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死神の守人  作者: 蘇 陶華
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沙羅の命と八の命

牛頭と馬頭が、助けを求めたのは、他ならぬ蓮だった。市神の命を直接絶つのは、難しいと思ったようだ。そこに、瑠眞は、現れて。

牛頭と馬頭は、部屋の端っこに、なるべく相手が気に障らないように、身を縮めていた。あの後、何とか、瑠まは、沙羅の時間を止めてくれ、若い魂を連れてくる事を約束させた。市神の命を奪う事や行きずりの人の命を奪う事も考えたが、後で、沙羅にきつく叱られると思い、悩んだ末に、僕の所に顔を出していた。

「あぁの。。」

八も、僕もすっかり落ち着いており、僕は、普段と変わらない様子を保っていた。あの時の沙羅の様子は、普通ではなかったし、今すぐにでも、駆けつけたかったけど、問題はそう簡単でなかった。沙羅のいる場所に、僕は、近づく事はできない。八なら行けるかもだが、あまりにも、危険すぎる。ただ、状況から言って、かなり厳しい。

「僕に、市神を倒せって事?」

牛頭と馬頭は、目を合わせた。

「わかるけど」

八は、そう言った。

「若い魂を持っていた所で、保証はないんだろう?」

そう思う。市神に、相談し、術を解いてもらった方がいいのではないか?

「なんて、事考えるなよ」

再度、八は、言った。

「もう、1人の瑠眞ってやつに、頼むしかにだろう」

「それは。。。」

馬頭が、おずおずと口を開いた。

「紗羅様のやり方を、認めてないんです。全く、違う。されも、紗羅様のやり方には、従わなかったんです。私達以外は」

「どちらかというと、瑠眞様と紗羅様は、ライバルみたいなもので」

八は、悪戯っぽい声を上げた。

「へぇー。黄泉のも、そんな事あるんだ。現世と変わらねぇ」

牛頭は、顔を顰めた。

「わかりました。私達だけで、やります!」

牛頭と馬頭は、すっかり人間の世界で、働いてきただけあって、随分と人間っぽい。何とかならないかと、自分達に相談に来ている。瑠眞か市神と話をする事になるんだろう。もしくは、戦うのか。僕は、頭を掻いていた。

「沙羅の所に行けれないいんだけど。。」

その時だった、牛頭と馬頭の体が、大きく弾け飛んだ。ドアにあたり、2人は、頭を振った。

「随分、甘いのね。人間の世界に染まりすぎたようね」

牛頭と馬頭が言っていた瑠眞だった。初めて目にした姿は、不気味だった。頭から、黒いフードを目深に被り、話には聞いていた死神の姿の様だが、一つだけ違うのは、仮面をつけている事だけだった。

「またかよ」

八は、後ずさった。

「時間はないのよ」

瑠眞は、細い鎌を、牛頭と馬頭の目の前に、突きつけた。

「この辺の、魂を狩るか、どうするか?時間は、ないのよ。ノコノコとどこに行くのか、ついて来て見れば。。」

瑠眞は、牛頭と馬頭が、何をするのか監視していたようだ。

「そういう訳で、時間はないの。頂くわよ」

瑠眞は、後ろを振り向き、八の頭を目掛けて、鎌を振り下ろそうとした。

「なんてね」

瑠眞は、手を急に止めた。

「あなた!」

瑠眞は、僕に鎌を突きつけた。

「沙羅が消えれば、私も消える。何とかするのね。それまで」

瑠眞は、八の腕を、力任せに引っ張ると、手首をスッと細い刃先で、傷付けた。

「うわ!」

八は、身をすくめた。

「お姉さん、止めた方がいいよ。蓮は、人を殺せない。理由は、わかるだろう?」

「お前の命が、かかれば、また、別の話だろう」

瑠眞は、妖しく笑った。僕は、思いもかけず、八を傷つけられ、動揺していた。

「魄は少しずつお前の中で、大きくなる。どこまで、自分で、制御できるかな?」

瑠眞は、八の背に回り、漆黒のマントを被せていた。

「迦桜羅が、どこまで、できるか、見せてもらう。それまで、こいつは、預かる。雑魚どもは、好きに使うがいい」

「八!」

八は、何もいうことは出来ず、瑠まのマントの中に吸い込まれてしまった。

「迦桜羅。何もできなければ、こいつの魂をもらうまで。待っているぞ」

瑠眞は、そう吐き捨てると、闇の中へと消えていった。

「八!」

無駄だと思いながらも、僕は、叫んでいた。不安がる牛頭と馬頭が、僕の顔を見上げていた。


瑠眞と沙羅は、冥府の2神。片方が、滅びる事はない。迦桜羅は、守護神の前身であり、人を殺める事はできない。魄h、蓮の中にはあるが、まだ、未完成で、本当の持ち主は、市神だった。

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