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パイロット死刑囚

作者: きまぐれん

完成の目処が立たないので途中放棄

これは敗北ではない、撤退だ。


「第7銀河をまるごと消滅させるのは早まりましたな」


「はい、予想では他の銀河に武器兵器を隠し持ってるかと思いましたが、まさか奴らが武器庫ごと宇宙に飛ばしていただなんて。

 これにより80光年先にあるとする惑星への宣戦布告が約20年遅れます」


「我々に渡すくらいなら宇宙に渡したほうがマシだという事か

 戦争が遅れることでの弊害は?」


「予想よりも市民からの餓死者が2000万人増えるかと試算が報告されています」


「そのぐらいで済むか、本来の予想されていた試算に加えて約1億7000万人か」


「共喰いも計算に含まれております、それを抜いたら予想では4億を超えます」


「市民への同種食いの意識操作の方は?」


「問題ありません、いざとなればためらいもなくそちらへと手を出すでしょう」


「ならば何も問題無いな」


「ええ」






長い戦争があった。


もはや誰も戦いの始まりは知らない。

3千年に続く星間戦争は致命的な兵器の使用を幾度となく使い、順調に滅びを迎えていた。

もはや、この世界に形を持った星というものは数える程も無い。


この物語はその世界が消滅する事によって完結する。


世界はもはや疲弊を超えて、死にゆく一瞬の一つ前だ。

争いをやめ、世界を再び蘇らせようとする機会はもはや、遙か昔の話。

もはや原因も分からない戦争の無常さに気がつける程の賢さを持った者もこの世界には居ない。

そうこの世界には。





かつてこの世界がまだ本や映画、音楽などいわゆる娯楽という文化がまだ残っていた頃、タイムトラベラーという言葉があった。


時間旅行者。

大抵は未来から過去へ、もしくは過去から未来へと時間跳躍をして物見しようという話だ。

そして今から遙か8000千年前、それに真剣に挑戦するプロジェクトがあった。

投資された資金は全て合わせれば天文学的数字に上る。


その時、人類はエネルギー危機を目前に、夢物語であってもそれに縋らねばならない程の事態であった。

しかしプロジェクト開始から20年、人類は偶然という奇跡に恵まれ、核エネルギーを遥かに上回る新しい超エネルギーを手にすることができた。

直後時間跳躍プロジェクトは凍結、新しく人類を明るき照らしだす火を前に夢物語の現実性は無用の話であった。

だがその凍結の間際、最後の人体実験が行われていた。


被験体は死刑囚のみ。

司法取引によってその執行寸前に実験体として選ばれた。

名前はトーマス・ワトソン、年齢は28、罪状は殺人罪。



トーマスは仲の良い両親の元に生まれ、資本家の父に元教師で教育熱心な母の元、恵まれた生活を送っていた。

しかし7歳の時に家族で乗り合わせた旅客機がエンジントラブルを起こし墜落、トーマスは奇跡的にかすり傷で済むが両親はベルトしていた部分残し、その全てが他の客達の肉と混ざってしまっていた。


その後養護施設に入り暫く後に養子として家族に迎えられるも、経済的に思わしくないその夫婦は次第に不仲になっていき、その不満は全て養子のトーマスに向かった。

しかし教育者として母はたしかな理性を、父は感情に振り回されないたしかな心をトーマスに残した。

高校卒業まで養父母の虐待に耐えたトーマスは国内の有名大学に進学、エネルギー危機による不況のせいもあってか大企業といかなくとも、それなりの企業へと就職、エリートとして順調に出世をしていった。。

