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死神の守人  作者: 蘇 陶華
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闇に揺れる命

瑠眞は、仮面の死神である。沙羅とは、全く逆の位置におり、お互いが、存在する事で、バランスを保つ。残虐で容赦ない。人を動かすことは、瑠眞にとってゲームと変わらない。

沙羅は、ずっと石棺の中から、外を見上げていた。壊れたテレビの様に、沙羅の姿は、不安定で、形を保つのがやっとだった。それでも、誰かが、自分の替わりになるのは、許せないという思いに変わらなかった。それなら、いっその事と思い、鎌の刃先を首筋に充てたが、瑠眞に止められた。

「無駄な事よ」

冷たくも、あり、温かくもあり。

「私の代わりなんて、幾らでも、いるのでは?」

「確かに、そうね」

瑠眞は、石棺を覗き込んだ。

「だけど、あなたが、消えると、私にも影響があるらしいの。現に、現在も。。」

瑠眞の指先が、少し消え入りそうになっていた。

「私が、狩に行く事はできるけど、どうしても、試したい事があってね」

瑠眞は言った。

「あの子。。。本当の継承者では、ないでしょ?なのに、どうして、魄を持っている?」

沙羅は、口をつぐんだ。

「言いたくないなら、構わない。その内、わかる。どちらが、本当の継承者なのか?」

「あのさ。。。」

堪らず、連れ去られた八が声を上げた。瑠眞に連れ去られ、縛られたまま、床に転がっていた。

「勝手に、当事者抜きで、話すんなよ」

瑠眞に顔を蹴られそうになって、八は、凄むのをやめた。

「あの。。。すみません。」

頭を下げた。

「とりあえず、起こしてもらえませんか?」

頭が、下がったままでは、気分が悪い。それに、手首から、血が流れていた。

「何にしろ、横になるかと思うが」

瑠眞は、足で、八を起こした。

「全く、躾がなっていない」

石棺の沙羅は、そこに、八がいる事に気づいた。

「瑠眞?どういう事」

「交換条件だよ。俺と、市神との」

沙羅は、無理に起き上がった。

「瑠眞!」

力を振り絞り、瑠眞目掛けて、青い光が、指先から、走っていった。

「おっと!」

瑠眞には、擦りもしない。

「蓮には、無理よ。今までだって、そうだった。制御できない」

沙羅は、叫んだ。

「最悪の事が、起きるわ」

「最悪?」

瑠眞は、嬉しそうに笑った。

「願ってもないわ。私達が、何を望むと言うの?」

瑠眞は、沙羅の髪を掴み上げた。

「もう、忘れてしまったの?私達の存在の意味を?」

「やめろよ」

八は、自分の置かれた状況にも関わらず、叫んだ。

「仲間なんだろう?」

そう言われて、瑠眞は、鎌の柄を思いっきり、八の背中に振り落とした。

「言うな!」

「八宮!」

沙羅も気に掛け叫ぶが、その瞬間、胸を押さえかがみ込む。

「いい加減、自分達の状況を理解した方がいいのでは」

倒れた八の頬を、瑠眞は、踏みつけた。

「どの結果になっても、知りたい事は、一つなのよ」

沙羅が、悔しそうに顔を顰めた。

「釈桜羅の前身が、どちらになるか。私が知りたいのは、それだけよ」

そういうと、八の体を起こした。

「沙羅とあなたが、居れば、きっと、市神と、決着をつけるでしょう。早くしないと、あなたも、持たないわよね」

八の腕を流れる赤い鮮血の滴を、指先で、掬い上げ、舌先で、舐め上げた。

「ふ。。。美味しい」

嫌悪の顔で、沙羅は、瑠眞を見上げていた。


沙羅は、自分の命を永らえたいとは思っていない。瑠眞は、それがわかるので、八を傷つけ、連れてきた。蓮にとって、沙羅より、八の命が重いことを、瑠眞は、知っていた。

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