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クラス転移したら性別変わった


 八月二十八日。夏休みも過ぎ去って新学期が始まり、扇風機一つ無い学校にまた通うことになった。

 回丘高校。その二年二組。三階にある教室でまた退屈な日々を過ごしていた。


「……まだ来ねぇな、あの先生」


 未だに鳴き続ける蝉の声にうんざりしていると、その声に混じって友人の独り声が耳に届いた。


「…………そうだね」


 絞り出したような声だった。

 一体どれだけ気温が高ければこうなるのかと、三十度までしか図れない温度計を見ても最早意味が無かった。ぼやけて見える温度計は最大値。


「一体何度なんだろ」


「さぁな。天気予報じゃ三十五度位だって言ってたぜ。たく、先生もエアコンある職員室に涼みに言ったんじゃねえだろうな」


 そうかもしれないし、熱中症にでもなっているのかもしれない。熱中症、熱中症か、そろそろ水分を取らないと危険かもしれない。


「ちょっと水飲んでくる」


「あぁ。行ってこい」


 友人の声に送られて、木製の椅子から立ち上がった。椅子に座っていても疲れが増すばかりで、なにかした方がマシかもしれない。




……………………

………………

…………


「……ん」


 目を開けると、教室の天井が視界一杯に広がっていた……ということは、教室のに寝転がってるということ……なのか。


 何をして居たんだろうか僕は。幾らなんでも教室の床で寝るなんて……電灯が眩しいし。

 記憶が混乱しているみたいで……なんで寝転がってるんだか覚えてない、なんで意識を失ってたのか。


 僕の名前は斉藤春。回丘高校二年二組出席番号1番。男。友人は少なくて好物は特にない。

 よし。鮮明に思い出せる。記憶喪失じゃないみたいだ。一安心一安心。


 ちらり、と窓に視線を移すと……黒色のカーテンが閉まっていた。暑かったからなぁ、真夏で。今は涼しいけど。



 なんとなく、外はかなり暗いように感じた。電気を消したら真っ暗になりそうだなぁ……授業中に寝て、そのまま起きずに夜中。

 先生にもクラスメートはさっさと帰ってかわいそーな僕は一人夜中の学校ということかな? 薄情な奴らめ。


 いやいや、常識的に考えて生徒が寝ているのを見ないフリなんてしてみろ。クビになるぞ。

 それに公二……コウに置いていかれるとは思えないし……


 なーんてことを考えて腕を動かしたりしてたら、暖かくて柔らかい感触を感じた。誰か居るのか……?


 まさかこのぷにぷにした感触がスライムと言うわけでもないし。小学校の時、友達に机に仕込まれた時以来あれはトラウマだったりする。


 びびってても仕方ない。スライムだったなら本を上にのせて更にその上から箱を被せて封印しよう。


 よくよく考えたら暖かいんだしスライムじゃないか。いたら死ぬ。というか、指先の感覚、スライムのとは違う気がする。と言うか人の手だ。


 徐に起き上がり、謎の物体……スライム? の方を見ると……うん?


「女の子? いやいや、えぇ……んっ?」


 女子生徒。しかもぶかぶかの男子の制服を着てる? それに、自分の喉から発せられた声が……うん、おかしい。


「あー、あー、うーうー……」


 若返った……? 少年っぽい声というか……声変わりする前の声と言うか、女の子っぽいと言うか。

 普段の声とは似ても似つかない。犬と猫の鳴き声くらい違う。なんじゃこりゃ。裏声でも出たのか、喉が壊れた?


