女神様
急な上に踏み込んだ
質問内容が良くなかったのか、
彼女は露骨に顔を歪めた。
「……なんだか、
腐女子を侮辱されているような
気がするんだけど気のせいかな?」
そこにいつもの笑みはまるでない。
凍てついたような、
いや静かに怒りを押し殺して
苦笑いしているような複雑な表情だった。
「えっ……まあ、
腐女子が嫌いというわけではないですけど、
あまりいい印象もないですね」
まぁ僕BL妄想の被害者なんでと付け足すと、
彼女はむぅぅと口を噤んだ。
これでこの話も終わりと思いきや、
そう甘くはないようだった。
「そこまで言うなら、
有心の望み通り教えてあげようかな。
ボクが腐女子になったいきさつや理由をね」
軽いノリ感覚で尋ねてみただけだったが、
彼女にとっては大事だったらしく
有心は自分の軽率さを少しだけ反省した。
とは言えど、
せっかく教えてくれるという好機を逃そうとも思わない。
「お願いします」
有心が丁寧に頭を下げてお願いすると、
玉響はふーっと息を吐き出して
「じゃあボクの家に着くまでね」と言って語り出すのだった。
「――ボクは元々、
目立たない奴だったんだよ。
かといって勉強ができたわけでもない、
むしろ成績は下位の方だったんじゃないかなー……
中二の時だよ、ボクがBLに目覚めたのは」
「何があったんですか?」
「んー……
引っ込み思案だったボクはこれといった特技もなくて、
自分に自信がなかったんだよ。
友達もいなくて、嫌なことも続いて
――そんなときだよ、ボクの前に女神様が現れたのは」
玉響は突然上を見上げ、
幻でも見ているかのように惚けた表情を見せる。
それを目にした有心は口元をひくつかせていた。
「へ、へーえ……」
「女神様はね、
孤立していたボクに話し掛けてくれて
BLを教えてくれたんだよ。
あの出逢いがなかったらボクは今も、
引っ込み思案で何もできなかっただろうね」
回想しているらしい
彼女の顔付きは穏やかなものだった。




