表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
本と煙草と異世界転生  作者: むつきばな
21/37

020「異世界の自営業-2」

幻視(ファントム)(ヴィジョン)図書館(ライブラリー)接続(アクセス)


ユニークスキルを展開させて物語を模倣する。


「範囲は半径250mで、更新の間隔は………30秒でいいか」


起動時の設定を調整して、見やすいように本を適当に浮かべて発動と。


「んー、ヤバそうな魔物はいなさそうかな?」


開かれた本には黒色の線で書かれた異なる大きさの円が4つ、その中心に青色の点が一つ、それと数個ほどまばらに黄色の点が見える。


いま模倣しているのは、最強だった賢者が更に強くなる為に転生したって物語に出て来る探知用の魔法を改変したもの。


これは魔力を感知して索敵出来るレーダーみたいな物で黒い線の円が距離で青い点が俺、黄色は魔力を持った生き物。


本来なら頭の中で直接探知出来るんだけど、やってみたら情報の処理が思った以上に難しかったので試行錯誤してこの形になった。


「さて、魔物に注意しながら採取していくか」


今日受注したクエストは数種類の薬草の採取して納品することで、街の近くだとここの森が一番安全で採取しやすい。


納品する薬草はレーラさんの店で何度もみたことがあるし、採取の仕方も教えてもらっているのでそちらは問題はなさそう。


それよりも、危険な魔物や動物が少ない森を選んではいるけど、少ないだけで全く危険がない訳ではないので注意すべきはそちらだろう。


魔物の位置や距離を確認しながら森の奥へと進んでいく………あっ、食用キノコめっけ。


森の奥に小さな泉があるので、とりあえずはそこを目指し色々と採取しながら進んでいく。


アカドクナシ茸………アカドク茸……アオヤク茸に幻覚作用があるキノコまで、なんか今回はキノコが沢山見つかるなー。


薬の素材としてそれなりの値段になったりする物もあるので確保しておく。


「あ、これ依頼にあった薬草だ」


数種類の薬草の中でも割と見つけにくい薬草があっさりみつかったので幸先がいい。


「この薬草は根ごと持って行かなきゃいけないタイプだから、掘り起こすか」


腰のベルトにつけた鞘からナイフを抜いて薬草の周りを掘っていく。


鉈ほど大きくはないけど、枝を切り払ったりも出来るちょっと大きめで厚さもあるナイフなのでこういう作業にも使える、少し高かったけど買ってよかった。


掘り起こした薬草から軽く土を払い袋に詰めて鞄にしまう。


また魔物の位置を確認して、このまま行くと鉢合せしそうなので少し迂回して進んでいく。


歩いて採取して魔物の位置を確認して、また歩いて採取して魔物の位置を確認して…………。


「割といいペースなのでは?」


とりあえずの目的地にしてた泉に着いたけど、依頼にあった薬草は必要な数を採取することが出来てる気がする。


「お昼ご飯を食べながら採取した薬草の確認しよ」


椅子になりそうな岩に適当に座って鞄から昼食のパンと干し肉を取り出し、少しずつ齧りながら薬草の種類と数を確認していく。


「あー、探知も一旦切るか。この程度なら魔力の消費量は少ないとはいえ、何かあったときように魔力は節約したいし」


探知範囲を一瞬だけ半径500mまで拡大させ、危険がなさそうなのを確認したらスキルを解除して指輪に戻す。


……ある………ある…………ん?あぁ、あった…………あるあるあると。


うん、依頼分の薬草採取終わってた。


さて、なら自分の研究用の素材を集めたいとこなんだけど。


「野生の煙草の木なんて見たことないんだよなぁ」


というか、製品として加工される前の煙草の葉すら見たことがない。


前に色々と調べたけど、街で売られてる煙草は加工されている物しかないし、煙草は煙草でしか使われていないっぽいから資料が見つからないし。


挙げ句の果てには、街にある煙草は全て他領からの輸入品で街の近隣の村とかでは生産していないっていうね。


美味い煙草を作る研究がしたくても、現状はスタート地点にすら立てない。


メンソール配合の煙草を作る為の薄荷やミントみたいな清涼感がある素材は普通に街で売られてるので、こっちは研究するまでもない。


「もっと強くなって、長旅が出来る資金が貯まったら煙草農家を探す旅に出るしかないか……」


前途は多難である。


うん、なら今は出来ることをやろう。


残りのパンを口に放り込み水で流し込んで立ち上がる。


「とりあえず、街だとやりにくいユニークスキルの検証をやって、魔力に余裕があれば魔法の訓練でもするか」


特にユニークスキルなんて持っていることがバレたら面倒なことにしかならないみたいだし、こういう人目がない所で地道に検証していくしかない。


ゆっくりと丁寧にストレッチをしていく、準備運動は大事。






「じゃあ、まずはユニークスキルの検証といきますかね」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