 兎も角……回り見てみると他にも似たような女子と……うわ、凄い光景。女子制服を着た男子が大勢。いくらあいつで見慣れてるとは言ってもなぁ……大勢だと少し怖い。


 何故か教室なのに机と椅子はなくて、男子制服を来た女子と女子制服を着た男子が死体の山みたいになってる。


 うーん。制服は回丘高校のそれだ。白を基準に、青色の部分もある。青いネクタイ、リボンの夏服。

 クラス全員が女装男装してる色物クラスは無い筈だけど。僕のクラス以上のイロモノ集団は。



 取り合えず縛るか。変質者。いや、ロープないんだけどさ。どうしょうか。怖いって。目覚めたらこれとか、どうなってるのさ。


 あ、まともなのが居た。一人しかいないけど。長い黒髪の少女だ。うつ伏せに倒れているから顔はわからない。ああ見えて男、というのは考えないように……


 取り合えずまともそうなのを起こすことにした。


 そうしてわかったことがひとつ。自分もまともじゃなかったらしい。この人が美人さんでまともだったことを喜べる暇はなかった。


「……男装……?」


 まともな人の起きて一言めがそれ。

 僕……斉藤春は生まれてこのかた、女に間違われたことはない。一度たりとも。背中に寒気が走った。

 まさか……まさか。この状況、この変人達。


「……考えすぎ……あれぇ」


 ははっ、まさか。不安が吹き飛んだよ。

 胸をさわってみてもほとんど膨らみはない。


 目の前の美人さんにちょっと断ってから外に出て確認してみる。下は……あれ? ない……おかしいな。


「え、えぇ!? どういうこと……」


 どうやら女体化したらしかった。

 わけがわからない。声もやっぱり中性的だし。

 夢?夢なの?なるほど。わかったぞ。誘拐された僕は知らぬ間に闇医者に性転換手術を……


 ないよ。どこの漫画だ……この状況事態ちゃんちゃらおかしい、漫画みたいな展開か。


 まさかとは思ったけれど。

 クラス全員が女装男装とかおかしいし、声もおかしいし。男装とか言われたし……

 対策はある。考えなければ良い。こういう不思議はスルー安定だ。考えてたって答えなんて出ないだろう。多分。って、心の中で何度呟いても変わらない。


 取り合えず教室の中に戻っておく。すると、さっきの女の人が……


「って、アタシ、どうなって……?」


「答えてる余裕ないです……強いて言うなら鏡見ればわかります」


 そう言うと、彼女は心配そうな表情をして近づいてきた。心配してくれるのはありがたいけど、どういう反応をすれば良いやら、なんか性別変わってるし。


「大丈夫なの……えぇっと……アナタは?」


「斉藤春です」


「春君……? 私はどらおよ」


 どらお? 青狸? ドラゴン?