暫く後、友人のパーティで知り合った女性と出会い結婚、もう少し後には長男も生まれた。

トーマス・ワトソンは初めこそ苦難に満ちた人生であったが、良き家族に部下、仲間を持ち満ち足りた良き時間を送っていた。

しかし直後、彼は再び苦難の人生に突き落とされる。


ある日彼が会議をしていると警察が踏み込み、何もわからないまま逮捕されてしまった。

罪状は殺人罪、殺されたのは彼の妻と息子だという。


当然トーマスは否定した、しかし銃声と悲鳴の後に彼の車が急ぐように現場を立ち去っていくのが目撃された。

裁判はそれを証拠として最重視として、トーマスに死刑が宣告された。

その後、先のように彼は司法取引としてタイムトラベルの実験体として出所、48時間後タイムトラベルカプセルへと移された。

彼は事件の真相をつかめるかもしれないという僅かな希望にかけ、この司法取引に応じた、しかしそれは絶対に叶う事無い願いであった。


このタイムトラベルカプセルには彼以外にも47人の被験者が居た。

いずれも全員が死刑囚だった。

何故ここまで死刑囚かと言えば、このタイムトラベルカプセルというのは名前こそ何か超科学的なものを感じるがその実態はただの冷凍睡眠である。

まず被験者たちを普通に眠りを付かせ、当時としては最先端のエネルギーである核融合装置と共に宇宙へ飛ばし、ただひたすら観測実験を行った。

この実験は人類を未来へと送るのが目的だ。

実験期間は完全未定、平たく言えば科学者達は彼らを起こすつもりが無かった。

所詮は死刑囚達、へたに実験後に野放しにするのも危険だと考えて起こす必要は無いと考えたのだ。

核融合とはいうが、その正体は目指すべき太陽には程遠い物で、不完全なそれは核分裂よりも安全で高エネルギーであるモノの、200年しか発電しない消費物であった。

科学者達はそれも計算にいれて実験終了期間を200年後としていたが直後新エネルギーが開発、プロジェクトは完全凍結となった。


48人の死刑囚達を未来に飛ばしたまま。


だが、科学者達が予期しない誤算が起きた。

核融合の期限はたしかに200年後であったが、その計算は首都を想定したものであった。

タイムトラベルカプセルを集めた宇宙ステーションは当然そこまでの電力を必要としない。

使われない熱は消費も減衰もすること無くそれを保ち続けた。

宇宙ステーションは地球人類の致命的な戦争が原因によって、その母なる地球から人々が離れいていった後も死刑囚たちを未来へ飛ばし続けた。


そしてそれから八千年もの月日が立った。




宇宙ステーション内部の明かりが約8000千年ぶりに点った。

静かだった核融合の稼動音と生命維持装置意外の機器が動き、カプセルに冷凍復帰窒素ガスが詰まった管を挿して送り込んでいく。

かつてこのプロジェクト内部にも死刑囚達に僅かな哀れみを感じている人たちも一握りぐらいは居た。

そうした彼らは200年後、核融合装置のエネルギーが尽きる前にせめてその僅かな期間の間に彼らがそのステーションから逃げ出せることを祈って、エネルギーが一定量減少してきた場合死刑囚たちを起こすようにプログラムした。









「う、うう・・・・」


ここは?

俺は一体どうして・・・。

そうだ、俺は司法取引に応じてタイムトラベルプロジェクトの被験体に・・・。


男は開いたカプセルから起き上がる。

冷凍睡眠は成功したようで、体は鉛のように重く、だるさを覚えるが致命的な何かを感じることはなかった。

体の不調を感じながら、ソレ以外に何か起きていないか感じてみようとしたが、特に何も内容でゆっくりと起き上がった。

頭も風邪を引いたようなまとまらないボーっとした感じだったが、起きて目の前にしたそれを見た時、急速に冷えきった。



み、ミイラ・・・?



男の目の前の開いたカプセルには茶色く醜く乾ききり、既に朽ち果てたであろう人間の遺体があった。

カプセル全てが完璧なわけではない。

8000千年という長い時間部品を老朽化して不具合を起こすにはあまりにも十分な時間であった。

未来へと途中下車ができたのはトーマス含めてわずか二人であった。

他は全て解凍、もしくは生命維持装置が失敗して悲劇的な最後を遂げる。



「ようおっさん起きたかい」


「君は・・・」



幸運と呼べるのか、生命維持装置がうまく働き、そして解凍機能もうまく働いた二人の内一人、

48人の死刑囚のうちの一人だ。

罪状は大量殺人器物破損窃盗巨額詐欺。

そしてテロリストだ。



「誰だ・・・?」


「はっ!?」



しかしその罪状や顔写真が明らかになったのは彼がコールドスリープに入ってから役10年後の事だ。

彼が何者かだなんて知る由もない。



「おいおい俺のこと知らねーやつが居たなんて・・・、俺のメッセージは一体どこまで届いたんだか」

※未完

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