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その少女捨て子につき Encount_Girl.

祝、初投稿!

初めてのオリジナル小説、しかもギャグ。

亀更新だろうけれども、頑張っていこうと思います。

感想とかいただけるとうれしいですが、あまり酷い誹謗中傷はご勘弁を。

それでは一話目をどうぞお楽しみください。








 ――ある日、子供を拾った。


 なんとも言えない冗談のような出会いだったが、事実だったのだからしょうがない。そう自己完結してみたが、未だにそれについて思うところが残っているのは当然の反応と言って差し支えないはずだ。

 そもそも、なんでこうなったのだろう? ふと、自分のベットの上に乗ってくつろいでいる少女――いや、寧ろ幼女か――を見ながらことの顛末を思い出してみる。

 始まりは、何と今朝のこと。


 その日は、雨も降っていない上々の気象。

 天気予報にあった快晴の知らせに気分の高揚を感じつつ、気ままな散歩に興じる。まるで気分は兼好法師。徒然なるままに道を歩く。

 休日だが、それほど大きな都市でもないこの街はそれほど人が交錯することもないため、非常に閑静な空気の中を歩いていた。

 そんな時、これまた気の向くままに立ち寄った公園で、少し大ぶりな箱が目に入った。

 何が入っているのか、それが気になってつい中を覗いてみた。

 ここまでは別にいい、いいのだが……そこに入っていた『中身』が問題大ありだった。


「……?」


 こちらを見つめてくる無垢な瞳。

 艶やかな肌と、それとはあまりに不釣り合い過ぎるボロボロのケープの様な布切れ。その布に垂れているあまりにも麗しい薄い桜色の髪……。

 明らかにこの世界――この街のこんな一角、それも薄汚れた段ボールの中になど、居てはいけないのでは無いかとさえ思える、そんな子供がそこに居た。


 ――――それは余りにも唐突極まりなく、突如訪れた、奇妙奇天烈摩訶不思議な非日常とやらの始まりだった。




「――で? 連れて来ちゃった、と?」

「うん」

「即答!? ……というか、人をそんな猫か何かの様な感覚で拾ってくるな!」

「げぼっ!?」

 正直に答えたら殴られた。姉ちゃん脳天チョップめっちゃ鋭いね、これなら世界狙えるんじゃない? きっと(適当)。

「適当なこと思ってんじゃないわ! この愚弟がぁ!!」

「え、俺口に出してな――『それを口に出しとる時点で失礼なこと考えてるってことを肯定してんのよ!』――がふっ!?」

 いや、確かにその通りでした。ごめんなさい。

 今後は肯定をする前に口に出していいことを確認してから口にしよう。もうこの世界狙えそうな姉の制裁を食らうのは御免被りたい。ちなみに二度目はかかと落としだった。黄金の腕と足セットとか、我が姉ながら恐ろしい……二重の意味で。

 そんなことをこれ以上考えているとまた姉から制裁をくらいそうなので、そろそろ本題に入ることにした。

 姉の方も、これ以上の制裁は目下わたくしめの連れてきた〝者〟に与える影響が芳しくないと判断してくれたようで、話を進めるように俺を促した。

「で、この子は?」

「いや、だから公園で――」

「親とか子供とか、この子に関係してそうな人はいなかったの?」

「いや、いなかったから連れてきたんだけれども……」

「あんたねぇ……もし、万が一、この子がそういう状況だったとしても、ちゃんとその辺りの警察なり役所なりを頼るべきでしょうに。……もしこの子がかくれんぼとかそういう遊びしてた、とかだけだったら――あんた誘拐犯よ?」

「…………」

 いかん。なんとなく流れで連れてきただけど、もしもそうだったらとかまるで考えてなかった。

 いや、あの状況でそれはないだろうけども。だが、もし、万に一つの可能性で。この子が迷彩とかにめちゃこったハイレベルかくれんぼに興じてただけだとか、毎年毎年嵐を呼び続けるどこぞの五歳児の如くめちゃくちゃな遊びを――たとえば、鬼のいないかくれんぼとか――してただけだったら…………俺、アウトじゃん。いや、さすがに状況的にきっとそんなことは無いと思う。思いたいのだけれども……。

 しかしそれも、「お兄さん怖いからなにもいえなかったよふぇ~ん」みたいなこと言われたりしたら、俺が社会的にヤバい。立場のヤバい奴に……っ! その上、勘違いして幼女連れ去った変態のレッテルと、同時に臭い飯を食うというオプションまでついてくるんじゃあ……ッ!?

