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死神の守人  作者: 蘇 陶華
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市神の役目について考える。

市神の念が入った香木は、刃となり、沙羅の胸を貫いた。崩壊していく沙羅の体。止めるには、市神の命を奪うしかないが、市神は、自分が、何者なのか、分からなくなっていた。

 市神が、意識を取り戻したのは、自分の医院の処置室のベッドだった。

「う。。。ん」

記憶を手繰り寄せても、現在と結びつかない。確か、祖母や祖父にあった気がしていた。そして、おそらく。。。

「三那月くん?」

そうだった。三那月達と往診に行ったら、訪問看護の女性が倒れていて。。名前は、なんて言った?前から、不思議な女性だと思っていた。ここ10何年か、烏集院街は、変わっていた。不可思議な事が続いて起こっている。あの看護師も、その一つかと思っていたが。。。市神は、思い起こしていた。そう。起こした沙羅の胸には、深くペンが刺さっていて。あのペンは。。。

「もう、起きましたか?」

晴れやかな声が聞こえた。三那月だった。いつもと変わらない様子で、顔を覗かせた。

「コーヒーでも、飲みます?」

「あぁ。。」

面食らいながら、答えた。

「三那月くん?」

コーヒーを作り始めた三那月に恐る恐る声をかけた。

「すみません。。。。先生。大事な先生のペンをお借りしました」

聞きたかった事を三那月から、切り出したので、市神は、少し面食らった。

「先生の念が入ったペンですもの。力は、倍増ですわね」

沙羅の胸に、刺さっている映像が、頭の中に浮かんでいた。

「そのせいで。。。先生が危険な目に遭わないといいんですけど。どうして、私がそんな事をしたか、わかりますか?」

市神は、首を振った。

「本当に、分からないんですね。先生が、受け継ぐべきだった物を取り戻そうとしているだけなんですよ」

市神の前に、静かにコーヒーを置いた。あの惨劇の中で、叫んでいた三那月の姿は、ここにはない。

「もう、忘れてしまいました?」

あの時、市神の意識は、そこにはなかった。遠い過去の中にあり、自分の祖父や祖母の姿を見ていたのだ。

「それは。。」

見透かしたように、三那月は、言った。

「ご自分で、封印したんでしょうね。迦桜羅が、現れたんですよ。本当だったら、先生の。。。」

市神は、聞き覚えのある言葉に顔を上げた。

「あの時に、無くしてしまった迦桜羅の魄は、あの男の中にあったんですね?先生、執着するわけです」

迦桜羅と聞いて、市神の思考は止まっていた。何とか、思い出そうとするが、先に進まない。

「無理に思いださなくて、いいんです。私達がお手伝いします。あれは、私達にも必要なんですもの。無くしたままには、できないわ」

三那月は、一気にコーヒーを飲み干した。

「先生の身も、何があるか、分からないから、私達が、守りますよ。いいですね」

力なく項垂れる市神を見下ろしながら、三那月は言った。

「これからですよ。先生の活躍も」


迦桜羅の前身は、市神が、受け継ぐべきだったのか。僕は、可能であれば、市神に譲り、自分の人生を歩いていきたい。だけど、それは、叶い難く。。。

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