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春、それは始まりの季節。今日から高校2年生を迎える僕も、舞い散る桜の花びら同様、秒速5センチメートルで歩いていた。(分速3メートル)


ゆっくりと曲がり角を曲がろうとした時、視界に黒い影がよぎった。


ドンっ!ぶふっ!


不意の衝撃、目の前には白い粉吹雪。胸元に当たったその小さな衝撃はその反動で尻もちをついた。


「いったーい」


アスファルトに尻もちをつく彼女は、僕が通う高校の制服を少しばかり着崩しており、魅力的な太股に視線が映る。(全体的に白いけど)


僕の視線に気づいたのか、バッとスカートを押さえつけて鋭い視線で睨みつけてくる。


「見たでしょ?」


「見てない」


「嘘!絶対見た!」


「見てないって言ってるだろ!大体、目の前が白い粉に覆われてたんだ!見える訳ないだろ!」


「白…やっぱり見たんじゃない!この変態!」


髪の毛を逆立てながら罵声を浴びせてくる彼女。しかし、実際僕は見ていないのだ。というか、この白い粉は一体なんなんだ?


「変態のせいで私の朝ごはんが台無しじゃない!もう最悪!」


罵声プラス悪態を吐き、彼女は踵を返して走り去っていった。

その見事な横暴っぷりには反論の暇さえなく、彼女の後姿を見送った僕は彼女が朝食と表現した口から噴出されて全身を白に染め上げた白い粉をそっと口に運んだ。


「・・・小麦粉」




学校へ着くと、正門前にはクラス分けの掲示に生徒が群がっていた。


「見ろ、人がゴミのようだ」


はぁ、居るよね。あんなのを平気で言っちゃうような奴。僕はジ〇リが好きですアピールですか?全く、高校2年にもなってそんな恥ずかしい自己主張をする奴の顔を拝んでやろうと声のするほうへ顔を向ける。


(そこに居たは僕の親友である遠藤だった。そして、彼の顔は何かしらの答えを僕に期待している面持ちである)


困った、ここは友人として話に乗ってあげるべきか?しかしその台詞に続く台詞を僕は知らない。どうしよう、早く何か答えてやらねば!迷っている間に遠藤は若干涙目になってきている!


鞄に手を突っ込み、昼食にと持って来ていたみかんのを取り出す。皮を一切れ剥いて僕はそれを遠藤の眼前まで持って行きこう唱えてみかんの皮を押しつぶす。


「バ〇ス!」


「目が!目がああああああああああ!!」


見事にみかんの皮から飛沫をあげた果汁は遠藤の目を直撃した。大袈裟に宣う遠藤。それを見る周囲の目は冷ややかだ。僕は耐え切れなくなって、遠藤を残してクラス割りで確認した教室へと逃げ込んだ。

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