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悪役令嬢は王子様を御所望です  作者: 茗裡
第三章 正編
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23話 大型連休突入


私はロラン殿下がいることも忘れジル様に思いの丈を告げると、気まずそうにするロラン殿下と目が合い死にたくなった。

ロラン殿下は気にしないように言ってはくれたけど穴があったら入りたい。


それから、ジル様に関しては私達だけの秘密ということになり、国王陛下にだけは思い出したことを正直に告げたそうだが、彼の立場は変わらないとのこと。今まで通り、スタン様であることを隠してロラン殿下の側近として過ごすのだと言う。

そして、ソレンヌからも保健室での出来事を忘れずに聞いた。翌日にロラン殿下とレナルド王子とのソレンヌを加えて対談が合ったそうだが、ロラン殿下の言葉巧みな話術と威圧感の前にレナルド王子は為す術なく非を認めてソレンヌに謝罪したとのこと。

それから、余談ではあるが、私がルイス王子をお姫様抱っこで保健室まで運んだ話が学校中に広まりルイス王子は哀れんだ目で生徒達から見られ恥ずかしそうにしていが私は少し…いや、割とスカッとした。



と、まあ色々あったわけですが、今日からストレンジ学園も大型連休に突入し皆は浮き足立っている。


以前、私が予知夢で生徒誘拐事件の話をしてからストレンジ騎士団と学園の方で対策が立てられた。



「お兄様!」

「待ってたよ、ルイーズ」



私とソレンヌ、エドは生徒達でごった返す正門の広間に集まっていた。そこに見知った三人の人物を見つけ、声をかける。


「この声はっ!私の天使ルウィィィズゥゥゥ」

「ラフ、やれ」

「……わかった」


はい。久々に登場の私の兄達でございます。

というか、このやり取りは八年前から変わらない。マティ兄様も何度もグエン兄様とラフ兄様に妨害されているというのに諦めの悪い人である。

ソレンヌとエドが軽く引いてるから本当にマティ兄様にはそろそろルイーズ離れして頂きたい。というか、後ろから付いてきていたサビーヌは見慣れた光景のはずなのにソレンヌとエドに混じってややドン引き顔するのは止めなさい。


「グエン兄様、本当に大丈夫ですの?」


私はラフ兄様とマティ兄様を無視してグエン兄様に近寄って尋ねる。

ラフ兄様はまだ高等部でこの学園の生徒だが、マティ兄様とグエン兄様はある事で今回呼ばれてストレンジ学園に来た。それは、今回の事件対策に関係するもので、マティ兄様が作った機械とグエン兄様やストレンジ騎士団の人達の力によって学園の生徒達を外に出さずに家に帰す試みが行われようとしている。


本来、事件が勃発するのは大型連休の終わりで生徒達が学園に戻って来る時に犯罪者集団に狙われるのだが、戻って来る時に成功するかどうかの調査も兼ねており、学園から自宅に無事転移出来るかの試験が行われる。


生徒達にはグエン兄様やストレンジ騎士団の人達がストレンジを込めたパワーストーンが3つずつ配られる。そのパワーストーンをマティ兄様が作った小さなスティックのような機械の先端に設置して瞬間移動が無事起動するかどうかの調査だ。瞬間移動したら機械の底にボタンがあるので無事自宅に着いたらそのボタンを押して学園に帰宅したことを知らせる事が出来るようになっている。

その作業は朝から行われていて、初等部中等部高等部の順で生徒達は帰宅する。


「初等部の生徒達は無事全員自宅に着いたようだから今のところ順調だよ」


グエン兄様は私の問いにそう答えると頭を撫でる。

お兄様達にとっては私は何時までも子供扱いだ。それにしても、お兄様達もイケメンの部類に入る為凄い注目度だ。

私達と同じように寮から正門まで来た女生徒達がチラチラと此方を見ている。これがもし、高等部の生徒になったら好奇の視線から熱視線になるのだろうなと遠い目をして考える。


「ルイーズ姉さん!」


背後から呼ばれる声に振り返るとそこにはドナシアン王子と留学生達が揃って此方へと向かって来ていた。

ソレンヌとエドは直ぐに頭を下げて礼をする。


「おはようございます。皆様」


私もカーテシーをして挨拶する。

ドナシアン王子は皆が呼びやすい名で各々呼ぶようになって、彼の私達を呼ぶ敬称も元に戻った。


「これはドナシアン王子に留学生の皆様おはようございます。留学生の皆様に置かれましてはお初にお目にかかります。私はルイーズの兄でカプレ公爵家の長男グエナエルと申します」

「同じくカプレ公爵家の次男、マティアスと申します」

「三男のラファエルと申します」



いつの間にかグエン兄様の隣に並び挨拶をするマティ兄様とラフ兄様。

そして、一通り留学生達の紹介も終わって私達は人集りから少し離れた場所へと移動した。


「へぇ、これが移動装置なのか。凄いね」


デジレ殿下が小型スティックを手に持ってまじまじと見つめる。


「そのスティックに能力を込めると瞬間移動の石が反応して行きたい場所へと繋いでくれます」


珍しくマティ兄様が真面目に受け答えをしている。その事に感心しつつマティ兄様の説明を受けた後に私達も各自帰宅する事にした。

留学生の方達は王宮に泊まる運びとなっている。


「では、また五日後に会いましょう」


私、ソレンヌ、エド、それからロマ様とエリヤ様は男性陣とはまた少し離れて集まり五日後に再会の約束をする。

大型連休は丸一週間の休みなので7日ある。

最後の三日間は女性陣だけで街に繰り出す約束をしていた。王都からはソレンヌの家の領地が近い事から三日間の内に一日目は王都を巡り、二日目以降はソレンヌの本宅にお邪魔する許可を陛下からも取ったのでロマ様とエリヤ様にペルシエの領地を案内する予定だ。


これから一週間ジル様と離れるのかと思うと物凄く寂しいが、我儘は言えない。

最後に彼の姿を目に焼き付けて私達は各自帰宅した。

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