「お姉ちゃん、――――どうしよう?」

 おっと、思わず幼児退行してしまったぜ。か、勘違いしないでよね! べ、別に今でもたまに姉ちゃんのこと時々『お姉ちゃん』とか呼んでるわけじゃないんだからねッ!? (ここまでテンプレ。だが、男がやるとめちゃキモがられるアレ)。

 と、取り乱したが、これ以上上児湯が悪くなることなどありえな――「ただいま~……あら? 麗ちゃんに祐ちゃん。帰ってたの――あら? その子、どちら様?」

 のほほんとした(ただし怒らせると超恐い)母、登場!

 同時にこれは、もはや詰みの一手だった。




「えと、その……」




 言葉に詰まる。はてさて、どう説明したものか。

 積み手を前にした俺の頭はかえって冷静になれていたと思う(まあ、同時にものすごい勢いで真っ白になってくのだけれども)。

 ……だめだ、思い浮かばない。

 対抗策をひらめくことを放棄した俺は、続いてどう謝るかについて考えようとしたのだが、そこに一つ疑問がわく。

 確かに、姉のいうとおり俺のやった行動は軽はずみだった。一発で社会的抹殺を余儀なくされる程度には、間違っていたかもしれない。

 だが、あんな公園でこんな格好で座っている子供を放っておくことは、果たして人間としてどうだろうか? 一昔前なら、近所のおじさんおばさんと子供たちが家に招かれ戯れる位のことはあっただろう。今だって、子供の心がひねくれていたり、おじさんおばさんの心が清ければ、普通にある光景だろう。

 それを考えれば、俺のやったことはあくまでも善意だ。

 小さな親切だ……おいそこ、小さな親切大きなお世話とはいうなよ? いいか、絶対だぞ? お兄さんとのお約束な?

 さて、話を戻そう。

 となれば、俺は正直に放っておけなかったという有無を話せば怒ると恐いが、あくまでも優しいママンな感じの母さんにいえば、きっと分かってもらえる。いや、分かってもらえない訳がない!

 ここしかない。

 今やらずにどこでこの言葉を語るというのか、答えは否。ここを除いてほかにはないんだ!

 答えは得た。

「放っておけなかったんだ」と、ただ、その一言だけでいい。正直に、俺の善意を、俺の正義を語れば、ただそれだけで。

「実は俺、この子を――」

「ついに、やってしまったのね……祐ちゃん」

「――放っておけな、……え?」

「ママは悲しいわ……どうして、どうして一言相談してくれなかったの……? う、ううぅ」

 特報 母、涙を流す!?

「」

 泣かれた。善意を語ろうとしたら、その行為を逆手にとられて泣かれた。しかも、何の脈絡もなく――ん? 何かさっき『ついに』とか言われた気がするけど……いやいや、俺は幼女趣味ではない。空耳だな、うん。

 空耳だ。

 そして俺は至ってノーマルだ。

 いいか? 俺はノーマルなんだ。大事なことだから二回いったぞ。

「いや、母さん……俺がこの子をマジで誘拐してきたとか思ってんの……?」

「……違うの? お母さん、信じていいの?」

 〝違うの?〟――ってどゆこと!?

「えぇー……。そこで実の息子が誘拐犯か否かについて訊いて、信じていいの? という疑問が浮かぶことがまずショックなんだけど……信じてくれてないの?」

「信じているわ、でも……この状況、流石に言い訳出来ないとママ思うんだけどー……」

 ごもっとも。まさに正論である。

 というより先ほど実姉に糾弾されたばかりの身としては、「確かにその通りですね」としか答えられないような状況な訳で……。

 母の言葉に一切反論できない状態になってしまう。

 いや、反論どうこうというより、そもそも先ほど射かけていたこの子が心配だから連れてきたという善意を示せばそれまでなのではあるのだけれども。それを軽く口にしても説得力が無いのでは無いかなと母の涙を見てしまった後としては思う。

