表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死神の守人  作者: 蘇 陶華
15/47

わかりやすい展開

どうして僕は、紗羅が気になるのか?遠い日の記憶のせいなのか?隠れて生きてきた僕は、そろそろ問題を解決しなければならない

 僕は、イライラしていた。突然、紗羅が現れて「罠」だと言って消えたのだから、それはそうだ。しかも、血だらけで、胸には、香木が刺さっているのだから、尚更だ。紗羅の正体の事は、うっすらと気付いていた。この世界には、似たような生き物が、たくさんいる。僕は、何人も、そう言った人?達を見てきたし、秘密に触れようとは、しなかった。特別な事情を除いてね。ひっそりと生きているのに、わざわざ、揺り起こす事はせずに、静観していた。。。つもりだ。余程の事を除いてはね。人のふりをしながら、人でない奴は、たくさんいる。紗羅からは、僕に近い匂いがしていた。どことなく悲哀に満ちた中にある絶望。紗羅とあった時に、その目の奥にある絶望に、僕は興味を持っていたのかもしれない。その紗羅が、突然、現れ、市神の問いは、罠だと言った。再度、市神から、連絡があった。八が困惑した顔で、僕を見ていた。

「少し。。来れるかな」

「はい」

覚悟を決めて僕は、返事をした。

「行くのか?」

八が、広げていた事業所のパンフを雑に、鞄に押し込みながら聞いてきた。

「行かないって、選択なないかな」

僕は、モタモタと、出かける準備をした。

「俺も。。行くよ。この間の事もあるし」

八もついて来るという。

「うん。。そうしてくれると、ありがたいよ」

八がいれば、何とかなる。僕は、八の事を信頼している。心から。あの日から、八への信頼は、深まったんだ。八は、別の車に乗ると、僕の後について来る事を約束してくれた。あの暑い夏に、僕は行方知れずになっていた。夏休みも近い日だった。寂れた商店街は、人気がなく、一緒に行くはずだった。駄菓子屋に、僕は、向かっていた。陽に焼けた駄菓子屋の壁は、あちこちボロボロで、小さな僕が爪で掻いても、すぐ、崩れていた。

「こら!」

店の奥から、おばあが顔を出し、いたずらする僕をよく叱ったものだ。八と約束したその日、僕は、1人で、店に行った。何度も、声をかけても、店には、誰も、おらず、陰鬱な気配だけが漂っていた。店の奥を精一杯覗くと、おばあの座っている古い座布団の脇に、お菓子の缶らしき、古いブリキの缶が転がっていた。

「キィ。。。」

中から、何かが、話しかけていた。

「キュウ。。キュウ。。」

とも聞こえ、ブリキの缶の隙間からは、何かが覗いていた。僕は、近づいてみた。

「あ!」

僕は、気づいてしまった。

缶の中から、覗いているのは、3つの目だった事に。3つの光が、チラチラと動いている。切なく、声を上げていた。僕は、そこで、缶を手にとってしまった。この事は、誰にも、言っていない。駄菓子屋に入ってしまった所で、記憶が途切れていると話したが、本当は、ここまでだった。まさか、ブリキの缶の中に、何かがいて、僕が遭遇したなんて、誰も、信じないだろう?勿論、八でさえも、知らないはずだ。誰にも、話をしていないのだから。八は、僕との約束を守れなかった事で、僕が、こんな風になってしまったと思い込んでいる。

紗羅が今まで、してきた事、僕は、いったい、どこへ向かうのか、拠り所は、もう、ないのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