表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/34

第四話 王子様に恋をしたお姫様(Ⅱ)

毎度区切る所がテキトーですいません、大体5000字位って所の句読点で句切っているので、ぶつ切りになってしまいます。

「なんでぇ、見ないでって、言ってるのにぃー」

「いやいやマリーのそんな顔も美しいよ、実に綺麗だ。これは画像にして、私の寝室の壁紙をこの顔で埋め尽くしたいくらい?」

「いいわね、貴方の部屋に行く度にこの顔を見られるなら、レニに少し怒られてでも貴方の部屋に行く理由にはなるわ」

「だから、見ないでって、言ってるのにぃ、これ以上マリーを辱めないでぇー」

 うわん、うわんとマリーは先程とは違う意味で涙を流します、これは悲しみの涙でもあり、嬉しみの涙でもあります、マリーにとっての非日常は終わり、いつもの日常に戻りました、明智さんの悪巧みにマリーはなすがまま身を任せて、それに泥棒猫が乗ってくる、いつも通りの日常です。そしてこれもマリーにとっての日常です、ミライ君とキャプテンさんが凄く冷めた瞳でこちらを見ています。もうマリー達のこの光景は見飽きたと言わんばかりの瞳で、まるでマリーの朝のルーティンになっている金魚の餌やりをする時の様な瞳でこちらを見ています。その瞳でこちらを見られるのは、少し恥ずかしくて耐えがたい光景なのですが、明智さんは誰かに見られている時の方がいつもより活発になります。

「キャプテン、明智が倒れたとか、明智が俺達に用事があるからとか言っていたから来たはずなんだけど、俺に間違った情報送った?」

「いやぁ、僕も本社からのメッセージを聞いて、スーツで飛んできたんだが、多分情報は間違っていないんだと思うんだが…。まぁ、帰るかい?送っていくよ」

「そうだね、レニの迎えもあるし、送ってもらおうかな」

 達観した表情でミライ君とキャプテンさんは、この部屋を後にしようとしました。それは困ります、明智さんと泥棒猫が残って唯一静止してくれるミライ君が帰ってしまっては、マリーは恐らく明日には、お姫様が出してはいけない声で挨拶しないといけません。そしてキャプテンさんが帰ってしまっては、本当にマリーが危険な状況に陥った時に止めてくれる人が居なくなります、だからこそ二人にはなんとか残ってほしいのです、マリーが狼さんに襲われる前になんとかこの状況を打破してください、お願いします。

「いや、待て特にミライ、君だ、君とサチアだけは今すぐ帰す訳にはいかないかな」

「残念だけど、俺は明智やサチア、マリーがやっている行為にそこまでの関心は無いよ」

「それは、一青少年として、どうかとも思うが……ってそう言う話ではなくてだね」

 確かに明智さんとサチアさんの営みを見ても、ミライ君と泥棒猫は姉弟だから思う所があるのかもしれません、けれどそんなミライ君でもマリーと明智さんの情熱的な営みを見れば、きっと何かを感じるとマリーは思うのです、いえ、感じさせてみせます。とマリーは謎の信念に突き動かされそうになりましたが、今話している事はそういう話ではないというのも、マリーには理解できています。どうですか?泥棒猫は明智さんが何を話そうとしているか、わかりますかぁ?相変わらず、泥棒猫は澄ました顔をしていて何を考えているかマリーにはわかりません、ちょっとイラっとします。

「言っただろう?第五課で話し合って、この情報が本社の人間ないし、国のお偉いさんに知れ渡る前に、なんとしてでも私達だけで話し合う必要があるって」

「そんな内々で処理したい情報というのは、なんなんだい?それこそミライとサチアが関係している話って…明智、それにサチアとマリー、君達は今日何を見たんだ?」

 マリーと泥棒猫は何も見ていないんですが…、けれどそれでも明智さんがここまで、すぐさま解決しようとするなんて、意外でした。いつもなら『私なら明日からでも大丈夫さ』なんて語っている明智さんなのに、今日の明智さんはそれを断じて許しません。

