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終幕1

 眼玉を覆う皮膜。そこから脈が伸び、うねる。

 それが始まりの姿。

 精霊が誕生する泉で生を受けた。丸い形、小動物型、魚型、大型動物、虫型、人型。姿形は千差万別。大小様々の精霊が生まれた。

 ただ、共通するのは愛くるしく、または美しい姿形をしていた。

 その中でも一際美しいものが在った。

 美しく煌めき夜空の様な精霊が在った。

 発生したばかりの精霊たちを見守り、祝福しているかの様に佇まいだった。

 

 アーティルキス。

 それが精霊たちの始祖。姉であり母である存在ものとされる女神。

 

 アーティルキスが此方を見て目を瞠る。

 微笑を浮かべ手招きする。

 それに従いふよふよと近付く。


 精霊たちが左右に割れる。

 その中を浮遊し、聖黒の女神の下へ。


『お前は何者に成るのだろうな? だが、その眼は良い。名を与えてやろう。お前は今日から■■■■だ」


 もう思い出せない名。


 名乗る資格を自ら手放して捨て去った名。


 名に負けない美しい姿が欲しかった。

 私を醜いと消し去ろうとした精霊を乗っ取った。

 それからは簒奪を繰り返し、何者かも分らなくなった。

 森の神と崇め鎮めようと美しい贄が捧げられた。

 どれほど美を集めれば、獲れば私は仲間に慣れるのだろうか。


 美を吸い取ったアールヴはいつしか森婆として私の手足となり美を狩り始めた。


 アーティルキスではないがその姉妹、翠緑の女神が在った。だが、霊格を落として契約者が居た。

 なんと愚かな。だが零落した存在なら、その身体を頂いても構わないだろう。

 襲いかかるも、忌々しい契約者が阻む。

 契約者も美しい。我が一部と成ればお優しい女神のことだ、隙を見せるやも知れぬ。 

 勝算の低い賭け。苛烈にアールヴの娘を攻め立ててやる。

 それを嫌ったアールヴの娘の爆風に弾き飛ばされたところで清浄な青の奔流に呑み込まれた。

 存在が削られ消されていく。

 

 あぁ……コレが死に際にみる――

 

 

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