表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/20

8 ケイシーとリリア

 アルフォンスには二歳下のリリアと言う名の妹がいたので、一緒に雇うことにした。

 リリアには店番をお願いしている。

 売れるものは『魔女のラーメン』と『魔女のスープ』くらいなので、計算も簡単だから問題ないだろう。


「命を助けていただいた上に仕事まで世話していただいてありがとうございます」


 仕事場に案内するとアルフォンスの母親、ケイシーが頭を下げてきた。


「命だなんて大げさですよ。頭をあげてください」



「いいえ。咳が続いている時に同じようにして亡くなった母を思い出しました。ポーションを買うお金もなく、薬師から買った薬はほんの気休めにしかならなかった。私はアルフォンスとリリアを残して死んでしまうのだと、あの世であの子たちの父親になんて言って謝ればいいのかと布団の中でずっと考えてました。あの『魔女のラーメン』には魔女ポーションと同じものを感じました。生き返る力を後押ししてくれるなんとも言えないもの。なんというか身体が作り変えられたとでもいうのでしょうか」


「ケイシーさんは魔女のポーションを飲んだことがあるのですか?」


「ええ、私が飲んだのは中級ポーションでした。私はこれでも元冒険者なんですよ。アルフォンスの父親と一緒にダンジョンにもぐってました。一度大火傷をして死にかけた時に彼が魔女のポーションを手に入れてくれたんです。冒険者ギルドで売っているポーションではなく、高価な『魔女のポーション』ですよ。びっくりしました。でも彼がケイシーの命には変えられないと。ふふ、ラーメンを食べた時に彼とのことを思い出しました」


 ごちそうさまです。もうお腹いっぱいですよ。

 それにしてもモニターとして彼女はとても役に立ってくれた。『魔女のラーメン プレミアム』には特級ポーションくらいの効果がある事がわかった。アルフォンスに渡した『魔女のラーメン プレミアム』には特級ポーションを混ぜていたので、同じ効き目を感じたということだろう。ラーメンに混ぜても効果は落ちないことが証明された。

 ケイシーは大火傷で死にかけていたと言っていた。そこまで怪我していた場合、中級ポーションでは火傷の痕は残るはずなのにみたところ全く残っていない。おそらくアルフォンスの父親は特級を中級と言って飲ませたのだろう。特級ポーションは白金貨10枚(100万エール)。命がかかっていてもなかなか手を出せないものだ。アルフォンスの父親は男前だよね。

 


 

 今回作るのはプレミアムではなく普通の『魔女のラーメン』と『魔女のスープ』。

 ケイシーには袋詰めをお願いした。時間がないので簡単に説明しただけだったけど、無駄がなく在庫のラーメンを次から次へと袋に詰めてくれる。

 それを横目で確認してから、私の方は魔法でラーメンを作る。

 麺を作るための材料を用意して、時間を短縮するために魔法を使う。あっという間に細く切られた麺ができる。これを一つずつまとめていくのは手作業。これは私がまとめているとケイシーが手伝いを申し出てくれたので、お願いする。麺を保存するための瞬間湯熱乾燥は魔法でパパッと仕上げていく。一つ一つ油で揚げていたら時間が足りないからね。

 麺を作った時にスープになる味もちょっとだけ元気になるものも入れてある。

 栄養満点即席ラーメンの出来上がり。これを『魔女のラーメン』と書かれている袋に入れていく。昔は騎士団にポーションをおさめていたので、その時に使用していた木の箱に入れていく。

 この調子でいけば間に合いそうだ。


 問題は『魔女のスープ』だよね。どうしようかなぁ。




 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