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その幼女、保護するにつき Girl_Stay_Home.

お忘れのところへ参上仕る。

お久しぶりの投稿にございます。

 








 ――閉じられた無垢な瞳が、俺の身体に突き刺さる。


 先程までのやり取りを聞いて尚、彼女は何も動じていない。というより寧ろ……。


「……すぅ」


 ……。

 …………。

 ………………寝てる。


 なんか中二的なこと行ってみたけど、端的に言って寝てる。

 うん。完膚なきまでに寝てる。

 睡眠中。スリーピングビューティ。いや、それは白雪姫か。

 そんなどうでもいいことを考えつつ、俺は目の前に眠る無垢な少女を見据える。

 うん、率直に言おう。すごい可愛い。

 ――っていや、そうじゃないだろ!?

 危ない危ない。もう少しで目的を忘れるところだった。いやぁ、幼女って恐いね。ビバ世界の宝!

「下んないこと考えてんじゃないわよ!」

「ぐわしっ!?」

 姉の制裁によって自分に酔うその時を邪魔される。

 いやぁ、この姉目覚まし時計として売り出したらいいんじゃないかな。ばっちり永眠間違いなしだよ! ※ただし弟は除く(耐久値的に)。はいそうですねどうせ僕は頑丈ですよそうですよ。っていうか一般人永眠しちゃうんだ僕の耐久値すごいぞ! 僕の、耐久値は、最強なんだ!

「だーかーらぁ~……下んないことを~、考えてんじゃなぁぁぁいッ!!」

「あべしっ!?」

 幼い頃に戻っボクっ子してたら殴られた。

 いったぁ~い☆ もぉ~お姉ちゃんてばぁ~、サイテー☆

「心の声がダダ漏れじゃあぁ!!」

「誠に申し訳ありませんッ!」

 土下座した。しかし、その頭を更に上からの圧力に踏みつぶされる……かと思いきや、俺の身体はスケートボードよろしく回転して飛び上がった。うーん、縦回転。

 こんな姉弟きょうだいコントなのだが、正直なところ私めは別に深夜零時に回復する無限循環機構も理想郷的な場所で作られた伝説の鞘とかも持ってないので、早めの回復作業が出来ない。故に、僕は姉に謝るという選択肢をとるのだ。……それにしても、さっきから一人称がぶれぶれだな。

 まあ、そんなことはどうでもいいとして――いや、ホント姉弟きょうだいの格差って酷いね。いや、そもそもお前悪いだろとかって言うなよ? いいか、絶対にだぞ?

「ったく……いい加減話を先に進めなさいよね」

「はい……」

 では話を戻そう。

 さてさて前回のダイジェストの時間だよ!


 僕、幼女発見→(善意で)拾う→姉に事情を説明→端々の可能性に気づく→あれ、ヤバいんじゃね? と自覚→(最後の悪あがきに)確認を……かーらーの~、今ココ!


 ……うん。きっと、おそらく……たぶん、端的に言って、客観的事実に基づいてみれば――やっぱ俺が悪い、ということになるのかもしれないね。

 いや、最初が善意だというは絶対に否定しないけどね。しかし、確認しなかったのは俺が悪かった。

 姉の言うとおり、ともかく先に進まなくては――はーいそこぉ~、イヤらしいこと考えた奴挙手ねー。

「あんたが言うな」

「ごもっとも」

 さて、この眠れるお姫様を起こさなくてはな……と、少し格好つけようとしたものの、あまりしまらない。

「zzz……」

「…………」

 うーむ。素晴らしいほどに熟睡中だ。にしても、この騒々しい中でよく起きないものだ。いや、このうるさい状況作ってる俺がいうのもなんだけど。

 ともかく、……起こすか。

 なんだか気が引けるが、ともかくこの……えーと、女の子だよな? 今更だけど。さすがに男の子ではないよな……髪長いし。

 本当に今更だけど、男の子だったら、少しは罪が軽くなるかね?