「それなら要件をとっとと言って欲しいかな、レニのお迎えをしないといけないんだから、どうせサチアは今日帰ってこないんでしょ?」

「ええ、生憎急用ができてね、レニにはゴメンネって伝えておいてくれると助かるわ」

「はいはい、流石に二日も帰ってこないなんてマネしたら、締め出すからな?」

「それをしたら、あの家がゴミ屋敷になってレニを苦しめるのは、ミライの方よ」

 『なにをぉ?』とミライ君と泥棒猫のいつも通りの喧嘩が始まりました、マリーが見ている限り、ミライ君はレニちゃんを物凄く大切にしています、お姫様を扱うように、宝石を磨くようにです。レニちゃんとの約束を基本優先しますし、この前教わった料理もレニちゃんの好きな食べ物だからと言っていました、けれどこの薄情泥棒猫はそんなレニちゃんよりも明智さんとの時間を優先する事が多々あります、明智さんにはマリーが居るのに…。だからマリーはこれを機に言ってやる事にしたのです。

「この泥棒猫ぉ!貴方はぁもっとレニちゃんとの時間を大切にしなさいぃ!」

 マリーは日ごろのうっ憤を晴らす意味合いも込めて、全力の心の叫びを放ちます。あの年ごろの女の子より、一人への情欲を優先させるなんて事は笑止千万です!マリーには明智さんしか居ません、だからマリーはいいのです。けれどレニちゃんには貴方が必要な筈です、それなのに貴方という人は!マリーは自分の事を棚に上げている?気のせいです。

「別にいいのよ、私は…それで明智、私達が関係している話って?まぁ予想はつくけれど」

「10月12日、13日それがサチアそしてミライの誕生日である事は間違いないね?」

「俺達にプレゼントでも買ってくれるの?」

「ミライとサチアの誕生日がどうしたんだ?また2ヶ月先の事考えても仕方ないだろ?欲しい物を言ってくれる機会を作ってくれたのなら、こちらとしても大助かりなんだが」

 マリーは、確信する事ができました、キャプテンさんの言う通り、確かめたかった事というのはミライ君達の誕生日についてだったのです、そしてその日にサプライズパーティをやるという…、でもサプライズパーティをするのに確認してしまっては、サプライズにはならないかも?とマリーは考えました、けれど明智さんの事です、なにかいい作戦があるのでしょう。

「そもそもその日に産まれたとは限らないけどね、この会社に入社するのにあたって戸籍が必要だったから、色々用意しただけの嘘っぱちよ?それは貴方も知っているでしょ?」

「あぁそれは知っているし、プレゼントも考えておくよ、でも話したい事はそれじゃない、サチア、ミライ君達はなんで誕生日を1日ずらしたんだい?」

「それは、えーっと、確かぁ」ミライ君が目を逸らし少し考えます、偽造した物ならば覚えていないのもしょうがない事かもしれません。

「私が姉で、ミライが弟だからよ、文句あるかしら?」考えるミライ君とは違い、泥棒猫は事前に考えていたような言葉を並べます、その姿にマリーは少し違和感を覚えました。

「えっと、話しが見えないんだが?明智は一体何を聞きたいんだ?」

「そうだね、私としたことが動揺もあって、遠回りしすぎたのかもしれない、端的に結論を出して、そして聞こうか。サチア、ミライ君達は裏切り者かい?」

「なぁ!?」マリーは驚きます、泥棒猫が裏切り者の可能性は考えましたが、まさかミライ君もだっただなんて、少しショックです。けれども裏切り者であるのならばしょうがありません。マリーはデスクの近くにあるプリンセスソードを構えます。

「根拠を聞いてもいいかしら?理由も無く、あの剣で斬られるのはちょっと嫌なのだけれど」なんとか泥棒猫が言い訳を探していますが、マリーは甘くありません。

「マリー、その矛を収めろ、まだ確定した話じゃない。確定した話ならば第5課を集めたりしはしないよ、これは確認だ。君達が味方なのか、敵なのかの…ね」

 明智さんに言われた通り、マリーはプリンセスソードを傍に突き刺します、けれどいつでも抜けるような状態にはしておきました、あちらが奇襲をしかけてきても、明智さんの事だけは絶対に守れるように。

「サチア達の擁護をする訳じゃないが、一体どうしてその思考になったのか、ここに居る全員にわかるよう教えてくれ、いきなり敵と判断されて手を出すべきかの躊躇いが出てしまう」キャプテンさんの言う事も確かです、マリーに躊躇いはありませんが、できるならば確証が欲しいという、我儘はあります。