 どう説明しようかと迷ううちに、とりあえず先ほど姉にしたものと同じ説明を母にもする。

 ただ、凄く労わられる様な生暖かい目を向けられたのはかなり答えたのだが、それでもひとまず一通りの説明を終える。すると、しばし思案する様な構えをとった後、息子の行いに対する評価を口にした。

「……とりあえず、軽率な行動をとるんじゃありません!」

「はい。まったくその通りでした!」

 一点の曇りもなくその批評は正しかった。姉に言われるまで何も感じず自分の行動に疑いを覚えずにいた二時間前の自分を殴ってやりたい衝動に駆られる。でも、それは痛そうなので引き留める程度に抑えておくとして、目下問題となっているこの少女(幼女?)をどうするかを考えなくてはならない。

 とはいえ、まさかまた外に放り出すというのもあんまりな気が……

「――ともかく祐ちゃん。この子をしかるべきところに」

 しかるべきところ。

 そういわれても、それにふさわしい場所が今一つ思いつかない。仮に、この子がいるべきであろう場所は――と考えてみて、俺なりに一つ結論をあげるとすれば、それはどこだろうか?

 ――例えば、そう。

「……俺の部屋、とか?」

「――ふんっ!」

 それなりに考えた回答は、我が姉によってコンマ〇秒で様々な意味で叩き潰されてしまった。黄金の右手が今日も(二回目だけれども)火を噴くぜ!

「……すびばせんでした……」

「ったく、少しは考えてからものを言いなさいっての……」

「いや、それなりに考えたんだけども……」

「尚更質が悪いわっ!! アンタの頭ン中はいったいどんな要素もうそうが詰まってんだっ!?」

 実の姉をしてこれである。

 それなりに頑張って考えたんだけどもどうやら気にそぐわなかったらしい。

 しかし、そんな俺を見て姉は、

「アンタさぁ……さっき自分でいった言葉を三回ほど反芻してみないさい。それで何も感じなかったら――」

 姉はそこで言葉を切り、養豚場の豚を見るような目で実の弟を見下ろしつつ(先ほど殴られた影響で俺は地に伏せている)これまで聞いたことのない程冷め切った声でこういった。

「――安心して刑務所ブタバコにぶち込んでやるから、安心なさい」

 それのどこに安心できる要素が!? というか、姉的には安心なの!? 俺の安心っていったい……。というか、母も頷かないでよ実の息子がムショに入るかもっていうのに頷いてどうするのどうもしないの?

 おかしい。主に俺の家庭内ヒエラルキー的なそれが。

 父さん……助けてくれよぅ……「あ、パパにはすでに連絡済みよ? それで、パパからの伝言は『よくやったな祐介! 幼女拾ってくるとはさすが俺のむす「ア・ナ・タ?」しまっ……ごほん。えー、いやー、誠にけしからんぞー父さんは恥ずかしー(棒)』……(ピッ)」

「…………」

 ……どうやら、俺は間違いなく父さんの子供らしい。姉に反芻しろって言われたことすら忘れて地に這いつくばる。

 いやー、血縁ってすごいね☆

 定めを背負った一族みたいでカッコい……いやそうじゃねぇよ何もカッコよくねぇよ。そもそもカッコよく冒険とかに出る前に監獄行だよ。二部どころかこれから一部始まるかどうかも定かでなくなっちゃうよ主に俺の人生的な意味で。

 そんな訳で、頼みのパパンからの助けもなくなり――俺氏、絶賛孤立無援なう。

 絶賛救助要請発信中、誰でもいいので助けてくださいお願いします。なんでもしま……いやなんでもは無理だな、常識的に。そうだな……出来る事なら何でもしますから、助けてください。

「のっけから常識外れ甚だしいロリコン犯罪に差し伸べる手なんてあるわけないでしょうが」

「……ですよねー……」

 というか、なんでまた判ったんだろう? 口に出してないのに。こ、これって……姉と弟の絆的な? 過去から続く実は恋人だった的な? ここからまさかの姉ルート突入なのか!? いやー、まいったなぁ~。俺別にーお姉ちゃん好きとかじゃないしぃ~?

「――またなんかくだらない事考えてるわね……。いい? 我が愚弟、耳の穴闊歩じってよぉーく聴きなさい」

 なんだなんだ。いきなり俺の姉が中二病っぽい話し方に――「揚げ足をとるな。そのロリコン脳天カチ割るわよ」――はいっ、スンマセンでした!

