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ローザ・ルクセンブルク、獄中からの手紙、心を打った箇所の引用

52ページ

 わたしが読んでいるもの? おもに自然科学もので、植物地理学と動物地理学。昨日はちょうど、ドイツにおける鳴禽類の衰滅の原因について読んだところです。営林、造園、農耕の合理化がどんどん進んで、鳥たちの自然な鈴久利と食餌条件――つまり空洞のできた樹木、荒(くさかんむりに、無)地、藪、庭地につもる落ち葉など――が、徐々になくなってきたせいです。読んでいてとても胸が痛みました。人間が取りの声を聴けなくなるのが悲しいのじゃありません。抵抗するすべのないこれら小さな生き物たちが、ひっそりと、とどめがたく滅びていく、この図があまりに痛々しくて、涙せずにはいられませんでした。これが思い出させたのは、北アメリカ・インディアンの滅亡についての(ニコライ・イヴァノヴィッチ・)ジーベル教授のロシア語の本、まだチューリヒにいたころに読みました。彼らもまったく同じように一歩一歩、文明人どもによって土地を追われ、ひっそりと残酷な滅亡への道を辿らされたのです。

 でもちろん、いまのわたしはたしかに病的ですね、こういうことすべてがこんなに胸にこたえるようでは。それともご存じかしら? わたしは自分がほんとうは人間ではなくて、なにかの鳥か動物かが出来損ないの人間の姿をとっているのじゃないかと、感じることがよくあるのです。心のうちでは、ここのようなささやかな庭とか、マルハナバチや草にかこまれて野原にいるときのほうが、はるかに自分の本来の居場所にいる気がする――党大会なんかに出ているときよりも。あなたになら、なにを言っても大丈夫ですね、すぐさまそこに社会主義への裏切りを嗅ぎつけたりなさいませんものね。にもかかわらずわたしは、あなたも知る通り、自分の持ち場で死にたいと願っています、市街戦で、あるいは監獄で。けれども心のいちばん奥底でのわたしは、「同志」たちよりもずっとシジュウカラたちの仲間なのです。でもそれは、内面的に破産したあまたの政治家のように、自然の中に避難所や休息場を見いだしているからではありません。それどころか自然の中にもいたるところに多くの悲惨があるのを見て、とても胸が疼きます。


このあとに、生きたままのマグソコガネムシにむらがり食べているアリを見たという体験が、その悲惨の例として出される。助け出したとき、足が二本食いちぎられていた。「結局わたしのしたことはなんとも疑わしい善行だったのだと、呵責の念にさいなまれながら急いでそこを立ち去ったのでした」。


116ページ

(前略)そのときには、いまわたしたちの目には人間のなを辱めているとしか見えないそのまさに同じ連中が、みんなといっしょにヒロイズムに浮かれさわぎ、そして今日のすべてのことは拭い去られ、まるでなかったことのように忘れられてしまうだろう、と。この考えに、わたしは笑いださずにはいられません。そして同時に内省んに、報復を、処罰を求める叫び声があがります。なんでこんな破廉恥漢どもが忘れられ罰せられずにいてよいものか、そして今日の人間の屑どもが、明日には頭を高くして、場合によっては新しい月桂冠をいだいて人類の高い檀上を闊歩し、最高の理想の実現に手を貸そうというのか、と。

(中略)

かつて学生のころチューリヒで熱い涙とともに読んだ(N.I.)ジーバー教授のOtscherki perwobytnoi ekonomistscheskoi kultury(原始経済文化概説)に、ヨーロッパ人がアメリカ・インディアンの駆逐と殲滅をいかに計画的におこなったかの叙述がありました。わたしは絶望して拳を握りしめましたが、それはたんに、そんなことが可能だったということにたいしてだけでなく、そのすべてに報復も、処罰も、償いもされていないことにたいする絶望でした。わたしは胸の痛みに震えました。あのスペイン人たち、あのアングロ・アメリカ人たちは、とうの昔に死んで腐爛し果てている。彼らがインディアンたちに加えた責め苦のすべてを審理する裁判を開こうにも、彼らを生き返らせるすべはないのだ、と。


119ページ、渡り鳥が、いつもは天敵の違う種類の鳥たちが協力して「わたり」をおこなうという記述。

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