「……」

 いかんいかん。なんか醜い弁明を重ねる被告みたいになってきてる。

 そう、自分でも言ったとおり、今更だ。

 今更なのなら、まずは先に進もう。はいそこぉ~、二回目だからな~。イヤらしいこと考えなんなよ~? (大事なことなので二回いいました)。

「いい加減にしろ(ペしっ)」

「アウチっ」

 思ったより優しい姉の突っ込みに、あれ……もしかして俺の姉ちゃん、割と可愛いんじゃね? とか変なこと考えそうになった。見た目が可愛いの否定しないけれども。だってさ、パパンはともかく、ママンとグランマの娘で孫ですし。ただ、我が家の性質上いろいろ性は背負ってるんだけども。

「か、可愛いとかいうな!」

「……照れてる?」

 そもそも、言ってないんだけどね。

「照れてない! 人の揚げ足とってないで先に進みなさい!!」

「くふぅ……ッ!?」

 ズバシィィィッ!! はーい今まででいっちゃん強烈なのいただきましたぁぁぁ……!!

 これまでにないほど決まった一撃をもらい、ようやく頭の中が切り替わる。

 では、レッツコミュニケーション!




 ***




 可愛らしいお姫様、と表現するにはまだ些か幼い。

 その寝顔を消してしまうのはもったいないが、それでも早くこの事態を進めないと先ほどの二の前になることは目に見えている。

 が、しかし。

「起こすっていってもなぁ……」

 そう。どうやって起こすべきかに今度は迷う。

 小さな子に乱暴にするのは気が進まないし、かといってあまり弱々しい起こし方では起きてくれるかさえ定かではない。

 となれば、どの程度までなら許されるのだろうか? と、少々考えてみる。

 ただ、生まれが弟なだけに、起こされる経験はあっても起こす経験はほとんどない。父を起こしに行くときは小さいころならダイブして、最近は寧ろ自分が遅くて起こされる。姉なら、かなりふざけた起こし方を毎回試してその度に怒られてた。

 まして、母や祖父母に関しては、自分より遅く起きたところなど見たことがない。

 いつも笑顔でおはよう言ってくれる母と、祖母。いつも元気な祖父は、ジョギング(という名の子供探し)に興じている。

 ……うーむ。何だこの役立たず感。ちょっと嫌なことを思い出しそうになったが、まあ些末なことだ。

 さて、ではどんな起こし方をするのが正しいだろうか?

「いいから、声かけて優しく肩をゆすってあげればいいでしょ?」

 姉からのアドバイスになるほどと、早速それを実行してみる。

「あ、祐ちゃん? 揺らす幅を大きくしちゃだめよ? 首を痛めたりするから」

 母からのアドバイスを受け、では早速とそれに取り掛かる。

 優しく、慎重に……。

「あー、もしもし? あさですよー(ゆさゆさ)」

「………………んにゅ」

 反応アリ。

 しかしなんだ、こう……背徳的なものを感じるのはなぜだろう。決してロリコンではない筈なんだが。

 そんなくだらない事を考えながら、軽く声を掛け、その子の肩のあたりを軽く揺する。

 暫くそれを続けていると、

「ん……、――?」

 ついに、眠気眼をこすりながらその子は起きた。

「えーと、おはよう?」

 ひとまず、改めて挨拶してみる。

「……おぁよぉーぅ?」

 寝起きなためか、ひどく舌足らずな声に、思わず背筋に電流のようなものが走った感覚が感じられた。

 この背徳感、ますますたまらん……っていやいや!? そうじゃない! そうじゃないんだ!

 あ、危ない。もちつけもちつけ……って! もちなんてついてどうすんだっての。

 段々思考がミックスされてる。早く回復しなければなるまい。

 ……話を戻そう。

「え、っと……。その、こんにちは? 俺の事、覚えてる……かな?」

「……(こくり)」

 相変わらずとろんとした目ではあるが、しっかりと頷いて反応を見せてくれた。

 では、早速あの場所になんでこんな格好でいたのかを聞かなくては。

 そう思ったのだが、

「……公園で、わたしのことつれてったひと」

 何か急にそう指差されて言われた。

 あら? ……背後でなんかバトル漫画のオーラ的なものが浮かびあがってりゅん気がしゅりゅんですけどもぉぉぉおおおおおおおおおっっっ!?

