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悪役令嬢は王子様を御所望です  作者: 茗裡
第三章 正編
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1話 動き出すストワ本編



ルイーズ・カプレ、今年で15歳となりました。そして、本日ヒロインがストレンジ学園へと編入してくる日です。


ヒロインの入学は阻止しなかったのかって?勿論、しましたとも。それはもう、万が一に備えヒロインの力が発覚する事件を未然に防ぐ事も私の計画には入っておりましたので。

しかし、彼女の事を知った時は既に孤児院に預けられていた。なので、賊を事前に根絶やしヒロインを入学させない作戦を敷いたのですが結論からいうと失敗に終わった。

私の所持するピッピコの中に予知夢のストレンジを持つピッピコがいる。

時折ストレンジ騎士団の研究所で検査が義務付けられており私自身とピッピコの能力を見せるだけという研究内容なのだが、その時ゲームで得た知識を予知夢と言うことで幾つか研究員に報告した事がある。

それが功をなし、賊による孤児院襲撃は無事未然に防ぐ事が出来たのだが、神のいたずらかゲームの強制力なのか、別の事件が勃発しその事件に関わったヒロインが駆け付けた護衛騎士達にストレンジ持ちだと露呈することとなり本日の編入に至ったのだ。



「憂鬱だわ…」



嘆息と共に思わず漏れ出る本音。



「お姉様?」

「ルイーズ姉さん大丈夫?何か嫌な事でもあったの?」


「あ、ええ。大丈夫よ。ごめんなさいね。今日小テストがあるから憂鬱だなって思っただけなの。あら?ソレンヌ、ところでエドはどうしたの?」



私はソレンヌとエドとは敬称なしで呼ぶほど仲良くなった。

ソレンヌは今日も私と行動を共にし、心配そうな顔をして尋ねてくる。そして、四年前と変わった事といえばソレンヌ達の一つ年下である第四王子のドナシアン王子もストレンジ学園に入学し、いつの間にか仲良くなっていた事だろうか。

ドナシアン王子が入学するにあたり、あまり社交の経験がないということで国王陛下から私に直々に面倒を見て欲しいと頼まれたのだ。

ことある事に何やかんやと命令してくるルイス王子から逃れる良い言い訳が出来ると喜んで……いや、慎んでお受けした。そのお陰なのか分からないがドナシアン王子はすっかりと私に懐き、私といつも行動を共にするソレンヌとエドとも打ち解けた。


第四王子の母君エミリエンヌ様は正妃様を本当の姉のように慕っており、エヴリーヌ様がお亡くなりになってから深く悲しみずっと体調を崩されていた。その為、ドナシアン王子は愛情に飢えていたのだが、今では私たちが可愛がり過ぎた所為か立派な甘えん坊に育ちました。

あれ?育て方間違えたかな?とも思わなく無いけど、可愛いので良しとしましょう。

それよりもヒロインです。私は先ず初めに接触するであろうエドの婚約者レオポルド様のところに行き遠目からこっそりと覗き見るつもりだったのだが、さっきまで一緒にいたエドがいないことに気付き尋ねる。



「ああ、エドならレオの匂いがするとか言って血走った目で先程走って行きましたわよ?」

「血走ったエド嬢怖かったよ~」



ソレンヌの報告に思わず突っ込みたくなるもドナシアン王子がその時のエドの形相を思い出したのかプルプルと震え怖がっている姿に私もソレンヌも癒され思わず二人でドナシアン王子の頭を撫でる。

それにしても、レオの匂いがするって……。とうとう野生動物並みの嗅覚まで習得したのか。

エドとレオポルド様の関係は婚約者なのだが、誰がどう見ても戦友である。

本来、ストワの世界では婚約者であるエド嬢の方がレオポルド様よりも強く女性にそれも婚約者に負けたレオポルド様は自尊心を折られやさぐれ自暴自棄に特訓する中ヒロインに出会う。そのやさぐれた心をヒロインに癒してもらい恋に落ちるのだが、ストワと現実の違いは目下エドとレオポルド様には倒すべき強敵がおり、二人は常に共闘している。二人だけで戦う事もあるのだが、規格外である私という化け物を倒す為に二人は常に切磋琢磨し合い、戦友のような関係性になってしまったのだ。それに、私に負けてやさぐれそうになった心は婚約者であるエド嬢がボロクソに叩き潰した後に何故かレオポルド様は自力で修復して復活していた。



「レオ覚悟っ!!」



ドゴォン



そう遠くない場所でエドが吠える声と地面が抉れるような音がした。

私たち三人はまたか、と頭を抱えたくなるのを我慢してその音の元凶へと向かった。

そこには案の定、エドとレオポルド様がいた。

エドは素手で中庭の地面に小さなクレーターを作りレオポルド様は抜剣してエドと向き合う。二人は互いに好戦的な笑みを浮かべて睨み合い一触即発だ。

このままでは、周りに被害が及んでしまう。そう判断した私は軽く地面を蹴って一歩で彼等の元へと割って入った。



「こんなところでおっぱじめる人がありますか。場所を考えなさいといつも言っているでしょう!?」



私は二人の間に入りデコピンを食らわせる。割と強めに。

二人は吹っ飛びこそはしなかったが赤くなった額を抑え涙目だ。



「「ごめんなさい」」



二人はそう謝罪すると何とか好戦的な態度を引っ込めてくれて安堵する。

そこに、ソレンヌとドナシアン王子も合流して周りにも野次馬が集まりだした時だった。



「わあ、すごーい」



ふふふ。と語尾に付けて野次馬の中から大きな声を出す人物がいた。

その声は何故か観衆の中でもよく通る声で私達は全員その人物に目を向けた。


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