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女子嫌い
「そ、そんなんじゃないよ……」
「だったらどうしてボクを避けるの?」
それは至極真っ当な問いだった。
おそらくは彼女が倒れた有心を
保健室まで運び込んでくれたのだろう。
せめて顔を見て礼を言うくらいはしなければと思ったが、
身体がそれを拒む。
せめて、せめて……と思い、
有心は布団の内側から言葉を紡ぎ出した。
「僕、は……女子が嫌いなんだ」
怯えながら、しかし確実に言った。
有心は女子が嫌い。
それは公言しないまでも、
クラスでは暗黙知となっていることだった。
それくらい有心の女子嫌いは分かりやすい。
「…………」
だからこそ誰も有心に触れようと、
近付こうとすらしなくなった。
男子は男子で有心の発言のせいで
有心をホモだと思い込んでいるので
やはり近付こうとしない。
そうして有心は着実に孤独への道を歩んでいった。