 いや、うん? どらおって……確か


「失礼な質問をします……オカマの人?」


「……失礼ね。ええ、そうよ。橋本どらお」


 橋本どらお……さん。

 うーん。こんな特徴的な名前滅多にいないしなぁ。

 回丘高校2‐2、出席番号7、橋本どらお。男性。


 疑惑から確信に? 男装少女と女装少年。見慣れた制服、性転換した自分とクラスメート。これは間違いなく……


「クラス全員、性転換した?」


 死体の山みたいになってるクラスメート達を見つめながらそう呟いた。色々とすごいことになってる。

 教室に悪臭が漂ってるような気も……みんな汗だくみたいだ。世紀末にでも来たのか僕は。


「性転換……ねぇ……」


 どらおさんは特に驚くでもなく教室を見て回っている。ただ、複雑な心境らしく、悩んでいる素振り。

 やっぱり悩むよねぇ。うん。


「……取り合えず皆を起こしましょうか」


「……そうですね」


 と、皆を起こす作業が始まった。

 手始めに、最も近くにいた男子生徒を起こすことにした。元女子と言うことで少し戸惑ったけれど……


「大丈夫ですか? 起きてください」


 揺さぶりながら声をかける。

 すると、んぅ、って呻き声をあげながら彼……彼女? ら起き上がった。


「なにさ。人が気持ちよく寝てるとこだったのに……って床? 床に寝てたのあたし……?」


 起き上がると彼女は教室の中をあちこち見回して、不思議そうな顔をしていたが数秒立つと一転し、驚きに満ちた顔で口を手で抑え始めた。


「え? どうしたんですか」


「こ、声……腹話術? 読心術? なにこれ……」


 あ、そう言う事か。彼女が言おうとしてることは判った。


「僕達全員、性転換したみたいです。ほら、あっちにいるの、どらおさんです」


「どらお!? あの美人が、あのオカマ!? とうとうあれ切って整形したの!?」


「違いますよ! と言うか違うと思いたいです」


 誘拐されて性転換させられて学校に戻されたってのも、魔法的な何かで性転換したのか、どっちも嫌だけど、戻れる可能性がある後者の方がマシだ。


「って、あたしまで……!? どうなってるのよ!」


「それは僕が聞きたい位ですよ!」



……………………

………………

…………


「やっと起こし終わった……」


 クラスメート全員を起こして、一人一人に説明して、落ち着かせるのは大分疲れた。起きたやつが起こすのを手伝ってくれたのは有り難かった。


 最後には誰が一番多く起こせたかを競争していたくらいだ。落ち着いてるなぁ。もう少し混乱してもいいような気がする。

 ただ当然、まだ混乱している人も多い。そんな中。


「話し合いとかして、一旦落ち着いてどう動くか決めた方が良くないかい?」


 柴田衛。通称文学少年。いまは文学少女?

 彼が話し合いを提案した。全員を落ち着かせて情報をまとめるには良い提案?


「言い出しっぺの法則だ、司会はお前がやれよ」


「え、僕が……? 何時も司会やってる学級委員の二人は……?」


「あ、私です。渡辺です。司会は私が。鋼次郎君は……」


 教室が静まり返った。

 誰も口を開こうとしない。僕が倒れてる間に死んでしまったとか……? 空気が重い。


「……こいつだよ」


 発言したのはコウ。

 彼が指を指した先には……誰?


「うん? 確かに私が鋼次郎だけど、どうかしたのかしら」


 光加減では金にも見えなくもない茶髪に、つり上がった目。唯一ぶかぶかの男子制服と名札が本人だという証拠になるけど……


「あ、頭でも打ったんですか!?」


 渡辺さんの悲痛な声が響いた。

 彼は確か、真面目な……真面目すぎる学級委員だったはずなんだ。それが……


「いや確かに打っただろうけど……それとは関係なく、楽しんだもの勝ちじゃない、こう言うの」


「と、ともかく、司会、出来ます?」


「いや、そいつさっきの発言聞いてなかったみたいだし、多分役に立たないぞ」


 そういや渡辺さんが呼んだとき名乗りでなかったっけ。その時か。これじゃ何時か聞き逃したりしそうだ。


「しょうがないか。僕がやるよ、司会」


 文学少年が司会、と。

 クラスが明らかに安心したような雰囲気になった。四ヶ月で積み上げた信頼が粉々だ、鋼次郎。


「っと、汗の臭いが篭って……窓を開けても良いよね」


 窓……カーテンが閉まっている。

 光は差し込んでいないし、別にペンキで黒塗りにされてる訳でもなさそうだ。夜なんだろう。


 文学少年と渡辺さんがカーテンを開けた。


「アレ? おかしい、ちょっと来てくれ」


「文学少年……? どうしたんだ……?」


 文学少年の手招きされて小走りで近寄った。

 渡辺さんは驚いた顔で硬直しているし、何かあったんだろうけど……


「……普通、どれだけ暗くてもそこそこ先までは見えるし街灯とかもある。だから、カーテンを開けて何も見えないなんてことはないんだ」


 文学少年が大きな声で教室中に聞こえるよう淡々と語る。自分も、中途半端に開いたカーテンから窓を覗く。

 