 思わず自分まで舌足らずになりながら、そんな背後の恐怖に必死に抵抗しようとする。

 が、

「――有罪可決ギルティ

「い、いや! まだ本題に入ってないし……!」

有罪可決ギルティ

「ちょ、まぁ――ッ!」

 このとき、命の危機に直面するという事がどういうことなのか、分かった気がした。

 こんな平和な時代の平和な国に生まれて、まさかこんな気分になるとは。いや、勿論これも命の危機なんて大げさなものには及ばないのかもしれないけれど、それでも。

 この時、この瞬間。

 俺は自分が死ぬかもしれないという焦燥に駆られた。

「こんのぉ……! ドアホおおおおおおぉぉぉぉぉぉがァァァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!」

 姉、咆哮。

 その動き、まるで翔ける獅子の如く!

 あまりにも俊敏すぎる動きに、死すら覚悟しそうになったその時。

 とてとて、ぽすぅっ。そんな気の抜けた音と共に、先程拾った幼女が僕の膝の上に。

 姉に迫られ海老反りになりかけた、さっきまでこの子に目線を合わせるために膝を尽いていたその場所ひざに、何のためらいもなく――座った。


(((……なに? この状況……)))


 その場全員の思考が一致した瞬間だった。

 誰も言葉を発しない。ただ、その座った当人のあくびに混じった声以外はなにも。

「……え、なに。なんで、懐かれてるの?」

「…………さあ?」

 寧ろそれは俺が聞きたいんだぜ。

 何だろう、ひな鳥の刷り込実みたいなのが今更始まったとか? さっきまで寝てたし、もしかしたら――

「「「そんな馬鹿な……」」」

 またしても思考一致。家族の絆ってすごいね☆

 それにしても「えぇー……」だよ、本当に。どうすりゃあいいってのさ? この状況。というか、なんでねえ茶より早く動いたのこの? それとも我が家の廊下はそんなにも長かったっけ?

 正直なところ、皆目見当もつかない。

 一体何をどうすりゃ、ここから先へ進めるというのか。

 それとも――足りないのか、情熱が? とまあカッコつけて、そんな少年漫画的感情とこの先へ進むためのファクターを考えて見たのだけれども……これ以上余計なことを考えてると、流れで流れた姉の激情を再び呼び覚ます羽目になりそうなので控えておこう。うん、自重大事。

 そもそもカッコ良くはなかったよねごめん。

 さて、状況を進めよう。

「…………(ちらり)」

「……ふみゅ(満足気)」

 うん、無理。この膝上の幼女様は一体何をしたいのか、それすらわかんないや。てへっ☆

「いやいや、てへっ☆ じゃないでしょ。そこは」

「あぁ、てへぺろ☆ のがよかった?」

「そういう話じゃねぇよ!?」

「んー、じゃあ……てへペロォォォ……?」

「アクセント的な話でもないわぁー! というかその巻舌はなんなのよっ!?」

 どっかの龍球を追い求める世界にいそうな人造人間(完全体仕様)風な巻舌をしてみたが、姉の求めているのはそこではないらしい。

 漫画好きの中学生にはこれ以上分からんとです。

「そういうわけなので姉上様、どうぞご教授を」

「この阿呆……もう良いわ、そろそろ長すぎてついてけないわよね。いろんな意味で。ママなんて既に諦めてパパしばく準備始めるし」

 じ、自体は、俺の思っている以上に悪い形で進行していたようだぜ……しかし、ここで諦めない覚悟こそ、真の勇気! つーわけで、頑張ってねパパン。陰ながら応援しているよ(決してパパンサイドについて応援とは言ってない)。

 なんだか本日のパパン生存率なんかを著しく低下させた気がするけれど、基本的にこの家の男は総じてしぶといので、きっとなんとかなるさ。たぶんね!

 何だか無情な気がするが、ウチの女性陣に逆らったらチリにされるので仕方ない。生まれてこの方、逆らえ切れたことがないという経験則は非常に正しいものだったと言える。

 といっても、偶に羽目外して怒られたりはするのだけど。

 そんなことを考えていると、何だか遠くからドドドドッ! と、何かが近づいてくる音がした。

 近づいてきたらしきその音は、どういうわけか我が家の前で止まる。そして、止まると同時に一気にガバァッ! と、ドアが思いっきり開かれて音の主が飛び込んでくる――。


 さて、ここで問題。


 玄関で前に向け膝をついてしまったところに、幼女に乗られてしまった少年が一人いる。そんなところへ思いっきり勢い任せにドアが開けられたらどうなるか……因みに、我が家のドアは何とも日本では珍しく内開きである。



