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 俺の名前はライト20歳。

 日本出身の俺は女神様により、異世界へと転移させられた。

 町並みは、よく読んでいる異世界小説で描かれている中世ヨーロッパみたいな感じで、別に感動とかはない。


 転移する際に、与えられたのがスキル【ギフト】と金貨100枚、それと、こちらの世界の言葉と文字が分かるように、してもらった。

 

 【ギフト】は自分以外の人に、どんなスキルでも与える事のできるスキル。

 このスキルでは自分を強化する事が出来ず、金貨100枚で奴隷を買って【ギフト】で強化して戦わせる為に、女神様は俺に金をくれた。

 別に奴隷じゃ無くてもいいが、普通の人に「俺の為に戦ってくれ」って言っても、「はい、分かりました。 戦います」とは成らないだろう。

 だから俺の命令を忠実に利いてくれる部下みたいな存在が必要なわけだ。

 そうなると奴隷が手っ取り早く、俺の願いとしても、可愛い女の子とイチャイチャしたいから、奴隷がいい。


 女神様には町の中で奴隷が売っている場所に、転移させてくれと頼んだ。

 俺の眼の前にある店……【奴隷商】と書かれている。

 

「間違いないな! ちょっと緊張するな……」


 何だろうな……初めて奴隷を買う事に罪悪感は無いのだが、購入した女の子と、エッチな事をする事を考えると、心がドキドキして緊張してしまう。


 俺は勇気を出して、お店のドアを開き一歩前進して中に入る。


「いらっしゃいませ」


 おっさんの声だが、黒いローブ着ており、顔はフードで半分しか見えないが、たぶん男だろう。

 怪しい気配を出すおっさん。

 それに店自体も薄暗くて雰囲気がある。


「私の名前はロブス。 ささ、お客様こちらに……」


 大体俺の目的は把握しているようで、名を名乗ると俺を手招きして、奥の部屋へと誘導してくる。


 この男できるな!


 話が早くて助かる。

 緊張しているので、説明する手間をなるべく省きたい。


 奴隷商ロブスに導かれるままに中へと入ると、檻の部屋が何個もあり、部屋一つに5人の奴隷らしき女の子達がいる。

 その女の子達は手にブレスレットがハメられており、みんな俺の方を注目している。


「さぁ〜お客様ですぞ……皆やりなさい」


 何をやるんだろ?っと疑問に思っていると、奴隷の1人が口を開き、俺に話しかけてくる。


「ご主人様ぁ〜……私はナリアといいます。 戦闘は出来ませんが、頭は良く計算が得意なので、お店を任せるなら私を買って下さい」


 ああ、そういうことか……奴隷達に取って、自分を買って貰う為のアピールタイムという事か!


 他の奴隷達を次々に俺に名を名乗り、得意な事を教えてくれる。

 こうする事で俺が求めてる奴隷が、すぐに分かる。

 助かるのだが、皆、可愛くて美人だから迷う。

 

 いや~これは困ったなぁ〜……どうしよう?


「お客様、お決まりになられたでしょうか?」


 全ての奴隷がアピールし終えると、ロブスは怪しげに笑い、俺に問いかけてくる。

 奴隷達から注目され発言に悩む俺は目が泳いでしまう。

 チラッと視界の端に入って来た、寝転んでいる脚と腕が無い娘に意識が行ってしまう。


「その寝てる女は?」


「ああ、それは魔物に手脚を食われた欠損奴隷です。 もうすぐ廃棄するつもりなので、お客様には不要です」


 詳しく聴くと……


 何処かしら身体を欠損している奴隷を欠損奴隷と呼ぶみたいで、ある程度の期間置いといても売れない場合は、廃棄といって山に捨てるらしい。

 

 何か……可哀想だな……


 この世界には魔物がいるのか。

 異世界小説あるあるだが、その魔物に襲われて苦しんでいる人がいる。

 その事実があまりにも悲しい。


 俺がいた日本がある世界には魔物なんて存在しない。

 だから、こんな悲しい事が身近で起きてるなんて嫌だ。

 どうにか、この娘を助けてあげたい。


 俺の目的は、俺の代わりに戦闘を引き受けてくれる奴隷を買う事だが、自分の目的を優先するよりも大事な事がある。

 もうすぐ廃棄されてしまう、この娘を購入してあげるぐらいしか出来ないが……それでも、何もしないよりはマシだ!


「その娘にする。 欠損奴隷を俺に売って下さい!」


「な、何をおっしゃいますか!? 正気ですか? 欠損奴隷ですぞ?」


「はい、分かってます。 でも助けてあげたいんです。 魔物に人生をめちゃくちゃにされて、苦しんでる、この娘を! それに嫌なんです……誰かが苦しんでるのに、自分だけ幸せに生きるなんてぇ!」


 俺の言葉に押されて、黙り込むロブスは、しばらく何かを考える。


「……わ、分かりましたぞ! 初めての事なので大分驚きましたが。 ここまで酷い欠損奴隷を購入する人が現れるとは思っていませんでしたが、買って頂けるなら私にとっても、この奴隷にとっても悪い話では有りません」


「あ、ありがとうございます!」


「いえ、こちらこそ、ありがとうございます! それと欠損奴隷なのでお安くさせていただきます」


 その後は、応接間のような所に移動して、規約の書かれた契約書にサインして奴隷が来るのを待った。


 契約書の内容は簡単なもので……


 1、購入した奴隷を返品しない事。

 2、奴隷は好きなようにしていいが、殺すのだけは禁止。

 3、返品は出来ないが、売る事はできる……その場合は買った時よりも安くなる事を了承して下さい。


 以上の3点……規約といっても、たったこれだけである。

 別に奴隷の性格が悪いとか、不備があったからと言って返品したりしないし、売ったりもしない。

 殺すなんて可哀想な事、チキンな俺には無理だ。


 そうこうしているとメイドの女性が、欠損奴隷をお姫様抱っこして運んできてくれた。

 さっきは寝転んでいて分からなかったが、俺が座っているソファーに降ろされた娘の容姿は、銀色の短髪で前髪の方が後ろ髪より長く、ボウイッシュな顔立ちをしていて可愛らしい。

 服はヒラヒラした白いワンピースみたいなのを着ている。


「ボクの名前はキリカ。 ご主人様、こんな欠損奴隷のボクを買っていただいて、ありがとうございます。 どんな命令でも喜んで引き受けます」


 うわぁ〜ボクっ娘だった。

 まさかのボクっ娘!?

 これは当たりだ……俺のド.タイプ、直球ストレート、ド真ん中だ。


「あぁぁ、よ、よろしくぅ……」

 

 あ、やばい、また緊張してきた。

 お目々クリクリで可愛過ぎたろうぅぅぅおおお。


「それではお客様、お支払いをお願いします。 普通の奴隷だと金貨30枚になりますが、欠損奴隷の中でも酷い方なので金貨3枚になります」


 俺はポケットから金貨100枚入った、パンパンに膨らんだ巾着袋を取り出して、その中から金貨3枚をテーブルの上に置く。


「ありがとうございます、確かに受け取りましたぞ。 それとお客様の名前を聴いてもよろしいでしょうか?」


「ああ、俺の名前はライトだ」


「ライト様ですね。 いつか名を揚げて大きくなる、お方の名前、よく覚えておきます。」


 ははは、何だその冗談……俺が有名になるって、有り得ないだろう。












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