表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

第2話

   

「おいおい。子供に向かってオバケだなんて、さすがに失礼じゃないか?」

 テンションの上がった彼女を落ち着かせる意味で、努めて冷静に対応する。

「夏だからなあ。特に子供なら、日焼けも普通だろう?」

 俺が小さい頃とは時代も変わってきたが、ここは田舎なのだ。家でネットやゲームに夢中になるより、外で元気に遊ぶ子供たちも多いはず。

 しかし彼女は、大袈裟なくらいにブンブン首を振って、俺の言葉を強く否定した。

「違うの、そういう真っ黒じゃないの。もっと影みたいな感じ。うん、そう、影って言葉がピッタリ……。 いや『影』というより『陰』かな? 厳密には黒一色じゃなかったし」


「よくわからないけど、だったら陰になってたんだろう? ほら、暗い夜なんだから、そう見えて当たり前……」

「田舎が都会より真っ暗なのは、私もわかってる。でもね、今日は花火があったでしょう? 花火で照らされても、影みたいに黒かったのよ!」

 確かに、真里がトイレに行っている間も、まだ花火大会は続いていた。ならば……。

「しかもね、二人とも全体的に黒いのに、体を取り巻くみたいに、すぐ周りだけボーッと白く光ってるの! ほら、普通じゃないでしょ?」

 この説明で、真里が見た子供たちの正体がわかった気がする。

 彼女の頭に優しく手を置いて、俺は微笑みを浮かべた。

「やっぱりオバケ扱いは失礼だったね。真里が見たのはオバケどころか、むしろ神様の(たぐ)いだ。おやしろわらし様だよ」

   

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