 ――Like a(さぁ、) Rolling(ロックンロールの) Stones.(始まりだ)



 極楽への門が開かれた、さぁ、逝こう。


「くぼあおぉ……おおおおおおっっっ!!!???」


 微妙なドップラー効果をひきずりながら、俺は吹き飛んだ。

 一瞬の出来事だったんだ。何かもわからず、ただ、吹き飛んだ。

 でも、この子だけは守らなくちゃと思って……だから、姉ちゃんにパスして、俺は――飛んだんだ。

「……キメ顔で浸ってるとこ悪いんだけどさ、生きてるからね? アンタ」

 ……くそぅ。いや、そりゃあ死にたい訳ないんだから、本気でそんなことになるとは思ってないけどさ。それにさっき言った通り、抑無家わがやの男はしぶといので、ギャグ補正ばりに耐久力が仕事してる。うん、耐久力偉い。

 でも少しくらい浸らせて欲しい時もあるんだよぉ……。

 軽く涙してると、飛び込んできた主が俺のことなぞ御構い無しにあわてふためいているのが見える。

 紹介しよう、我が家のパパンだ。

「あら、早かったですね? あなた」

 さて、そんなパパンを呼び出したらしきママンは、手に緑色の紙を……紙、を……ん? あれれ〜、おっかしぃぞー? あれってぇー、たしかぁ〜離婚届じゃ――「由香ちゃーん!? は、早まるな! というか離婚だけは勘弁してくれぇぇぇ!!」――あぁ、成る程。どうやら、ママンの怒りは思ったより深いらしい。

 そう、それはまるで、マリアナ海溝に降り積もる、マリンスノーの様に。太古の昔から積もり積もった石油層のように、よく燃える何かがつまり詰まっている。

 たった少しの火種でも、大炎上待った無し。

 燃えづらい原油のうちに納めなくてはならない。一つ手を間違えば、家庭崩壊もあり得る、かも。

「おねがぁーい! ゆるじでぇ〜っ!」

「あらあら〜、どうしようかしらねぇー?」

 な、なさけない。

 我が父ながら母に弱い。

 まあ、仕方ない節もある。我が家の序列は祖母、母、姉、祖父、父、僕になる。偶に父や僕が上に行ったりすることもなくもないかもしれなくもないかもしれない。

 そんな感じだ。

 さて、我が家の上下関係についての説明はこんなところ。此処からは、我が家のパパンとママンの舌戦(手出しアリ)を実況していくとする。


「あ、あの電話のセリフは弾みというか……というかむしろ祐しか聞いてないと思ったから……そう、ついなんだ。事故だった!」

「事故〜……? じゃーぁ、私は事故であなたから捨てられたーってことで良いのかしら?」

「そんな訳あるか!? というかその直後に『緑の紙にサインしてちょうだい』なんてメールよこす程なのか!?」

「ええ」

「即答!?」

「というか……そもそも貴方が一二〇%悪いわけだしぃー? まあでも離婚は大げさかもしれないわね?」

「だ、だろう――」

「でぇ、もぉ~……あなた、またこーんな小さい子に欲情してたし――――まだ治ってなかったのねぇ、その悪癖。まだ教育的指導ちょうきょうが足りてなかったのかしらぁ……?」

「ひぃ……っ!? は、早まるな――」

「ダ・メ♡」

「うぁぁぁっ!! ゆ、祐! 麗! パパを助けろぉ! 寧ろ助けてくれぇぇぇっ!」

「「……(ちら)」」

「うふふ〜っ」」

「た、頼む――」

「「…………ぷいっ(目逸らし)」」

「裏切り者ぉぉぉ!!」

「あらあらダメよぉ〜? 子供達に当たっちゃあ、ねっ?」

「そ、それはそうかもしれんが……というか祐! なんだその状況は!? 我が家の男がそんなことで――」

(こっちに矛先が……!?)

