20 犯罪者の末路
呪いについて書かれた本を読んでいてわかったのは、魔女によって様々な呪いの魔法が存在しているということ。
そして人に対して使う呪いは、失敗した場合呪った本人にかえってくるそうだ。よく考えて呪わないと大変なことになる。
ハゲの呪いとはボサボサの髪の人も三日でハゲになるそうでとっても効果抜群?
嫌な奴がいた時にこれをつかえばって思ったけど、失敗したときのことを考えてブルブルと震えてしまった。
曽祖母は失敗したときのことを考えなかったのだろうか。曽祖母ほどの腕があれば失敗なんてありえないのかもしれないけど、私みたいな小心者には無理だなって思った。
「解呪、解呪、かいじゅ、ってない」
どの本にも解呪の方法は書かれていなかった。どういうこと???
呪ったら最後、成功か失敗しかないの?
そもそもあれは本当に呪いなのかしら?
マティアスは言わなかったけど、魔女マチルダである私も責任をとらされるかもしれない。私がこの店を継いでから、一本も魔女のポーションを騎士団に売ってはいないのがせめてもの救いだけど。
あ~、そうでもないかも。私が契約を切られた腹いせで騎士団を呪ったと思われる可能性もあるわ。
「魔女裁判、火あぶりって、前世で聞いたことあるけどこっちの世界では大丈夫よね」
声に出した途端に不安になってくる。
祖母に幼い頃から魔法を叩き込まれていた私はそういう話に疎い。
こっちの犯罪者って、どんな刑をうけるんだろう。
「そうですねえ。奴隷落ちが一般的ですね。軽いものだと奉仕活動というのもありますけど、百叩きや十叩きもありますよ」
ケイシーに聞くとそんなことも知らないのかと驚かれたけど教えてくれた。
奴隷落ちというのも怖いけど、少なくとも火あぶりのような恐ろしい刑罰はなさそうだ。
私はホッと胸をなでおろした。
「公開処刑のようなものはないんですね」
「私は見に行ったことはないのですが、ありますよ。前回行われたのは半年ぐらい前で、王子を毒殺しようとした方たちでしたね。ギロチンとか言うもので首を切り落とされたそうですよ」
ギ、ギ、ギロチン!!!!
この世界にも存在していたのね!!!
怖っ!怖すぎるでしょう!!
あたふたする私を見て、ケイシーが笑った。
「大丈夫ですよ。よほどのことをしない限りギロチンは使われませんから。私たち庶民には無縁ですよ」
よほどの事。騎士団の飲むポーションに呪いをかけるってよほどの事にならないかしら。
私がした事じゃないけど、証拠もないけど、危険だわ。
せっかく生まれ変われたのにまた若くして死んでいくなんてごめんだわ。それも下手をしたらギロチンよ!
なんとかしなくっちゃ。
あ〜、こんな事なら祖母に呪いについて習えばよかった。嫌がってはいたけれど、泣きつけば教えてくれたかもしれないのに。
そうだわ。曽祖母の日記帳は不吉だけど、祖母の日記帳なら、普通に読めるはず。
もしかしたらだけど呪いについて書かれているかも!