「なのに、なにも見えない。建物も、街灯も、木の一つさえ。夜空にあるはずの月も星も空も雲も」


 映っていたのは、大分変わってしまった自分の顔と、隣に立ってる文学少年の顔だけくらい。彼が言っている通り、何も見えない。


「少なくとも、この学校は元の場所とは違う場所にある。恐らく洞窟の中。学校ごと、僕達も何処かへ転移してしまっていた」


 文学少年の冷たい声が響く。性転換なんてしてしまって、もうこれ以上怪奇現象は起きないと思っていたんだけど……


「すげぇな……」


 その声で後ろに振り向くと、皆呆けていて、皆これは知らなかったみたいで。


「日本に学校一つ入る巨大な洞窟なんて……?」


 文学少年が悩んでるみたいで知らない洞窟の名前を挙げては何かブツブツ言っている。知識の少ない僕に出来ることは無いだろう、多分。


 どうすれば良いか考えてると、突然後ろから肩を軽く叩かれた。振り返るとコウのにやけ面。嫌な予感しかしない。


「なぁハル、ウィンドウって心の中で言ってみろ」


 はい? ウィンドウ? パソコンか何かの名前だっけ? いや、違ったっけか……? 確かパソコン関連の何かだったと思うけど。


「わ……!?」


 目の前に半透明のウィンドウ……ボードが現れた。

 空中に浮かぶ青い板。幻想的? 何か書いてある。


「なになに……」


 斉藤春。能力:色付け。能力Lx 1。能力解説:塗装能力。半径一メートル、自由に色を付けることができる……?


「何だコレ……」


 回りを見てみる、と。

 驚いて腰を抜かしてる人から見入っている人まで。何でこれに気付かなかったんだ僕は。


「おいコウ、これな――」


 ごんっ。という音が響いた。そして、頭に鈍痛が。


「痛ったああぁぁあぁ!?」


 頭を何かにぶつけた。いや、うん。ぶつけるものなんて一つしかない。


「コレ透明じゃないの!?」


 ウィンドウに頭ぶつけた。ホログラムじゃない!

 叫んだ瞬間。回りが大爆笑した。さっきまで腰抜かしてた奴まで……!?


「笑うなぁ!」


 声が聞こえていたようで何時の間にかに文学少年がこっちを見ていた。平静を装ってる文学少年改め文学少女……でも口元が笑ってる。


「こいつは俺達皆が持ってる能力の説明文さ。この能力は多分、心の中で能力名を呟くと使用できる」


 コウがそう言うと皆が能力を発動させた。

 炎を指先からライターのように出す人。

 剣を構える人とか、弓を構える人。

 なにもしない人もいる。かくいう自分もその一人。


「これは一体……」


「さてな、わからん。強いて言うなら……あの魔法陣に何か関係あるんじゃないのか」


 驚いている文学少女にコウが首を振り笑う。

 それはそうと、魔法陣? 一体何の話?


「ちょっと待った。なにそれ? 頭打ったの?」


 頭でも打ったの?と思ったけど、皆がこっちに視線を向けてくる。僕が間違っている?

 いやいや。


「あぁ、そういえば君は倒れたんだったね」


「え? 倒れた!?」


 そんな覚え一切ないけど……倒れてた? 寝てたんじゃ……なくて? でも文学少年が冗談を言うとも思えない。


「その様子じゃ元気そうだけど……多分熱中症だね。覚えてるかい?先生が……」


 先生……先生。

 思い出した。あの野郎。


「今日は面白いことをやるから待ってろよぉ」


 とか言って出ていったっきり戻ってこなかったんだ。それで、扇風機一つ無い真夏の教室で皆ぐったりしてて……


「君が倒れたあと、先生を呼ぼうと数人が教室から出ていった。今この場にいない人達は呼びにいった人達だ。僕達は君を看病しながら待っていたんだ。けど誰一人として教室に戻ってこなかった」


