09.あたしの可愛いモン娘②人魚娘
コンコン。
来たかな。
2人目の面接は人魚っ娘だ。
ドアを開けると……台車に乗った水槽?
その中に人魚っ娘が浸かっている。
大広間で見た時もこの状態だったけど、水がないとだめなのかな?
「いらっしゃい。入れるかな?」
「はい、失礼いたしますね」
おお?押してる人はいないのに台車が動くぞ。
これは魔法か何かなのかな?
「これはどうやって動いてるのかな?」
「わたしは水を操ることが出来ます。周りにある水を動かして水槽と台車を動かしています」
「なるほど、器用だね。水がないと動けなかったりするのかな?」
「はい……残念ながら水がないと何もできません。魚のように死ぬことはありませんけど……」
水を操るのか。かなり強力そうではあるな。
でも水がないとだめってことは召喚できる場所も限られそうかな。
ま、とりあえず面接だ。
この子も見た目の可愛さでほぼ決まってるけどね。
上半身はほぼ人間、耳や腕に魚のひれみたいのがあるくらい。
それもアクセサリーに見えなくないかな。
青い髪がとっても長い。身長くらいありそうだ。
青い鱗のような模様のビキニっぽい水着を着ている。
露出が多いけど寒くないのかな?
水の中だからあまり関係ないか。
下半身は、おとぎ話に出てくる人魚そのまんまだ。
お魚というか、ジュゴンといのか。
でも、女の子の大事なところがある部分はスカートによって隠れている。
むむ……あそこはどうなっているのか?
とりあえずお話からだ。
「じゃあはじめようか」
「よろしくお願いいたします。こうやってお話できて光栄ですわ」
「うん、あたしもあなたに会えてよかった。実はね、あなたってあたしの好きな人に少し似てるんだ」
「好きな人……そのお方は女性なのでしょうか?」
「あ、うん……。女の子が好きって変かな?」
よし、ストレートではあるがこれを聞いておこう。
否定されるなら最初がいいし。
「いいえ、素敵だと思いますわ。愛には性別も種族も関係ありません。わたくしも昔、溺れている人間の女性を助けたことがありまして、お恥ずかしながら惚れてしまったことがあるんですの」
「そうなんだ……素敵なお話……」
まるでおとぎ話の人魚姫だな。
相手が王子様でなく、女性ではあるけどあたし好みだ。
その人間とはどうなったんだろう?
聞きたいけど、悲しい話が返ってきそう……。
「わたくしの片想いですけどね。その女性はだれに助けられたかすら知らないはずですわ」
「その人は気絶してたの?」
「はい、なんとか息は拭き返したのですが……その時他の人間に見つかり、銛で追われてしまいました」
「そっか……それは災難だったね……」
「いえ、幸運でしたよ?他の人間が現れたことで、その女性は間違いなく助かったはずですから」
「そ、そっか」
すごく満面の微笑みで言われてしまった。
なんと前向きと言うか健気と言うか……。
この子もとってもいい子なんだなあ。
そういえば昔道徳の時間に習ったっけ。
いいことをする時に見返りを求めてはいけないって。
それを実践できるってすごいことだ。
でも……やっぱり悲しいなあ。
「その人に会いたいとは思わないのかな?」
「しばらくは思いました。しかし、もう100年も前のこと。その人間はもうこの世にいないでしょうね」
なぬ!?
この子とか言っちゃってるけどすごい年上?
人魚の肉を食べたら不老不死の伝説とかあったっけ。
だから人魚も長生き?
いや、そもそも魔物が長生き?
