成瀬くんの秘密《2》
あっという間に放課後になってしまった。
理花ちゃんはバイトで帰っちゃったし……。
やばい緊張してきたー!!
「一ノ瀬さん。」
あっ、成瀬くんだ!
「は、は、は、は、はいっ!」
「ごめん……急に残しちゃって……」
「い、いや、大丈夫だよ?!うん!」
「あのね……」
成瀬くん……すごく戸惑ってる……。
「あの、さっ。今日のお昼の時のメガネ成瀬くんって……。 」
「……………。」
「成瀬くんは二重人格なの、?」
「僕の全てを知ったら……後悔する。でも呼び止めた以上話すよ、」
そう言って成瀬くんは話し始めた。
───僕は元々こういう気弱な性格だったんだ。
どこにいても溶け込めなくて居ても居なくても変わらない……。
小学校4年生の時にクラス替えをしたんだ。
その時に隣のクラスでいじめの主犯と言われていた男の子と同じクラスになったんだ。
そいつはどこにも溶け込めない僕を最初のターゲットとし、いじめるようになった。
上履きを隠され、ノートに落書きをされ、机を移動させられたり、あることない事を先生に言われたり……。
両親には相談出来なかった。
父は僕がもっと小さい時に家を出ていってしまったらしい。
母はそれがショックで色んな男の人と付き合っていた。
母の彼氏と初めて会った時からだった。
「お前のその目が気に入らない。」
そう言って僕に暴力を振るってきた。
タバコで火傷させてきたり、熱湯をかけてきたり、もちろん母には見えないところで。
母が仕事をし彼氏と僕は家にいた。
彼氏は何をするわけでもなくただ居座っていた。
料理や洗濯を僕に押し付けてきたんだ。
やらないと痛い思いをさせるって脅してきて。
家に居ても学校に居てもいじめられていた。
そんな時に今日一ノ瀬さんが会ったあのメガネが出てきたんだ。
あいつは料理や洗濯が得意で簡単にこなしてくれた。
学校でもいじめの主犯のやつに言い返したりしてどうにかなったんだ。
「って言うのが僕の今までなんだ。」
「あ、えと……。」
あまりの酷さに言葉も出なかった。
「今日一ノ瀬さんが会ったのは、優維って言うんだ。」
「優……維さん。」
「優維の他にもまだ人格はいるんだ。結果的に僕は二重人格と言うより……多重人格なんだ。」
「多重……人格……?」
「一ノ瀬さんを助けた時、今まで人と話すことを避けてたのをいきなりあんなことしたから気持ちが高ぶって……抑えが聞かなくて……そしたら優維が……。」
成瀬くんによると気持ちが高ぶったり、何かの反動によって人格が出てきてしまうとのこと。
「僕に関わると人格が出て来て、一ノ瀬さんを傷付ける……。だから僕とはあまり……」
「あたしで良ければ大丈夫だよ!多重人格とかよく分かってないけど、今日助けてくれたお礼がしたい!」
「……え」
「あたしは別に何されても大丈夫だから。」
「……ありがとう……。」
成瀬くんと仲良くなれるチャンスだよね!




