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13 魔女のポーションと呪い

「それで部下の方は人間に戻れたのですか?」


 マティアスの話に夢中になっていた私は、彼がコップの水を飲み終わるのを待てずに声をかけた。


「ああ、ジャックは私よりは遅かったが三十分くらいのちには人間に戻れたよ」


「そうですか。それは良かったです」


「本当にそう思うか?」


「ええ、もちろんです」


 心外だ。私は薄情な人間ではない。一生ウサギのままでマティアスに面倒みられる生活なんて、あまりにも可哀想ではないか。


「それなら魔女の呪いを解くために協力してほしい」


「えっと、それって必要ですか? 数分で人間に戻るのでしょう? それに魔女のポーションを飲まなければいいだけではないですか?」


「確かに飲まなければ問題ない。だが問題はそこではないのだ。保存箱のおかげで魔女のポーションの在庫はかなりある。それもあって君との契約を破棄することになったのだからね。だからそれを破棄するとなると誰かの首が飛んでしまうかもしれない」


「...それは物理的に?」


 マティアスは答えなかったが、彼の目は肯定しているような気がする。

 初級はともかく中級や特級ポーションの値段は高い。誰かの首が飛ぶってことはかなりの数の在庫があるってことなのだろう。


「で、でも本当に呪いについては教えてもらってないんです。お力にはなれませんわ」


「何か騎士団との契約のことについて聞いていないか? 些細なことでもいいんだ」


 呪いについては、何一つ聞いていない。魔女のポーションを騎士団に納品しているのは知っていたけど、契約に呪いをつけるなんて何考えてるのって曽祖母に文句の一つも言いたいくらいだ。国家権力に楯突こうなんて無謀すぎる。


「祖母なら何か聞いていたかもしれませんが、残念です」


「それなら日記とか業務日誌とかの資料はないのか? 」


 マティアスは諦めきれないようで食い下がってくる。


「日記ですか? うーん。あの部屋で探し物をするのは困難ですよ」


「あの部屋?」


「曽祖母が使っていた部屋のことです」


「そんな部屋が残されているのなら、そこに契約についてや呪いについて書かれたものが残っている可能性は非常に高い。すぐにでも探してくれ」


 私としても助けてあげたいけど、無理なものは無理。


「あの部屋には細工がしてあって、とても危険なんです。祖母だってよほどのことがない限り入ってませんでした。私が入ったのも一度きりです。死ぬかと思いました」


「ダンジョンに比べれば、難易度も低かろう。私に任せなさい」


 ダンジョン? 確かに罠って意味では似てなくもないけど、大丈夫かなぁ。

 どうあっても断ることはできないようだ。

 でも私だけ貧乏くじを引くのは嫌なので、彼にも手伝ってもらおう。


「そうですか? では一度入ってみますか。先頭はマティアス様に任せますから、お願いしますね」




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