「それについては今から話すよ、今日私は教授を殺した、教授の標的やら本当の目的は…、まぁどうでもいいことか、そこで教授の余興でね、私はある研究資料を見させられたんだ。研究というか悪魔の証明を試みた物だったが、そこで見た事を端的に伝えるとするならば、こう言うべきだろうね『被検体1012番並びに被検体1013番がこの実験の唯一の成功例である』サチア、君達にはこれで意味が伝わるだろう?」

 どういう事でしょうかとマリーは頭を悩ませます、フッと脳内に湧いてきた閃きの様な何かは、丁度ミライ君達の誕生日と同じと言う事でしょうか?

「ミライ、レニを迎えに行ってあげて、レニ今日は早めに終わるって言っていたわよね?」

「あぁ、うん、サチアに任せるね、それじゃあ」

「おいおいちょっと待て待て、この状況でそう簡単に帰していいのか?」

「あぁ、サチアが残るというのならば別に問題は無いよ、マリーもいいかい?」

 マリーに話しを振られても、マリーにはチンプンカンプンなので、頷く事しかできません。一先ずはミライ君達を殺す段階には至っていないという事でしょうか?泥棒猫はともかく、ミライ君はマリーの大事な友人です、それだけは少しホッとしたマリーでした。

「明智が気になっている事なら、私から説明するわ、別に二人で説明する意味もないでしょ?」確かにぃーとマリーは納得しました、そしてその時にはもう既にミライ君は部屋から出ていたのを、見逃していました。

「じゃあ、聞かせてくれたまえ、君達があの場で何をされたのかを、詳しくね」

 泥棒猫は言葉を紡ぎます、マリーが決して想像してなかった、ミライ君達の人生を、マリーがどうしてミライ君と仲良く友達ができていた理由も、貴方の事が嫌いな理由も、どうして貴方につい目が行ってしまうのかも、貴方の言葉で理解する事ができました、だって当たり前だったんです、決してミライ君とは同じ境遇だとは思っていませんでした、けれど実際はマリーとミライ君そして泥棒猫は、殆ど同じ穴の貉だったのですから。

「私とミライ…何といえばいいのかしら、要はどこにでもいるモルモットと言えばいいのかしら、戸籍も無くて、名前も無くて、定住する家もない、まぁわかりやすい程に使い潰せそうな人材でしょ?」

「それは、確かにそうかもだが、ミライの話だと普通にあそこで暮らしていたって話だった気がするんだが、ミライの言葉も嘘なのか?」

「冗談はよしてよキャップ、ミライが嘘付ける訳ないでしょう?嘘ではないわ、私は暦とかはあんまりわからないけれど、恐らく4年前か5年前にね、いきなり人が訪ねてきて私達にこう言ったの『願いを一つ叶える代わりに私達に協力してほしい』ってね」

「貴方はそんな、見るからに怪しい取引に応じたんですかぁ?」

「ええ、応じたわよ?神様は本当に居ると、見えない空に手まで合わせてまで感謝してね」

 マリーは驚愕します。そんな美味しい話なんて物はないのに、貴方は馬鹿なんですかと、もしも100億円下さいと言って、了解されたとしてもその100億の使い道なんてものは与えられないと分かっているのに、なんで貴方とミライ君はその話に乗ってしまったんですかと、レニちゃんはどうするんですか?と口を大にしてマリーは、言葉を発しようとしました。けれど貴方とミライ君の望む事なんて、分かりきっているんです。

「君はレニ君の普通を望んだんだね、自らの望みなんてどうでもいいと、その為ならば実験動物になっても構わないと」

「僕が言うのもなんだが、そういう心意気で残された人間は、決して嬉しくはないぞ?」

「まぁ明智の言う通りだし、キャップも正論よ、でもね私はレニだけは幸せであって欲しいの、だから脅しもかけたわ、レニに手を出したのならば問答無用で貴方達を殺すって」

 脅しをかけたからといって、研究員が約束を守る保証は何処にもないと思うのですがとマリーは疑問に思います、それ程の殺意を出しながら脅したんでしょうか?確かに素人であれば、それだけで逆らえなくなる気もしますが…。


ここまで読んで頂きありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