「……誰も戻ってこなかった……?」


「そうだよ。不審に思っていた頃教室に魔法陣が出現したのさ。大きくて、黄色く光る魔法陣が」


 それで……か。その魔法陣が能力の関係なのか性転換関係なのか両方か、それは兎も角としておこう。考えても無駄。


「えーと、取り合えず超能力とやらを使ってみようか、ハル君、渡辺君と、使ってない皆も」


 床に手を当てて色付けと心の中で呟く。


 おっかしいなぁ。色が付かない……って、なんの色を付けるか決めてなかった。見られたらまた笑われる。


「一日に一度しか使えない。無理だな」


 僕がバカをしてると、深川孝……不良だ。あだ名はふりょー。別名ツンデレが、ドスの聞いた声を出した。性別変わってもやっぱ怖い。


「うーん……私も一度しか使えないみたい」


「ぼ、僕も……」


「使おうと思っても、材料が無いのよ」


 ……ふむふむ。一度しか使えないから今は使わないか、そもそも発動条件を満たしてないと。しかし、皆性別変わってるから、オカマだらけに見える。



「よし! 随分と脱線したけど、話し合いを始めようか。僕は情報をまとめて黒板に書くから、渡辺君、司会は任せるよ」


「え、私がですか……!?」


 渡辺さんが抗議するも、既に文学少女はチョークを手に黒板にさっきの情報を書き込んでいる。聞く耳持たずとはこの事か。


「……では、緊急クラス会議を始めます。取り合えず疑問を挙げてみてください。それに対して皆で考えましょう」


 滑舌良く、渡辺さんが喋り、後ろで文学少女が黒板に文字を書く。二人とも慣れない様子に見える。

 渡辺さんが言い切ると、多くのクラスメートが手を挙げた。


「えぇと、東郷さん」


「ここが洞窟だと言うのは判ったわ。ならなんで電気が点いているのかしら?」


「まだなんとも言えないですね。皆はなにか知ってますか?」


 誰も何も言わない。まだ推測すら難しい程、情報が少ない。電気が付いているのも、転移も転換も、常識はずれの事ばかりだし。


「次は……柏木さん」


「そもそもここは何処なのかしらね」


「候補は挙げられるけど、確証はない。だから何とも言えないよ」


 当てられたのは僕が最初に起こした人。

 その疑問に対して、司会よりも素早く文学少女が対応した。

 こんな風に、答えを出せない問答が何度も繰り返された。


「なぁ、さっさと外行って情報集めた方が良くないか? 時間の無駄だろ」


 何の進展もない問答に痺れを切らした、茶髪の少年が机を叩いて主張する。他の生徒がそれに頷く。僕も概ね同意見で、黒板には疑問ばかり並び解決が一つもない。


「情報が無い今ならなら話し合いなんて無駄だ。何度でも言うが、情報を集めた方がいい」


 彼の言葉に少しの違和感を感じた。何でだろうか。

 あぁそうか。男が男言葉使ってたから……これで違和感なんて、どうかしてるな。


「そうですね……柴多さん、どうします」


「そうだね。行動しないと何も始まらなさそうなのはさっきので判ったし、一旦止めようか」


 その一言で、話し合いはそこまで時間はかからず終わった。そして、クラス全員が廊下に出て行こうと、立ち上がった。



…………………………

………………

…………


「えーと。ハル君でしたっけ、一緒に行きませんかー?」


 とある少女……幼女? に声をかけられた。ぶかぶかの男子制服。栗色の髪の……見覚えがある。


「佐藤みなきさん?」


 癒し系として有名な人だ。本当の意味の癒し系、が彼みたいな人なのかは知らないが……誰にでも分け隔てなく接する人で女子男子問わず人気が高い。

 子供っぽいとも言う。というか男だったときも身長は140あったかなかった程度だった。


「みなきでいいですよー」


「あぁ、うん。みなきさん」


「じゃ、行きましょー。みなきは治癒の能力者ですので、怪我をしても治せるのですー」


 マイペースな人だなぁ。こういう人は苦手だ。

 みなきさんがドアを開けて廊下へ……


「ぁ――」


「え、落ちたぁぁ!?」




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