援しようという機運が高まり始めた。

 

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