「えっと、魔物って結構長く生きてるの?」
「そうですね。創られた時期にもよりますが、ヴェリア様などは千年前から生きておられるとか聞いたことがありますわ」
「そ、そっか……」
「でも基本的に年齢を聞くのは失礼な気がするので、皆がどのくらい生きているかよく知らないのです」
「そ、そうだね……。あたしも聞かないようにする……」
うーむ……。
魔物は皆若い見た目だけど年齢は不明なわけだな……。
まあ気にしないことにしようか。
ファンタジー世界なんだし、見た目が大事。
あ、でも……。
「寿命とかはどのくらいなんだろう?急に寿命で死なれたりしたら悲しいよ?」
「あ、わたくしたち魔物は通常の寿命で死ぬことはありませんのでご安心ください」
「そうなんだ……不老不死??」
「いいえ……わたしたちは愛するご主人様を見つけて名前をいただき、一生お仕えすると誓ったその時に寿命が定まります。すなわち……ご主人様と同じだけ生き、ご主人さまと同じ時に死ぬこととなります」
なんとなくロマンチックな話ではあるけど……ええええ!?
ミリィってあたしが寿命で死ぬ頃に死んじゃうの?
ううむ……名前を付けるってことはまさに命も預かることなのか。
慎重にならねば……。
「そ、それを聞くと名前を付けるのに躊躇しちゃうね……」
「そうかもしれませんね。しかし、そうやって死に至ることは……とてもとても幸せなことなんですよ」
「そっか……でもずっと生きててほしいな……」
「ご安心ください、魔物はその後で新しい命に生まれ変わると言われております。そしてまた新しい生活が始まるんです」
「そ、そっか……」
うーむ?
幸せに生きて幸せに死んで、また新しい人生か。
それなら問題ないのかな?
でも……この子たちをだまそうとする悪いご主人様がいないか心配。
「もしさ、名前をもらった後でね、ご主人様が悪者だとわかったらどうなるの?もう取り消せないよね」
「そのような悪しき心の持ち主は、わたくしたちに名前を付けることはできないと聞いております」
「なるほど……。でも、いい人だったのが名前を付けた後で悪い人になったら?」
「どうなるのでしょうね……。でも、名前を付けてくれた時点では善き心を持っていたご主人様なのです。たとえ悪くなったとしても一生お仕えしたいと思いますわ」
うう……健気だよぅ。
こんないい子たちのご主人様があたしに務まるのかな?
いや、悩んでてはいけない。しっかりしよう!
「えっと……あたしにご主人様になってほしいと思って来てくれたんだよね?」
「はい」
「あたしのことまだよく知らないのに、よく来てくれたなと思ってさ」
そうなのだ。ミリィはあたしが助けたからってことでよくわかるんだけど……。
ほぼ初対面の他の子が来たのはなんでだろう?
一生を左右する問題なのにね。
「数日前のことですが、ヴェリア様がある予言をされました。この世界を変えることのできる勇者が現れると……」
「それがあたしなの??」
「わかりません。しかし、わたくしはそれがユウナ様のことだと信じております。こうしてお話をしている間にもそれが確信に変わってきています」
「うう……そんな期待されるとちょっと困るかも……」
世界を救うって結構なことだよ?
この子は結構思い込みの強い子なのかな?
過去に惚れた女性も一目惚れっぽいし。
「あ……申し訳ありません。そんな重く考えないでくださいね。気楽に決めていただいて構いません」
「う……うん」
弱った。
この子も部下にしようと最初から決めていたのに、今は悩んでいる。
あんな話を聞かされた後では気楽に考えられないよ?
うーん、あたしが選んだ理由……大好きな可奈ちゃんに似てるって言うのも失礼な話かもしれないよね。
「ユウナ様?わたくしがお嫌でしたら、遠慮なくそう言ってくださいね」
「うん、ごめんね。もう少し悩ませて……」
「はい」
こんな状況でも笑顔であたしにはなしかける人魚っ娘。
その笑顔がやっぱり可奈ちゃんに似てる。
かわいいなあ……。
なにかもうひとつ決意を深める何かがほしいな。
「もしさ、ヴェリア様の予言がなかったら、ここには来てなかったかな?」
「いえ、おそらくは来ていましたわ」
「どうして?」
「あの……恥ずかしくて言えなかったのですが……。ユウナ様はわたくしの、とても好みのお方なのです。先ほど話した女性にも似ています」
顔を赤らめて恥ずかしそうに言う人魚っ娘。
はい、採用決定。
そういう理由を言ってほしかったのさ。
やっぱり予言とかでなく、あたし自信を好きになってほしいよね。
じゃあ……こんな質問をしよう。
「もしもだけどね、その女性と仲良くなれてたらさ、一緒に何をしたかった?」
「そうですね……。やはり、わたくしの住んでいる海の中を案内したかったですね。素敵なところなんです」
「そうだろうね……あたしも連れて行ってほしいな」
「行きますか?」
「え?行けるの?」
「はい」
おお?水中デート?
