昔話
大昔この世界では血を血で洗う争いが続いていた。
領土を広げる為。国同士の意見の衝突。国を治める者が愚者であり反乱が勃発。
理由は様々であれど、人々は日々戦に明け暮れた。
無関係な人々は殺され、昨日産まれたばかりの赤子が翌日には死ぬ。乱戦が続き食糧が行き届かなくなり餓死する者が続出したりと見るに堪えないものであった。それを天界から見て嘆いたのが始祖神である。
始祖神は毎日嘆きながらも地上を見ていると八人の若者が毎日天に祈りを捧げている事に気付いた。その若者は家族や大切な人、友人などを戦で亡くした者達で日々平和を祈り天に捧げていた。
そんなある日その八人の前に始祖神は舞い降りる。
「お前はこの乱世で何を願う」
始祖神は八人の若者達に同じ質問をした。
『争いのない世界にしたい』
若者達は口を揃えてそう言った。
それを聞いた始祖神は八人の若者達に力を与えた。争いを止めることの出来る強大な力を。
始祖神から力を授けられた八人は大陸を駆け回り次々と終戦に事を運んで行き、次第に人々から八将と呼ばれ畏怖されまたは崇拝された。全土で終戦を迎えた時、再び始祖神が天界より舞い降りた。
「この大陸を八つの国に分ける。国の頂点にお前達八人を据えこれからの平安な世を作ってみよ」
始祖神はそう言うと国境線を作り大陸を八つに分けた。
それからというもの八将は始祖神の期待に応え安寧の世を築き上げた。八将は子宝にも恵まれ始祖神より授けられた力は引き継がれ、様々なストレンジを保有するものが生まれ現在に至る。
それが、表で語られる昔話。
だが、強大な力は時に人の欲を増大させる凶器にもなる。
此処から先は語られる事のない裏話。
強大な力を持った八将は安寧の世を築く。だが、その方針は様々である。
土地を豊かにする者、人々に娯楽を与える者、技術を発展し人々が住みやすくする者。その時の八将の方針が今現在も形を変えど根本には根付いている。
今現在、一国だけ秘密主義で他国を寄せ付けない国がある。その国は、未だ八将が生きている頃に突然国交を辞めた者がいた。それからというものその国に関しては何処の国とも交易が途絶えた。
ただ、分かっているのはその国は宗教国家であり鎖国しているということ。また、結界に優れた者達が多いのか国全体に結界が張られ千里眼や透視で国情を視ることも不可能であるということである。
だが、ここ最近この国で動きがあるそうな。
近隣諸国の者達は警戒を強めているが未だ世界を揺るがす程の大きな動きでは無いんだとか.......