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おさなご。

いつも読んでくださりありがとうございます^^

今回のお話では急展開を迎えます。





夜になってから私は急に熱を出した。





イフさんはリーフさんを呼んでくれて、リーフさんが説明してくれたことによると・・・。




「ユキは聖域の印を受けたばかりですからね。印が体に馴染むまで少し時間がかかるのですよ。私たちも鍛えているとはいえ多少の体のダルさを感じた覚えがありますから、小さな体のユキには負担も大きかったのでしょう。それでも熱だけで済むなんてユキは運がいいです。」


・・・ということみたい。





なんでも神様みたいに長生きになっちゃうから突然体の時間を止められた人間は『印』を与えられると、数日は寝込んだり体中を激痛に襲われるらしい。



私の場合、時間が止まっていたわけじゃないけど、元々が体の成長がすごくゆっくりだったから負担は少なかったんじゃないかなぁ?


体も痛くないし、頭も痛くないし、ただ少し高めの熱でふあふあのふらふらなだけだもん。





こんなところで『神猫』の体が助けてくれるなんて、本当ににゃん生何があるか分からない。



イフさんはウロウロ落ち着かない様子でベッドの上で丸まっている私のそばを離れようとはしない。


エイルさんはバタバタと飲むためのお水とか、あっためるためのタオルケットとか、水の守護精のマナさんのところで氷を用意してもらったりと走り回ってくれていた。


地の守護精のアルフさんは、あまり強すぎない熱さましの薬草を持ってきてくれた。




「小動物にちゃんと作用するかは分かりませんが、幼児でも飲めるものですので体に負担は少ないと思います。」


・・・確かに子供だけど・・・。





開け放たれた窓からは風の守護精であるジンさんが、そよそよと心地よい眠気を誘う春風のような風を送ってくれている。


こんなことにみんなの力を使わせてる私って何様なの・・・。





***





夜になってイフさんがミルク(がゆ)を持ってきてくれて、膝の上に乗せて食べさせてくれた。


人間用のスプーンでは大きすぎで口には入らないし、そもそも猫の口は噛み噛みできるようには作られていないからぽろぽろ口の端からこぼして更に迷惑かけちゃってる。




夜遅い時間になると自分を覆っている毛皮さえも暑く感じて更に熱が上がった。




もうこんな毛皮いらないにゃ・・・


そう思いながら今だに私をタオルケットに包んでくれて膝に乗せてくれてるイフさんは心配そうに眉を寄せている。



いつもより眉間の皺が増えてるよぉ・・・?



そんなことを思いながらひと鳴きしたら思った以上に情けない声が出てた。




「みぃ・・・。」


「辛いのか・・・?もう数日だけ我慢できるか?そうすれば楽になる・・・。」





優しくタオルケットの上から背中を擦ってくれたイフさんはとても心配そうな顔をしている。


イフさん、そんなに心配しないでと思って鳴こうとしたけど、私の意識はすぅーっと血の気の引くように遠のいてしまった。




***




【イフ視点】




小さく空気を押し出すようにユキは鳴いたが、その声は音にはなっていなかった。



くそ・・・


俺が聖域の印を受けた時はどうだっただろう・・・。




そう思いながら膝の上のタオルケット越しでも熱いユキの体を抱き寄せたが反応がなくなった。


慌てた俺はユキの潜り込んでいるタオルケットからユキの顔を出して息を確かめようとしたが、ピタリと手を止めてしまった。




「・・・っ。ユキ?!お前・・・体が。」




小さなユキの体は淡く白い光に包まれてる。




タオルケットを被せていなければ分からないほどの光だが、俺たちの守護精の力とは別の力が働いているようだ。




慌てた俺はすぐにリーフのいる王立研究院へユキを抱えたまま走り出したが、王立研究院へ連れて行ったとしても分かるだろうか・・・。


もしかしたら王立研究院の長であるリーフになら、今ユキの体に起こっている変化が解明できるかもしれない。





小さな体に負担をかけないように気をつけながら渡り廊下を走っていた俺は、手の中にある違和感に気づいた。




片手の手のひらで収まるくらい小さいはずのユキの体がタオルケット越しでも分かるほどに膨らんでいる。





守護精たちの居住エリアから抜けて王立研究院まであと少しというところにある庭園で立ち止まった俺はそっと腕に抱いたユキを覆うタオルケットを捲ってみた。




「っっ!?」




ユキのいたはずの場所、俺の腕の中では苦しそうに眉を寄せ、頬をピンクに染めて荒い呼吸を繰り返している幼子(おさなご)がいる。


月明かりに照らされたふわふわと柔らかそうな白く輝く銀色の長い髪、陶器のように滑らかな白い肌、ふるふると震える長い銀色の睫毛(まつげ)、見た目は2・3歳ほどだろうか。


耳としっぽは真っ白で、ああ、ユキなんだと不思議と理解できた。





「しゃ・・・むぃ・・・。」


「ユキ・・・。」





小さな可愛らしい声を出しカタカタと震えるユキをタオルケットに包みなおして抱き上げると、俺はもう視界に入るほど近づいていた王立研究院へと駆け出した。





ユキは人の姿へと変わったのだ。


どうやって?


何故?


元々そういう生き物なのだろうか?





いろんな想いがグルグルと渦巻いているが、今はそれどころではないだろう。


一刻も早く苦しみから解放してやらなければという想いが俺を突き動かしていく。





「もう少しで着く。耐えてくれ。」





こんなことしか言えないのが悔しいが、とにかくリーフに診てもらわなければ・・・。






あぁ・・・ユキちゃんとうとう・・・(汗

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