それはぜひ行きたいけどどうやるんだろう?
「でも水中では息が出来ないよね?」
「息をしていただく方法があります。ユウナ様がお嫌でなければですが……」
「どんな方法かな?」
「わたくしの口から酸素を受け取っていただく方法ですわ」
なぬ?それはまうすとぅまうすとか呼ばれる伝説の??
この子とキスしっぱなしで水中デート??
それはぜひぜひお願いしたいものだ。
「嫌じゃないよ、ぜひ連れて行って!」
「はい、それではまずユウナ様にも水着になっていただかなくては」
「水着かあ、ここにはないかなあ……」
「あ、こんなこともあろうかと思いまして持ってきておりますわ」
「お、用意がいいね」
最初から水中を案内してくれる気だったのかな。
あたしは用意された水着に着替える。
シンプルな白いビキニの水着だ。
着替えてる間、人魚っ娘は後ろを向いている。
この子もできる女性である。
着替え終わって見せに移動。
「着替えたよ」
「よくお似合いです、ユウナ様」
「ありがと、じゃあ案内して」
「はい、行きましょう」
わーい、デートだデート。
ん?時間は大丈夫なのか?
「あ、でもあまり時間はないんだけど移動の時間とか大丈夫かな」
「はい、今日は短い時間のコースで行きましょう。30分ほどですわ」
「それなら大丈夫か。でも、海ってどこ?」
「はい、城の地下の方になります」
地下か、海に繋がってたりするのかな?
しばらく歩き、なんだかプールっぽいところに来たぞ。
あ、他にも魚っ娘や魚男とかいるぞ。
泳いでるのかな?
あ、漁から帰ってきたっぽいのもいるぞ
「あなたたちはお魚食べるのかな?」
「はい、海の恵みです。ユウナ様はお好きかどうかわからなかったのでお出ししていないのですが、お魚は好きでしょうか?」
「うん、時々は食べたいかな」
「では今夜のメニューに加えるよう伝えておきますね」
「ありがと」
ふーむ、動物たちの肉とかは違う感じだな。
考えてみると、魚は基本的に魚を食べて生きているわけだからいいのか。
ちゃんと感謝して食べよう。
「では、まずあのプールに浸かりましょう。あのプールが皆の部屋や海へつながっております」
「うん」
人魚っ娘に連れられてプールに入っていく。
なんとなく周りから注目されてるな。
注目されるのは慣れたけど……この状態でキスすることになるの?
ちょっと恥ずかしいかも。
――ユウナよ、お楽しみのところ少しいいか?――
おや?麒麟だ。なにかまたアドバイス?
――うむ。ユウナの持つもうひとつの能力『神獣合体』についてだ。これを使うことで魔物と合体が可能だ。無論、相手の了解は必要だがな――
ほうほう、合体するとどうなるのかな?
――魔物が持つ能力をすべて使いこなすことが出来る。今回の場合は、水中での行動が可能になるぞ――
なるほどなるほど。
でも却下。
あたしは水中に行きたいんじゃないの、水中に連れて行ってもらいたいんだ。
そんな魔法的な合体じゃなく、物理的に合体したいの。
――そ、そうか……――
うん、でもありがとね。
別の機会に試してみるよ。
――うむ。邪魔したな――
ふう、麒麟先生がいろいろ教えてくれるのはいいけど、今は不要だったなあ。
「ユウナ様?どうかされましたか?」
「あ、ごめん……。お水、冷たいかと思ったけどあったかいね」
「はい、ここは快適な状態に保たれています。では、よろしいでしょうか?」
「うん……」
あたしは目を閉じて待つ。
まず抱きしめられる。
うん、離れたら危険だものね……。
そして唇に冷たい感触……。
ミリィにはあたしからキスしたけど、キスされるのもいいものだなあ。
――いきますね――
お、心の声が聞こえるぞ。
この状態でも会話できるんだね。
じゃあ……連れてって……。
――はい。潜ります――
ん?急に水中ではなくなったような感覚だ。
でも沈んでるような感覚はある。
――ユウナ様、目を開けても大丈夫ですよ――
目を開けると、もちろん目の前にあるのは人魚っ娘の顔なのだが、周りがすごいぞ。
大きな泡の中に入っているような感じ?
