成れの果て
『有心くんなら女心分かってくれるし……有心くんが私の彼氏だったら良かったのになぁ』
『え、あの話真に受けたの? 冗談に決まってるじゃん。てか、本気であんたみたいなホモのこと、好きになるとでも思ったわけ――』
有心はそれぎり女嫌いになって性格はますます歪んでいった。女なんて信用ならない、我が儘で強欲で嘘吐きで脆弱な生き物だから――、
「彼女なんかいらない、お兄ちゃんが欲しいっっ!!!」
我に返るとそこは目新しい教室だった。見慣れない制服を着た生徒たちの視線が一斉に集まっている。そうだ、今はもう高校生であれはとうに終わった話なのだと有心は思い出した。
けれどもう遅かった。なぜなら周囲の目は語っていた、「あぁ、あいつはホモなのだ」と。
*個性的なキャラが大暴れする話です。
BとLがダンシングしたり、
ちょっと刺激的なことをするはしたない女子がいたり、
危うげな美少年がいたりと、
腐○○さんにはムフフなシーン満載。
ちゃんと男性にも楽しめるよう、
ちょいエロもあるのでご安心ください。
ふざけていますが、ヒューマンドラマっぽいです。
有心
逢坂有心は姉二人の後に生まれ、
長男だと持て囃されて育てられるはずだった。
しかし。
上二人は非常に我が強く、
まだ幼かった有心は姉二人の言うことに唯々諾々と従っていた。
そうして妹が生まれる頃には
すっかり姉の下僕にされていたのである。
もう一度言おう、逢坂有心は強烈な姉の後に生まれた。
それが最初にして最大の不遇だった。
というのも、
姉に使われるという根底を植え付けられた上に、
本来の男子ならば知らなくてよいはずの
女性に関する知識というのを嫌が応でも
知ることになってしまったのだ。
それがどんな不遇を生み出すかと言えば……。
「草薙センパイっ、おはようございます!」
昼休憩。
天衣高校二年二組の教室の
ど真ん中で声を張り上げる男子生徒がいた。
他の生徒は食堂へ行ってしまったのか、周囲に生徒は少ない。
それだけにその声はよく響いた。
降り注ぐ太陽のごとく、
エネルギーを迸らせる挨拶は少しうざったい。
顔面に貼り付けられたお決まりのスマイル。
傍から見てもあからさまに媚を売っていた。
これが逢坂有心の成れの果てである。