「だ、か、ら、祐ちゃんに当たらなーいの――――それで、本音は?」

「羨ましいぞこのダメ息子め良くやった!! ――――はっ!?」

「…………死刑判決デッドオアデッドねー。それじゃあ……しっかーりと、お話しましょうね。あ・な・た♡」

「そのセリフは今手に持ってるそのシャーペンを下ろしてからにしてくれないかっ!? 昔からその辺にあるもの武器にする癖やめてくれない!? 初デートの時もちょっと目を離しただけでバックのソーイングセットの総攻撃受けたし!!」

「あらー、そういえばそんなこともあったわねぇ――罪状追加ね」

「…………うそーん……」


((……うん、だめだこりゃ))


 どうやら、我が家のパパンは死刑のようだ。過去の罪も加わって、有罪判決ギルティどころか一気にデッドだ。そして、そこに生存ライブはない。

 我が家の最強の法の番人には勝てなかったよ。

 しかし、そこで悪あがきをするのが我が家のパパン。今のパパンはゴキブリよりも生命力が強そうだ。

「だ、たったらせめて――」

「んー? 妻の胸で死にたいのかしらー?」

 大きな胸を張るママン。

 が、パパンの跳んだ方向は――僕の膝下だった。

「幼女ォォぉぉぉッ!!」

 ラリったと言われても仕方ない目でパパン飛び込んでくる。

「あ、アレは抑無家秘伝・壱の技、〝ロリダイブ〟っ!」

 説明しよう! ロリダイブとは、どうしようもない駄目な大人が、極限状態に陥ったときに純粋な物に惹かれるという困った性質により発動する偶発的な技である!!

 加えて、抑無家の男は、とりわけその傾向が強い。

 以上!


「ぉぉぉおおおお!!」


 かなりあぶないかんじに飛び込んでくるパパン。いや、すでにただの変質者だけども。

 それにしても、壱の技・ロリダイブ……まさかこんなところでお目にかけるとはな……ッ! みたいなこと思ってたら、

「……むぅ」

 ぷいっ、と可愛らしいそっぽと共に、何かがパパンの標的――つまり、僕の膝上の幼女が少し動いた。

 指先を向け、頬を膨らませたその姿は非常に可愛らしい。それじゃあますます拍車をかけるだけかと思ったのだが――

「――やっ(ずぎゅーん!)」

「おおおおぉぉぉ……ぐぉぉぉおおおおおお!?」

 なんかピンク色の閃光が飛び出したんですがこれは……。しかも、パパンが吹っ飛んだ。

 え、何これ? なんてリリカル? なんてプリズマ?

 変な電波が頭をよぎったが、そんなことお構いなしに状況は進んでいく。

「あらあら~、おイタはそこまでよー……めっ♡」

 すでにズタボロなパパンをママンが捕まえた。

 いや、〝つかまえた〟なんてぬるいものじゃない。

 例えるなら、恋人同士が砂浜で追いかけっこするような「つーかまーえた~!」みたいなアレではなく、ドスを利かせた893の兄貴が「あぁんっ? 何カタギの集に手ぇ出しとんじゃ我ぇ!?」みたいな感じだZE☆

「ぐおぉぉぉ……っ!!??」

 ぎちぎちぃっ! ママンは アイアンクロー をだした。

「あらあら、うふふ」

 あ、ありのままに今の状況を語るぜ!

 言葉の上じゃあ、語れねぇ、恐怖ってもんを目の当たりにしたような、そんな恐ろしい物を見た!

「それじゃあ、あなた。お話、しましょうか?」

 にっこり。

 そんな擬音がつきそうな程いい笑顔で、母は言った。

「いやぁぁぁああああああああああああああああああああっっっ!!!???」

 反対に、パパンは幽霊にでも出会ってしまった少女のような悲鳴を上げて寝室へ消えていった。……うーん、なんか卑猥。

「……はっ! アホなこと考えてんじゃないわよ(ぽかっ)」

「いてっ」

 はたかれた。

 なんか姉もこのめまぐるしい状況の変化という名の嵐に乗りきれなかったようだ。

 だというのに、

「……ふぁ~……」

 全くと言っていいほど動じてないなこの子。意外と大物?

 まあ、ともかくアレだ。

 うん。

 とにかく、アレだよチミ。

「うーん……とりあえず、平和だ」

「んわけあるかぁ!?」

「ですよねー」



 こうして、なんだかよく分からない幼女、いや最早これは危険物と読んで差し支得ないのではと思うほどの他人型決戦兵器的な、あるいは何かすごいビーム出す英雄剣士的なものを魅せてくれた幼女が、我が家へやってきた。




 本日の教訓――――その幼女、危険物につき取り扱い注意。




別の小説書いたりしてるとなかなか進まないお……

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