この泡の中で抱き合ってキスをしているあたしたち。
2人きりの空間、いいなあ。
――ユウナ様、楽しんでいただけているようでうれしいです――
うん、素敵なところだ。
泡の外を見ると、お魚がたくさん泳いでいる。
まるで水族館のよう、幻想的だ。
心奪われちゃうなあ……。
これ、キスやめたらどうなるのかな?
――実は、周りの泡の中にも空気がありますのでやめても大丈夫ですよ。キスが必要なのは最初だけなんです――
そっか……でもこのままがいいな……。
だって気持ちいいんだもん。
――わたくしも同感です。こんな幸せな気持ちになれるなんて……――
そうだ、このままこの子の名前を考えよう……。
何がいいかなあ……。
可奈ちゃんに似てるけど、同じ名前はだめだよね。
ペットに好きな人の名前を付けるのとは違うんだし。
人魚姫っぽ名前……アクアとか?
アクアマリン……マリン……。
うーん……特別な名前とかがいいよね。
――ユウナ様?何を考えておられるのでしょうか?――
あ、考えてることすべてが伝わるわけじゃないんだね。
あなたの名前をどうしようかなって考えてたの。
――え!?つけていただけるのですか?――
うん、あなたのこと気に入ったんだもん。
あなたはあたしでいいのかな?
――もちろんです……感激ですわ……――
そんな喜んでくれるなら名付けがいがあるね。
さて、また悩もう。
――ユウナ様、一番最初に思いついた名前を付けていただければ……それが一番うれしいです――
ん?そういうものなのかな?
だとしたらアクア……。
いいのかな?いいんだよね。
うん、いい名前だよね。
えっと……最初に呼ぶ時はちゃんと声に出して言いたいな。
――では、名残惜しいですが離れますね。あ、体はそのままでお願いします。近くにいないと泡の効果がなくなりますので――
ふう、長いキスだったなあ。
唇がふやけちゃうくらいしてたよ。
気持ちよかったけど……。
では言おうか。
「あなたの名前はアクアだよ。これからよろしくね」
「アクア……とても素敵な名前をありがとうございます……。一生お仕えいたしますね」
「うん、大切にするからね。じゃあ、誓いのキスするね」
「はい……」
よし、今度はあたしから……。
目を閉じているアクアの頭に手をあてて引き寄せてキス。
さっきまでのキスとは違う感じがする。
アクアの唇が熱を帯びてるのかな?ちょっと熱いや。
あれ?泡の中なのに、水が顔に垂れてきた?
違うな、アクアが泣いているんだ。
そんなに感動してくれているのかな?
アクア……大好きだよ……。
ん?返事が来ないな。
気絶とかしてないよね?
とりあえず頭を撫でてみる。
あ、ぴくんっと反応したから気絶はしてないね。
アクアの長い髪の毛、湿っている感じだけど手にまとわりついてはこない。
いいさわり心地だな。
すごく長いし、今度体ごと包み込んでもらおうかな。
それにしても、どうしたのかな。
いったんキスをやめて離れようかな?
ん!
なんだかすごい力で抱きしめられた。
離れてほしくないってことかな?