「いい? アンタはそもそも存在からして破綻してんのよ」

「破綻かぁ……なんかカッコいいよね」

「中二かアンタは」

「うん」

 絶賛青春謳歌一歩手前の思春期の入り口である。

「……はぁ」

「ねぇ、姉ちゃん。なんでため息?」

「…………ふんッ!(ドゴンッ)」

「いだぁっ!?」

 もうこれで三度目だよ! どんだけ我が家の姉による制裁は物理に固定されてるの!? 俺の脳細胞が死ぬ!

「もうとっくに枯れ果ててんでしょうが。エロとロリ以外は」

「そ、そんなことねぇし!」

 全く持って失礼な! 俺がそんな煩悩マル出しなヤツなわけがない。いや、確かにこれまでの行動はそうかもしれないけれど……あれ、もしかして結構拙い……?

「人は、他人ヒトを見た目で判断するのよ?」

 Oh……なんてこったい。

 俺はいつの間にか取り返しのつかないことを仕出かしてしまったのか……?

 いよいよ額をこすりつけるほどに地に這いつくばる俺を見て、姉は漸く分かったかという顔をしている。

「ようやくわかったようね、アンタの罪科が」

 どうやらいつの間にか俺は十字架を背負った――「それは殺人の比喩よ」――えっと、じゃあその。子を背負った……いやこれだとなんか不義理を働いた間男みたいだし、うーん……。

 延々とくだらないことを考えてみる。というかさっき姉ちゃんの指摘ツッコミが入ったような気がしたんだけども……あんまりに自然でうっかり気づかなかったよ。いやー、姉弟きょうだいの絆ってすごいね。

「思考が二重三重に脱線してるわよ。相変わらずぶっ壊れてるわねぇ、たいして中身もない癖に」

「そ、そこまで言わなくても……だ、大体。俺がこの子を拾ってきたのは善意からだって、さっきから――」

「――じゃあ、アンタはその子にそもそも善意云々を示すために、意思を聞いたのかしら?」

「――――――」

 完全に頭になかった。

 ――あれ、これは最初に確かめるべきだったんじゃね?

 というか分かってたのになんで指摘してくれないの? いじめか、いじわるなのか? うぇーん、姉ちゃん俺をいぢめるよぉ~。

「……アンタがそんなんだからぁ、話が進まないんでしょぉー……があぁっ!!」

「その通りでした! ……ごふっ!?」

 黄金の右手&左足。本日四度目である。世界を目指せそうな技の数々をここまで大盤振る舞いしてくれるとは……なんとも気前のいいことで。ただし、対価だいきんは俺の身体(の外傷)だけども。

 ――おっと、ここまで通りの俺だと思うなよ? これ以上の脱線はせん。やらせはせん、やらせはせんぞぉぉぉっ!

「馬鹿なこと言ってないで、さっさとやりなさい。それ以上続けてるとホントにブタバコ行きよ。この子に関しても、当然行くべき場所に責任をもって届けておくわ」

 それって俺のへ――

「それだけは天地が裂け様がようが逆転しようが歪曲しようがありえないわ」

「あ、はい」

「あたしがいった、反芻しろってことすら忘れてるその空の頭には中身のシェイクが必要かしら?」

「いえ! 必要ありませんです! マイ・オールド・シスター!!」

「誰が年増オールドだって? あぁん?」

「」

 墓穴を掘った。

 嫌だからあれほどたとえに英語使うのはやめろと……俺の英語の成績的に。

 ンなことを考えても結局は後の祭り。まさにアフター・カーニバル――「そりゃ祭りの後よ、この馬鹿」――Oh……。

 どうやら、どこまで行っても俺は馬鹿かは抜けだせないらしい。

 ならばせめて、最初の目的に……! 脱線はしない、しないと誓ったんだ! だから、最後位、目的を……果たし……!

「小芝居はいいから早くしなさい」

 ――姐さん、そんなご無体な……。

 バッサリ斬られた俺は、うなだれながらもついに待望(?)の幼女とのファーストコンタクトへと歩み出したのだった。






いかがだったでしょうか?

初作品なので、楽しんでいただけたのなら幸いです。

次回も楽しんでいただけるように頑張っていきます。

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