大丈夫、離れないよ。
とりあえず落ち着くまでこうしていよう。
よしよし、アクア……。
――も、申し訳ありませんユウナ様……。あまりの嬉しさで魔法が解けそうになって、維持に集中しておりました――
そっかそっか。
ちゃんと水中にいられるよう集中しててくれたんだね。
ありがと。
――いえ、お恥ずかしいです。水は自在に操れると自負していましたが、まだまだ修行が足りないようです――
いいのいいの。
それだけ喜んでくれたんだよね。
そのことがあたし嬉しいの。
――ユウナ様はお優しいですね。ところであの……1つお聞きしたいのですが……――
ん?なにかな?何でも聞いてよ。
――これよりわたくしはユウナ様の部下となります。それであの……この今の関係は恋人のようなものとも思ってよろしいのでしょうか?――
あ、そうだよね。
そんなことしちゃってるんだもんね……。
えと……どうしようかな……。
そう思ってもらってもいいんだけど……。
こういう関係になるのはアクア1人じゃないんだよね。
よし、正直に言っておこう。
――はい、それはかまいません。ユウナ様を独り占めしようなどとは考えもしません。その中の1人になれるだけでも最高の栄誉ですわ――
そっか、そう言ってくれると安心。
ちゃんと大切にするよ。
じゃあそろそろ戻ろうか。
また連れてきてね。
――はい、いつでもお連れいたします――
短い時間だったけど、水中デートは終了だ。
次は時間のある時にじっくりと案内してもらおう。
戻るにつれて、他の魔物に見られたりする。
キスしてるの見られるのってやっぱり恥ずかしいな。
でも見せつけちゃえ。
お、仲の良さそうな魚人たちがいるぞ。
あれは兄妹?それとも恋人?
――あの2人は恋人ですね。仲の良いことで有名です――
そっか、魔物同士の恋人、なんだかいいね。
名前を付けあったりするのかな?
――はい、愛の誓いとともにお互いに名前を付けます。とても大事なことのため、あのようになれる者はごく少数です――
なるほど。
ん?その場合寿命とか決まったりするの?
――はい、種族ごとに定められた寿命が決まると言われております――
ふうむ、愛する相手が出来たら死ぬことになるのか。
――愛し愛される喜びを知り、その愛の中で死んでいく。それが生き物としての幸せだ……そうプロメイティア様は考えているようです――
なるほどねえ。
ロマンティストな男神様だ。
創った魔物達に愛を知ってほしいんだねえ。
でもそれで寿命が決まるってことは、永遠の愛なんてないと考えているような気もする。
それはちょっと悲しいかな。
その男神プロメイティア様は愛する相手がいるのかな?
――女神アルティアナ様のことを今でも愛しておられるようです――
わお、仲悪いかと思ってたよ。
それは片想いなの?それとも昔は付き合ってたの?
――この世界は2神でお創りになられたと聞きました。昔は仲がよろしかったと思うのですが、わたくしはよく知らないのです――
そか……。
うーむ、なんだろうか?
世界創りの方向性の違いで解散?
とりあえずまたひとつ神様についてわかって、謎も増えたな。
また今度別の子に聞いてみよう。
よし、プールを出て陸上に上がったぞ。
なんだか周りからすごい視線が刺さる。
あたりを見回すと顔を赤らめている魚介類な魔物達が複数。
あたしに見とれているのか、はたまたキスを見たのか。
恥ずかしいので急いで移動だ。
廊下まで出てやっと落ち着く。
さて、もうすぐ次の面接時間だ。
名残惜しいけど、アクアとはここでお別れの挨拶だ。
「アクア、そろそろ次の子の時間だから行くね。見送りはいいから」
「はい、今日はとても嬉しかったです。いつでもお呼びくださいね」
「あ、あたし名前を付けた子を召喚できるんだけど……アクアを呼ぶ時は水がないといけないよね」
「そうですね、水がないと何もできませんわ……」
「よし、部屋に水槽を用意してもらおうかな」
「そうしていただけると嬉しいです。では、こちらで用意して機会のある時に運び入れますね」
「うん、よろしくね」
そう言ってまたアクアにキスをする。
これからお別れの時はキスにしよう。
「ユウナ様……」
「それじゃまたね」
「はい……」
真っ赤になるアクアを愛しく思いながら部屋に戻る。
あたしより遥かに年上だけど、なんてかわいい子だろうな。
ここはいいところだね。